タヒチ非正規戦
作者の時間稼ぎです。読まなくてもストーリーに影響はないので飛ばしても大丈夫です。時間稼ぎに乗ってくれる人は是非とも
鹿島港攻略戦の少し前…。司令室
司令室内には黒井司令長官といつもの3人がいた。
「今回は東南アジア諸国連合軍からのお達しだ。どうもタヒチの現地勢力が宗教組織やギャングと癒着して現地の移住者を巻き込んで独立しようとしているらしい」
独立要求が最近多いがそれには緊急事態として個人の自由が軍や暫定政府に規制されているのと、治安維持組織が新しく解放したところまで行き渡らず、そのようなところでは軍およびそれに準ずる組織が担っているところも多いからだろう。その為現地で何かしら有益なものがある時や、宗教が絡むとその結果それらの維持が無くなり行動を起こし、独立や立場向上を訴えるのである。
「で?あたしらにどうにかしろと?日本のレジスタンスはそういう尻拭い用の組織じゃないのよ…」
「すまない。しかし最悪な点があるんだ…。今回はコードブラック。島の中の人間は殲滅しろ。反対する移住者のほとんどは密かに本土に戻りこの件を伝えたらしい。だからここにいるのは今回の賛同者とクソ野郎だ。この報告書を呼んでみろ。ブラックの訳が分かる」
「読んだよ。これはひどいねぇ…。ドラックに軍資金の横流しに密輸。女神教団?なにこれ?」
「うちに女神様らしい可愛い傷を治してくれる知り合いがいるだろう?それの信仰団体だ。奴らの本部が日本人居住区から無くなったと思ったらここに逃げていたのか」
僕も少し前に日向が「あのカルトはカビみたいにしつこいねぇ…」とぼやいていたのを聞いた気がする。多分それなのだろう。
「芽衣ちゃんはそこまでアイドル性極めたのね…」
「相手の武装は?私達丸腰の相手を撃つわけじゃないよね?」
報告書を間宮に渡した南はメモ帳を取り出して書き込む用意をし始める。
「東南アジア諸国連合軍の制式ライフルが中心だろう。それも粗雑なものだ。寧ろ最新式の銃を持つところなんて、ウチやヨーロッパとかの先進国の軍と、どこぞかのマフィアしかいないだろう。あそこは武器の横流しはしていないし…。だから精度も技術もそうでもない。お前達なら大丈夫だろう」
日本のレジスタンス以外の国では必死になって資源を掘っているが、日本のレジスタンスではアイクの外骨格や体液などから金属類や石油などに非常に類似した資源を作り出しているので案外余裕のある状態である。東南アジア諸国連合ではタヒチとクック諸島とライン諸島と元仏領ポリネシア以外は占領地域がないためかなりの資源を輸入に頼っていて、その対価に兵士を派遣している。…主に正規軍の弾除けやおとりに使われるが。
「丸腰の民間人は?まとめて殺せばいいの?お父さん」
「先行して飛ばしてある無人機での偵察では民間人も武装しているみたいだ。どうやら避難したのがばれたらしい。向こうでは榴弾砲や迫撃砲、対空砲や対空機関砲全てを動員して防衛している。中には海岸砲を改修して設置しているところもある。地の利は向こうにある。気を付けろ」
タヒチ沖 半潜水船甲板
「海岸に簡易的な砲撃拠点が海を見張るように設営されているねぇ。砲自体は対したものじゃないけど…」
「多分あれは東南アジア諸国連合制式の榴弾砲ね…。もはや中身は第一次世界大戦クラスのおじいちゃん砲よ。数がそろえばようやく面制圧できるレベルだから普通は集めて指定地点に待機させるものなんだけど…」
南はスコープ越しに砲撃拠点を見ていて間宮は能力で詳しい情報を探っていた。
「ゲリラ兵が散開してるわね…。これはあたし達でも骨を折りそうよ…って何しているの?六花ちゃん」
「F作業ですよ。今日の朝ご飯は焼き魚にハンバーグまでありますよ!」
