学校へ行こう 表
タイトルそのまま適当スタイル
オアフ島 ヒッカム航空基地 司令部施設会議室
そこには兵学校の校長や教育委員会の委員が集っていた。そして彼等の座るテーブルの上座にはレジスタンスの司令長官黒井則道が座っていた。議論の内容は彼の娘達の通学についてなのだが彼はほとほと困ったと言うようにため息をついていた。
「黒井司令長官殿!貴方のご息女達はまだわが校の学生と同年代です!入学を進言致します」
「ほう、すまないがここに映写機を持ってきてくれ。さて皆様には私の娘達についてお教えしないといけませんね」
運ばれた映写機のスイッチを押すと白い壁に映像が浮かんだ。勿論音声が入っていて動画と言うよりスライド形式だったが。
「まず安全な方から行きましょう。長女の六花だが、学生たちと交流するなどには懸念材料はありませんがこちらの皆様からのテストの結果からして高等部卒業して研究部入学程度の学力が確認されています。更には所属部隊の役割上あまり授業を受けることができないと考えます」
「ふむ、では彼女は免除でよろしいですか?」
そう妙齢の女性が言うと黒井司令長官は頷いた。
「次に次女の芽衣ですが…。テストは満点で更には研究部の教授に問題を出し返す程です。医学コースに進学したところで生徒より教授として授業することになるでしょうし何より人気がある。多分1日だけでもパニックになるでしょう。そして何かあれば多分狙撃及び暗殺により対象生徒に被害が及びます。そして先述の通り部隊の役割上の問題があります。更には非番時でも中央病院にて医師として働いていますので最も不可能と考えます」
「それは…わが校の教授もあれは解けなくてですね…」
今度は兵学校長が苦笑いを浮かべて答える。すると先ほどまでの黒井司令長官の柔和な笑みは消え真剣な顔になることで室内の空気が変わる。
「さて本題です。6歳の末っ子の日向ですが。学力はだいたい平均値となりました…。中等部のですが…。しかし彼女は同年代の友人がいない事で社会性が少し気になります。個人としては進学させたいのですが懸念材料があります」
「懸念材料とは…?確かに学力はかなり高いので飛び級として中等部に送ればいいのでは?」
初老の男性がいぶかしそうに答えると黒井司令長官は動画を流した。
「彼女は興奮状態になるとスタンガン程度の電気エネルギーを身体中に流します。その為興奮状態での接触は感電の危険があります。更には社会性及び協調性や同情や他者への理解は見られず本能的な行動が多いです。それを抑えるのに効果を示したのは姉からの命令及びお願いしかありません」
「では隔離と言ってはいけませんが特別措置として「いえそれが一番いけません」
「彼女は束縛や支配を嫌います。それらを感じると良くて脱走、最悪破壊行為によって逃げ出すでしょう。ですので通常の子供のように授業を受けるのが最善です。しかし私も監視致しますが皆さまでも監視を徹底してください。最後になりましたが大事なことがあります。攻撃したとき以外は刺激しないでください」
「かしこまりましたがどのように監視なさるおつもりで?」
「部下の子供を使ってな」
日本人居住区 兵学校初等科一学年教室
「おはようございます皆さん。今日は新しいお友達が転校してきました。さぁ黒井さん挨拶を」
「黒井日向ですっ!ここの前にはお父さんとサイパン島にいました!好きなものはイルカとオムライスです!よろしくね!」
一学年は合計60名で広い教室にみっちりと机を並べてある。黒井とは言ったが姉妹の苗字は一部の人間しか知らないため彼女の身元が割れることはない。まぁ…自警団員は顔で分かるが。
「ではそこの東城さんの隣に座ってください」
若い先生が席を指してそう言うと日向は言われるままそこに座った。荷物を置いて深く息を吐くと隣からオドオドとした声が聞こえた。
「黒井さんよろしくね…。私、東城花って言うの」
「花ちゃんね!私のことは下の名前で呼んで!」
「じゃあ…ヒナちゃん?ってどう?」
日向は笑顔で「うん♪」と答えた。
一時間目が終わった所で日向の周りには沢山の生徒が集まっていた。それら全てに対応していたところである生徒がこう漏らした。
「軍人さん…なんだ。ごめんね。私たちと話したくないよね…」
