日向のスイートマジック!
砂糖吐きそう。頑張って恋愛経験ほぼ0の中から絞り出しました。あとマフィア日向出てきます。因みに日向は「お姉ちゃんの敵」は排除するけど有益な人間は味方として信頼しています。
ハワイ オアフ島 日本人居住区
44分隊が九十九里浜進撃しているその頃、居住区の小さな家族経営のレストランでは可愛らしいウェイターがいた。
「いらっしゃいませ~!お兄さん達2名でいい?こちらに来てくださ~い」
可愛らしく客を誘導しているのは黒井家の末っ子。黒井日向本人である。これにはこういう経緯があった…。
回想
「あの…お願いが…あるの」
任務から2日前、六花と芽衣が任務まで待機していると、二階堂が近寄って話しかけてきた。その顔は深刻そうで、少し俯いていた。
「二階堂ちゃん?どうしたの?」
「何か嫌なことでもあったのです?」
「あのね…実家が…レストランしてて…怖い人来て…みかじめ料払えって…だからどちらかに護衛して欲しいなって…」
むぅ…日向達のハンターオブシチリアではなさそうだし、多分チンピラか何かだろうけど…。でも任務がすぐ来るらしいし…。
「ごめんね。今から任務があって…」
「私もあるのです…」
「そう…分かった」
しょんぼりとしている二階堂を見て、困っていた六花は今暇な最適な人物を紹介し忘れていたことを思い出した。
「そうだ!今暇で強くてその手の事は得意な人がいるから店で待ってて!今連絡する!」
「本当…?良かった…」
「まぁ…最適というか…その手のプロなのです…」
現在
「ふぅ…今の凄いでしょ!褒めて褒めて!」
「いい子…いい子…」
「フフ~ン♪」
今回の彼女の任務はレストランに来るチンピラを生死は問わずもう来なくすること。そこでレジスタンスと自警団内と裏社会上層部以外は無名な日向が店員として働きつつ護衛することになった。当初は不安視されたが、能力を見せるとすぐに納得してもらえた。因みに彼女的には「二階堂ちゃんはお姉ちゃん達に危害を加えない」ということで味方扱いである。
「次は…このコーヒーを3番に運んで…」
「はーい!」
傍から見ると二人は姉妹の様だった。そんな日向には質問が注文の時飛んでくる。
「お母さんのお手伝いかい?偉いね」
「お姉ちゃんのお友達の所で、お仕事でお姉ちゃんがいないからお世話になってるの!」
「そうかい、へぇ」
日向は笑顔で答える。彼女はこれが一番効果があることを知ってる。この顔が崩れるのはお姉ちゃん関係しかない。
いつものあいつ
「はぁ~やっぱりレストラン ニカイ堂は土日祝だけいる店員の涼花ちゃんがクール可愛いんだよね~。あの「すみません…注文聞いていいですか…?フムフム…ありがとうございます…お兄さん」が可愛いから常連になったんだよね~。ご飯も美味しいし」
居住区を歩くのは、新隊員を率いる立場になった栗原である。彼と言えば日向におもちゃにされるわ、鬼ごっこの巻き添えにされるわ、機嫌が悪い日向に電撃を飛ばせれるわで日向専属お目付け役に選ばれるところだったが椿のお陰で逃げ切った事で少し有名である。レストラン ニカイ堂とは二階堂家がやっている小さなレストラン。3日前に可愛い店員が入ったという噂が流れている。
「落ち着くクールな声の妖精とひまわりのような活発な天使ねぇ…。みなぎってきた!!」
栗原が恐る恐る扉を開けると、ある意味最高の光景が広がっていた。儚さの残る笑顔を見せる天使といつも自分を引きずり回す可愛い愛すべき悪魔がそこにはいた。
「お兄さん…いらっしゃい…いつものオムライスでいい…?」
「くーりはらっ!ここの常連さんなんだ!へー。いらっしゃいませお兄ちゃん?待っててね♪すぐに運ぶから!」
栗原は思った。「何だか知らないけど、このまま死ぬのかな…」と。
「唯一の常連のお兄さんとは知り合い…?」
すると、キッチンから二階堂が日向に話しかけてきた。
「栗原って言って、新隊員への訓練では厳しいけど、それらの全て部下に生き残って欲しいからとかいうツンデレさんだよ!あと凄く優しいんだ!だから私は信頼してるの!」
「ふぅ~ん…栗原さん…私も出来るなら栗原さんの部隊に配属されたい….実はねずっと前から好きで…あの笑顔が素敵の所とか…ドジった時も慰めてくれて…」
「衛生兵は今あの部隊にはいないと思うけど…」
どうしてもお姉ちゃんの友人で、お気に入りの二階堂の恋を叶えてあげたくなった日向は栗原のテーブルに行って聞いてみた。
「栗原~!今部隊には衛生兵って居る?」
「えっ!いや?いないと思うけど…小銃手の俺と機関銃手の田中、工兵の西寺の3人だしな」
「衛生兵でマークスマンの新隊員入れない?」
「素性は?」
「小梅姉が認めたマークスマンで、芽衣お姉ちゃん仕込みの応急処置技術持ち。因みに女の子だよ!」
「俺らの第4偵察班には勿体無いなぁ…。もっと安全な所とかだな…」
「条件は栗原がいること。理由は本人から聞いて」
因みに先程の笑顔や慰めてあげたことは彼にとって「どうせ高嶺の花なら愛でよう」という気持ちからだったのだが、結果的に上手くいったのである。
「それで名前は?]