F作業とはfishingから来た釣りという意味の言葉で釣りをしていることをいかにも任務ですという意味を持たせる言葉である。おまけにこの船には武装がないので倉庫内は調味料と食糧と3人分の弾薬しか詰め込まれていない。3人はきつい船内の居住スペースで交代で寝ていた。張り込みが続いているので現在は上部の甲板だけ浮上したままキッチンや食事用のテーブルまで設置されていた。カモフラージュようにカメレオンシートをテント上に張っている為向こうからは見えづらくなっている。
「わーい六花ちゃんのご飯だ!」
「毒はないわよね?どれどれ…見事にないわ。すごいわね」
「僕はお腹いっぱい食べたので2人分しかないですが」
六花の口元にはフグらしき魚のヒレがついていた。それも極彩色の
「むしろあなたの口から毒物反応がするんだけど…」
「そのバケツの中は毒見済みの魚です!」
結果から言えばすごくおいしかった。毒は無し、しっかり味の付いた料理だったが、それ以上にリッカーズがせわしなく働いていてそれを六花が動かしていることが気になっていた。急いで2人はリッカーズの周波数に合わせて会話内容を聞いた。どうやら六花は流し台にいるようだ。
「空いてる皿をこっちに持ってきて!」
『よ~そろ~』
『皿持ってきたよ!オリジナル!』
「君にはチョコレートをあげよう」
『流石オリジナル!分かってるぅ』
「「…何アレ」」
「お腹も満たされたしもっと詳しいスキャンをするわよ!…あれはよく見たらうちの旧型榴弾じゃないの!あれは教科書に載ってるレベルよ…。小梅!あれの特徴は覚えてるわよね?」
「強い衝撃に弱くて高温で引火しやすい。だから普通は使うまで弾薬庫に置いておくはずだけど…。今回は無理やり移動させたからそこに仮置きしてるのか…。今は真夏だから暴発してもおかしくないねぇ」
「あれに当てられるかしら?」
「お茶の子さいさいだよぉ」
今回付けているサプレッサーによって抑えられた銃声を響かせて飛んで行った弾は仮置きしている砲弾の炸薬部にあたり派手に爆発した。その周りでは警戒する兵士と手当を始めてる市民がいた。そして3人は島を制圧する方法を決めることにした。
「流石ね。これで警戒が手薄になるわ。さてここからどうする?」
「いい案があります…
この作戦が後にタヒチ大虐殺と呼ばれるとは知らず…。
タヒチ島 パペーテ東ア連基地
「しかし…何で俺らは来そうもない母国の軍を夜中に待たないといけないんです?あの遅さの船位見つけてからでも追い返せるんじゃないですか?」
「いいじゃないか来ないのなら。俺らの女神さまが守ってくれてるのさ」
俺がタヒチ基地に部隊ごと異動になって半年になった。地元から来た住民の大半は今の母国の少数の元キリスト教徒で、今は女神教団の敬虔な信者だ。しかし独立を本国は許可しなかったらしい。理由は鉱物資源が埋蔵されているからだろう。
「そうだ!昼の爆発は知ってるか?兵士が10人死んだらしい。だからあそこの置くのは危ないって…」
「しかし…やけに静かですね。いつもならオロヘナ山のスナイパーが定時報告してくるのに」
そんな怪しさを纏う島に緊急無線が走った。「こちらタイアラブ本部!チアフボオ前線基地から攻撃を受けたとの報告が来てその後音信不通だ。部隊は速やかに警戒態勢に入…ツー」
「クソ!タイアラブから来たか、しかし沿岸の砲撃拠点が砲撃してない?おかしい…対潜網があるのに潜水艦が通れる訳が」
そんな気持ちを抱えつつ彼はタラバオの町へ向かうのであった。
タヒチ タラバオの町
「意外とうまくいくもんですね!」
「小梅はうまくやってるかしら…」
『はいはーい!こちら南。オロヘナ山にいたスナイパーは片付け終わったから今からでも偵察するよぉ』