その子たちと日向の違いは階級章の付いたワッペンを付けているか否かと言うだけだった。ここでは軍人の子息は親の階級章を付けないといけない決まりになっているらしい。しかし司令長官の階級章は大きくて厳めしい為彼女は自分の階級章を付けていた。階級名は「上級技術士官」の桜の花びら4枚にレンチのものに日の丸とひらがなで「ひなた」と書いてあるものだった。ヒッカム航空基地所属からは恐れられている。
「何で~?ここでは軍人でも民間人でも平等でしょ?」
すると花は暗い顔で答えた。
「私とかヒナちゃんみたいにする人は少ないんだ…。皆威張ってるから」
その言葉に日向は「つまんないの」とつぶやいた。
その言葉に色めき立つ生徒の後ろから声がした。そこにいたのは大佐の階級章を付けた少し大きな女子生徒が入ってきた。
「黒井さんかしら?余り軍外の人と仲良くしない方がいいわよ。品位を疑いますわ」
「へぇ…。名前をうかがっても?」
「六年生の石動智絵里よ。石動に聞き覚えはないかしら?」
日向は考え込むように上を向くと直ぐに答えた。
「石動大佐といえば第一装甲師団の石動さんかな?」
「馴れ馴れしいわよ!大佐と呼びなさい…って…その階級じゃわからないわね整備士さん」
「ヒッカム航空基地ではこの階級章は有名なんだけどなぁ…」
第一装甲師団はヒッカム航空基地所属ではないからかと納得していると智絵里は馬鹿にするように言った。
「精々教官殿と仲良くなさい。じゃあね」
その言葉を聞いてオドオドしている花はとなりの日向がニヤリと笑っているのには気が付かなかった。
その後も日向は分け隔てなく生徒と接し仲良くなっていった。更には成績は優秀で運動もできる。そんな様子を聞いて智絵里はますます腹を立てた。
「あら?ゴミが歩いてるわね」
「やだなぁ…成績も性格も地を這ってるゴキブリがいるね。スプレーある?」
嫌味を言えば返され。
「何ですって!!失敗した?!」
「すみません!!」
暴力関係は全て失敗に終わり。
「日向ちゃん!!久しぶり!」
「塩原のお姉ちゃん!久しぶり!」
上級生は彼女に話しかける。そんなことで智絵里は凄くイラついていた。
「ヒナちゃん。何で石動さんをそんなに刺激するの?やめようよ」
「マーマーみててって」
日向は智絵里が自分ではなく花に牙をむこうとしているのには気が付いていた。所詮は子供の考え、予想通り過ぎて笑いすら覚えていた。案の定花が一人になると智絵里がやってきていた。どうやら話しているらしく日向はカメラを向けて録画した。
「教官殿が大分暴れてくれてるじゃない…。いいのよ貴女のお父さんの進退は私の手にあるのよ」
花が震えていると智絵里は腹を殴り、うずくまっている花の頭を踏んで話した。
「あの子を抑え込めば許してあげる。分かったかしら?」
「いーけないんだいけないんだー」
「何の様かしら?」
「今のをカメラに撮ったんだ。動かぬ証拠だねぇ…。さてしかるところに持っていくかな~」
わざとらしい言い方をして日向が後ろ向くと智絵里はナイフを取り出して日向に迫るがそんなのはお見通しだった。ひらりと避けると手首をひねって背中に回してナイフを取り上げた後耳元で言った。
「お父さんに言いつけなよ。解決するんじゃない?まぁ無駄だけど」
「クソ女!!」
そう言うと智絵里は走って逃げ出した。日向は花に近寄ると「ごめんね」というとハンカチを渡して肩を支えて立ち上がらせた。
「ヒナちゃんが何でここに?私を置いて逃げれば良かったんじゃない?私は裏切らないよ?」
日向はやれやれといったように肩をすくめた。
「友達を見捨てる?やるわけないじゃん。ましてや友達の娘だよ…」
「友達?パパが?パパ同士は友達らしいけど…」
「うん!東城秀人司令部副長官閣下だよ!」
花は驚きながら答える。
「階級章は軍曹だよ…?」
「だってウチのお父さんは…」
幹部居住区 石動家
士官用より広い室内には30代の男性とその娘がいた。
「パパ!最近学校で私を馬鹿にして来る子がいるの!」
智絵里は父親に声を荒らげて言っていた。
「どんな子なんだい?話してごらん」
父親は「またか」と言わんばかりに答えた。なにせ自分の階級章を使って初等科をカースト制度のように支配しているらしい。仕方がないので多少その親に言うのだがそろそろ限界だった。今度は誰だ。
「一学年の子よ茶髪のサイドテールに肩に桜の花びら4枚とレンチがあって…」
上級技術士官の子供か…?おかしいな子持ちなんていたか?