つかつかと二階堂は栗原の席に来て敬礼をした。
「二階堂…涼花です…。あの…その…よ、よろしくお願い…いたします」
赤面しながら二階堂は栗原に挨拶をした。何だかこの辺だけ甘い匂いがしそうだった。
「日向ちゃん…電撃をかましてくれ…。ここに来ること自体が夢だったかもしれない」
「はぁ~い」
依頼通り電撃を浴びせるとピンピンしてる栗原がいた。
「夢じゃない…。バンザーイ!バンザーイ!」
「理由は聞かないの?」
「理由は何なの?」
「あの…それは…これを読んで…ください…。失礼します…!」
「ふんふん…『常連のお兄さんへ。いつもあなたがお店に来てくれるのを楽しみにしてました。最初はただ、私の担当のオムライスを美味しそうに食べるなぁって思ってました。でもその内にお兄さんの事を目で追ってました。任務でお兄さんが来ないときには落ち込んでいました。だからレジスタンスに入れば会えるかなって思って毎日東城教官から付きっきりで訓練を受けて…っていかがわしくないですよ!普通のです!でも店でしか会えなくて…だから想いをこの手紙に書きます。私はお兄さんが好きです。ラブ的な意味です。だから付きあってください。二階堂涼花より』」
「あの…これオムライスです…。召し上がれ…?」
そこには不器用にハートマークがケチャップで書かれていた。そして、それを見た栗原は二階堂を立ち上がって抱きしめ、こう言った。
「こちらこそ好きです!どんなことがあろうとも涼花ちゃんには生きて隣にいてもらいます」
「じゃあ…部隊移籍契約成立…ですね…?」
「ん?そんなことは簡単には「出来るよ?」日向ちゃんまさか!「パパを支配してるのは私だよ!」」
そのくだりを聞きながら二階堂は笑っていた。しかし間が悪い奴らが来た。
「おら!!みかじめ出さんかい!」
ヤクザが調子よく来たが、間が悪かった。今来なければ死ななかっただろうに…。
「お兄さん達が私のお姉ちゃんの友達からみかじめ取ろうとしてるゴキブリだね?今私はキレてるよ…」
「ガキは引っ込んでろ!」
「ふぅ~ん?日本任侠会はそういう姿勢なんだぁ?」
「何で組を知ってる!」
「下部組織の事は知っておかなきゃ。ほら」
日向はハンターオブシチリアのボスの座を表す懐中時計を見せた。
「「ドン・ソーレ…」」
「残念だなぁ…。沼野のおじさんはうちに従うって言ってたのに…。裏切るんだぁ…。」
「あっアニキ!組長につながったっす!」
『おい!何だ騒々しい…』
「もしもし?私」
『ドン・ソーレ!何でしょうか?』
「そうそう用事があって!それでね♪堅気に手を出すなと言ったよねぇ?裏切りかな?」
『いえ…私は…。何も関与してないので…。』
「分かった!なら…楽しい狩りを始めようか」
『ひっ…!だ、誰ズダダッダピープツッ』
「ふう…。で?お兄さん達?10数えるから消えて?」
「ひっひい!「10!…1!」ギ」
電撃が走り、二人は無かったことにされた。人体の電気分解実験にはなっただろう。
「さぁて!お二人とも!もう安心だよ♪」
そこには心底から二人の門出を祝う素敵な無邪気な笑顔があった。
遅れたけどマフィアどころか暴力表現注意!