今回の作戦は見回した時、海岸砲が大半でその割には防御が薄かったタイアラブ半島から仕掛けつつ、南はオロヘナ山に潜入して偵察兼2人の支援に回るというもの。そして一暴れする事で南の潜入を誤魔化し、南が山に潜むゲリラを狙撃することで2人は奇襲を受けずに済む。そんな算段だったのだが…。
「六花ちゃん…暴れすぎよ。まるで空襲後じゃないの…」
六花がいつもの砲弾投げをしたせいで各地の基地は半壊。基地の兵士は全滅。弾薬庫は悲惨な状態。司令部は更地になった。六花はこめかみをかいて苦笑いをしていた。
「まぁ!次です!次!」
そう間宮をせかして半島の入り口に進撃していると、間宮がかなりめんどくさい物を見つけたため、彼女は穴を急いで掘って戦車の剝がれた装甲板をかぶせると六花に前を見るよう言った。
「えぇ、あれがそのやりすぎのおつりよ。じゃああたしはここのたこつぼに隠れておくわね」
そこのあったのは各地から集めた大砲や機関銃、兵士だった。彼等は六花を確認すると攻撃を始めた。容赦なく降り注ぐ砲弾に彼女は笑みを浮かべた。
「痛いのでお返ししますね。おつりは結構です」
飛んでいる砲弾をつかんでは投げ返し、銃弾は避けるか弾いていた。彼にダメージを与えるのは妹達の攻撃ぐらいだろう。案の定砲兵は吹き飛び兵士達は士気が下がっていた。
「ロケット弾とは…面制圧のつもりですか…」
それもご丁寧に返してやった。ちなみに当たるのは兵士の隠れる壁や戦車などで、兵士は更に士気を下げて、逃げ出す兵までいた。それにもロケット弾は当たり、いなかったことにされた。
『化け物…』『おやおや化け物とは…。なら退治しに来ないと食べられますよ?』
六花は大太刀を抜き兵士に近寄る。アサルトライフルを撃って対抗するが効果は無く、1人づつ斬り捨てられていく。即死するように斬るのがせめてもの良心なのだろう。
「カーリー・マーなのか…ここにいるのは…」
その言葉も血の海に消えた。
「出てきていいですよ先輩。終わりました」
地面からどさっと板をどかして出て来た間宮は辺りと六花を見て呟いた。
「カーリーよね…この様子じゃ。踊るのかしら?」
「カーリーって何です?」
「カーリーっていうのはインドの戦いの女神よ。血と殺戮を好むと言われてるわ。貴女がカーリーなら芽衣ちゃんはパールバティかしらね」
タヒチ駐留軍本部 地下
「そんなに血に飢えてますかね?」
「いやぁ、本当に刀もった時が彷彿とさせるからさ?」
「無駄話はやめなさい。貴方達が女神教団ね?」
目の前には膝をついて並べられていた。軍本部に入った際、間宮が地下にしか反応がないと言い、試しに六花が本部の床を破るとそこが教会になっていた。そこにいた3人の教団員を捕まえて今に至る。
「そうだが?我々は女神を信じてはいけないのか?」
「それはいいわ。だけどその女神の父と姉がキレててね?天罰を与えろとお告げが来たのよ」
すると教団員が笑い始めた。
「我々の聖典にある「女神の姉シクサーは我らが女神を愛し、仇なす者を打ち払わん」を引用したジョークか?それとも本気か?その後「シクサーはその際に若草色の剣を…振る…わん…」
彼等は六花が持つ薄緑色の大太刀を見て言葉の末尾が震えた。
「あら!降臨してるわね?続きを聞いても?」
「シクサーは…不死であり、仇なす者は…その罪を数えよ…だっ!!」
教団の一番最高齢の人間が隠し持っていた拳銃で頭を撃った。
「これで!」 「痛たた…ちょっと!先輩方!ボディーチェックしてくださいよ!」
「あぁ…我が女神に許されんことを…」
その後の東南アジア諸国連合軍の調査で、地元住民及び反乱軍の全滅を確認。本部の地下には袈裟斬りにされた老人が3人転がっているだけだった。
次回は真面目に後半書くので許してくだされ~!