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葉月クラフトワークス

次の日 葉月ラボ


「それで何であたし達だけがいるのよ?」


ラボ内には間宮と南と芽衣しかいなかった。六花は朝の発言からして、東城父娘と訓練エリアでお楽しみだろうと芽衣は考えたが、嫌な予感がしてきたので考えるのをやめた。主に巻き込まれた隊員達が関係しそうな予感だったが。


「これからヒナちゃん含めた5人分の能力を疑似的に試してみるからさ~。どうせ六花ちゃんならやる気出せばヒナちゃんの以外はできそうだし…。3人とも取りあえずこれから一つ装着して」


前に置かれたのは背負うタイプの機械とロボットらしきもの、緑色のスプレー缶とゴーグル、そして照準器付きのライフル銃だった。


「確実に誰のか分かるのが怖いなぁ…」


「消去法からしてあれはヒナちゃんね…」


「ゴーグルがいいのです!」


芽衣がゴーグルを付けると視界に沢山の情報が表示された。間宮のスキャニング能力を再現していた。


「葉月さんが飴玉を入れているのもバレバレなのです~!」


「作ったはいいけど…あまり用途が見つけられなかったんだよね…。指揮官を前線に出せないし…データが大きすぎて前線から時間が経って結果が送られるし…」


「じゃあ私これ~」


南が持っていたのは緑のスプレー缶。ラベルには「高速止血・鎮痛剤」と書かれている。葉月はどこからか怪我人を持ってくるとスプレーを吹きかけた。怪我人の傷跡は緑のフィルム状の物体によって止血及び保護されていた。


「芽衣ちゃんの能力は大分グレードが下がってしまっているわ。どうしても細胞の再生は医療機関じゃないと厳しくてね…。私ほら…、兵士の装備品関係の開発者だからさ…」


「姉妹揃って異次元だなぁ…」


「あたしは…ライフル銃を選ぶわ。南の能力見てみたいしね」


「はいはーい、お待ちを!」


葉月が壁にあるレバーを下ろすと壁が横にずれて、射撃場が現れた。


「こちらでお試しくださいな」


間宮が照準器を覗くと的までの距離や偏差値や重力を考慮した場所に赤い点があった。そこを的の中心に合わせて撃つと見事に中心に穴が開いた。


「便利ね…。でもこれも何かしら問題があるのでしょ?」


「壊れやすいのと、銃の癖に合わせて調節しないといけないから面倒な事と、重いことくらいよ?まだましな部類ね」


「じゃあ後二人のは?」


「先ずは六花ちゃんのは強化外骨格で、身体能力が上がるわ。任務の時に芽衣ちゃんが付けているのがプロトタイプの機体よ。お陰で体力が貧弱極まりない芽衣ちゃんが縦横無尽に走れているわけね。あの刀とサツキスペシャルもあるよ」


いつも戦闘で芽衣が動けていたのは足に強化外骨格を付けていた為である。それ無しだとすごーく体力のない子に戻ってしまう。因みに姉による特訓のおかげで1キロは走れるようになったらしい。そんな物を南は付けて跳ね回っていた。

「体が軽―い!葉月さん!楽しいねぇ~!」


「南が楽しそうでよかったわ…。サツキスペシャルは相変わらず、すごい軽いわね…。刀は…持てないほどじゃないけど片手じゃ重たいわね…」


「それで一番触れたくないのが残ってしまったのです…」


機械には「電撃発射機」の一文が書いてあった。どう見ても日向がモデルの機械だがあるのは手袋と背負う形の機械だけでありすごく不安な出来だった。


「ご想像の通りヒナちゃんの電撃よ。スタンガン程度の電撃1発が限界よ。気は失うことはないけど滅茶苦茶痛い程度よ…。オリジナルはその数千倍は一日一回発電所で流しているのだから末恐ろしいわ…」



食糧生産プラント メインストリート


「ヘクション!誰かが噂してるのかなぁ?」


「そんなわけなかろう…ほれ、帰るぞ。早う前を向くんじゃ」



「まぁ、楽しんでいるところ悪いけどそろそろ脱いだ方がいいと思うよ?芽衣ちゃんなら知ってるだろうけど」


それを聞いた南が渋々脱ぐと、その場で崩れ落ちた。そして手で床を腕立て伏せの要領で押しながら床に転がっていた。


「力が入らない!」


「欠点は筋肉が使われなくなるから暫く力が入らない事だね。あとバッテリーが最長2時間しか持たないことかな?軽量化はされてるから大丈夫だろうけどやっぱり重荷になるんだよね…」


「ヒナちゃんはいつも飛んでるから要らないという事で使ってないのです」


日向は外では飛行、室内や機械設備のある場所では歩きで移動している。移動個室戦車は特別なことがない限りは使われず、ミニバイクも今では改造され、椿との買い物用に後ろに荷台がついている。むしろ日向よりも椿が乗り回しているらしい。


「何となくあの時の違和感が解消した気がする…」


「あの時?何の事かしら?」


「日向式鬼ごっこで何故か黒井姉妹は無事だったなって…」


「あの時ですか!これのおかげなのか3回で済んだのです!」


「あたし12回」


「15回…」


因みに姉の方は捕まらないで済んだ為、全くのノーダメージであった。この逃走のせいで数人の隊員に深いトラウマと教訓が刻み込まれたそう。



「いやぁ~助かった助かった。これで後は改良するだけだね。ウチの研究所に隊員が寄り付かないから実際に使ってみた感想が分からなかったんだよね~」


「何で寄り付かないのです?」


芽衣はふと疑問点を言うと、葉月は頭を抱えてこう言い放った。


「ここの常連さんの日向お嬢さまが、良く通りすがりにいたずらを仕掛けるからだね」


4人の目線の先にはバケツを被り、全身を赤い塗料で塗られた新米隊員の姿があった。


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