「それに日の丸とひなたってひらがなで書いてあるのよ!下士官のくせに生意気だわ!」
その言葉に俺は血が凍った。そんなのあの子しかいない。ヒッカムの暴風雨、歩く天災少女、死神、破壊神、そんな単語が似合い過ぎる子しかいない。そして年齢も合っている。
「黒井日向…か?」
娘は驚いて答える。
「知ってるの?パパ!何とかしてよ!」
「なんてことを…」
「どういうこと?」
「お前が喧嘩を売ったのは俺どころかこの世で8人しか止められない子だ…。親は上級技術士官なんてものじゃないレジスタンス司令部司令長官黒井則道元帥の娘で最高機密。俺から言えるのは…運が良かったな智絵里。危うくこの世から分子レベルでいなくなるところだったぞ」
「えっ?よく来る黒井さんって司令長官だったの!?その娘ぇ?」
「そう!この無線が証拠!」
起動して「来て」というとバイクで東城さんが来た。
「お嬢何だ…って花!どうしたその怪我!!」
「パパ?お仕事は?」
「日向ちゃんに逆らうのは命を投げ捨てるもんだぞ?見なかったのか?」
「えっ?何のこと?」
日向はおもむろに鉄柵に電撃を放った。
「これ使えばこうはならなかったけど…これ使ったら石動家を潰せないし…」
「石動の娘の仕業か…。俺は許可する」
花はプルプル震えていた。怯えじゃなくて怒りで。
「じゃあ何で軍曹の階級章なの?」
「多分「昔のを要らないから付けた」んじゃない?」
「解せぬ」
「パパのことは黒井さんにもママにもいうから」
「やめて死んじゃう」
日向に縛られ娘にボコボコにされた東城さんがふと日向がいない事に気が付く。
「石動の冥福をお祈りします」
ピーンポーンと玄関のチャイムが鳴るが凄く嫌な予感がする。娘はソファーの上で固まっていてその目はハイライトが落ちていた。恐る恐る確認用の穴を覗くと凄くにこやかに日向が立っていた。
「居留守してるのはレーダーで確認してあるよ。さっさと出てきて」
大丈夫でなければ…。その時溶接しているような音がドアから聞こえた。見ると四角の赤い熱した部分がある。次の瞬間ドアは壊れた。中に入ってきたのは悪魔だった。
「出てこないから入ってきたの」
「何か御用でも?」
慌てるな俺何か打開策が
「これ見て酷いでしょ?」
そこに映っていたのは智絵里が女の子をいたぶっている様子。
「東城副司令官の娘さんを殴って頭を踏むなんてねぇ…」
そう、あの人は教官長兼司令長官の右腕。その娘をいたぶるだけでも銃殺刑案件なのだが…。
「しかも私の友達なんだよ!だから司令長官の娘を罵倒して刺客を送り危害を加えようとした挙句?副司令官の娘に暴行。更に書類改竄等々含めて…。分かるよね♪」
「まぁ…子供の「フフッ♪逃げるんだ…。へぇ…?」
もう逃げ場はふさがれている!?クソ…。
直ぐに机の引き出しにある拳銃を向けて発射した。
「はぁ…はぁ…よ「くないねぇ?殺人未遂も追加だよ」
弾丸は全て足元に落ちていた。
「待ってくれ!娘は将来が「それが?」
「それがどうしたの?変なの♪」
こいつ…。狂ってる。
「安心して!すぐには死なないよ♪二人共」
裏に続く!!