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黒井家と姉妹と父親と

この回の次から水無月君のシスコンが爆発する予定でございます。

オアフ島 ヒッカム航空基地 司令室


「で?この書類には養子縁組と書いてあるんだが」


「正式には親父の養子ではなかったからね」


「今日から黒井家の娘になるのです」


この前の件でこれまでの正式にはいとこの関係から本当の姉妹になるべくかねてよりあった養子の件を解決しようとした。親父は今でも妻子の事を気にしていて、僕もメイちゃんにいろいろ背負い込ませないために保留中だった。しかしデート後、「私とりっちゃんは一蓮托生、どんな時も支えてあげるのです!あの時のりっちゃんみたいに」と熱いプロポーズを受けたので、今回の件に踏み込んだということだ。


「ということは、そちらはもう大丈夫なのか」


「あぁ!メイちゃんは強かったよ」


「そうか…。もう俺もあいつ等には縋り付いていられないな」


「これからは可愛い娘達が一緒にいてあげるよ」


「大体お転婆な娘だがな」


そういう親父の目は久しぶりに笑っていた。親父、奥さんが笑ってるといいな。すると親父は「その代わりに」と言った。


「そろそろ親父はやめてくれないか?何か違和感がな」


「どこに?」


「りっちゃん意外とかわいい顔してるのです。だから何だかトイプードルが土佐犬の服を着てるみたいな違和感があるのです」


「可愛い?」


「髪を伸ばせば美少女だぞ」


まぁ…一応五月家の血筋の人は男女問わず何故か可愛い顔してるから不思議ではないけど…。すると外に待たせていた子がドアを開けて入ってきた。


「いつまで待たせるのじゃ!待ちくたびれた日向が「部屋にいるねー」と帰ったのじゃ!」


「椿、いつも日向が迷惑かけるね」


「椿ちゃん!今日は洋服なのですか?」


「うむ!意外と悪くないのぉ」


「この五月姉妹の特徴を混ぜ込んだような黒髪少女は誰だ?」


「私は元五月家15代当主が娘、今は黒井家三女黒井椿なのじゃ。詳しくは私の記憶を埋め込んだだけのクローンなのじゃがな父上殿」


「クローンなんて…。あぁ…七瀬博士か。なるほど、分かったがやはり能力者なのか?」


「能力は持ち合わせていないのじゃ。だから精々家事しか出来んの」


椿には能力がないが、この前リッカーズと普通に話していたけど…あれも能力なんじゃ…。そう思っていると葉月さんが通信を入れてきた。


「椿ちゃんのカバンについてる盗聴器から今の話を聞いたけど、彼女は一応能力者よ。確認されたのは研究中にテレパシーを感じたわ。彼女曰く、話を聞かないから送信したらしいわ。だから能力は念話能力かしら」


テレパシーで話してるからリッカーズでも大丈夫なのか。親父は何だか安心したような顔で「そうか」とだけ言った後、書類にハンコを押し始めていた。最近は日本方面を解放したため基地が増えてそこの資源のやりくりや、更に戦死した隊員の遺族への見舞い金、そして日本人居住区の行政機関が暫定的にレジスタンス日本支部になっているため、商店街や居住区のことも取り仕切っていて、ほとんど家には帰ってこない。メイちゃんがこの前「パパさんはいつ帰ってくるのです?たまにでいいからお話ししたいのです…」と言っていたので、少しでも帰るようにある作戦を立てた。メイちゃんは「それを言えばいいのです?」と言っていたのでこの破壊力には気づいていないのだろう。その言葉は!


「あの…。パパさん?」


「何だ?」


「初めての娘からのお願いなのです。出来れば…出来ればでいいから時々一緒におうちでパパとお話ししたいなぁって…」


「…」


親父はおもむろに電話を取り、多方面に連絡しだした。


「おう!東城か?…。あぁ…要件はだな1800以降の俺の業務を代わってくれ。…。何?嫌だと?ならば上官命令だ!代わってくれ!以上だ!…。芽衣の数少ないおねだりだぞ!…。分かってくれて何よりだ。じゃあな」


「レジスタンス日本支部司令長官黒井則道だ。コードエンジェル案件だ。これからは居住区のことだけをやる部署を作ってくれ。早く帰りたいのでな。 あぁ!そういってくれると思ったよ。ありがとう」


「食糧生産管理組合か?俺に要望書は送らないで結構だ。 仕事が増えてうちの芽衣が家で私の帰りをを待たせてしまってるんだ。 理解があって嬉しいよ」


「マリアか?いきなりで悪いな。今度からはオアフ島内の基地には基地ごとに納入数を相談しに行ってくれ。 よくわかったな。そうだ、うちの芽衣がな。 見てみたい?なら今回の件を受け入れたら絶対に会わせてやろう。 分かった。よろしく頼む」


「ふぅ…。これで早く帰れるな」


何だか仕組みごと変えてしまったけど、いいのか?そしてメイちゃんは全てで効力があったけどここまでファンクラブは浸透しているのか…。おそろしや~。


「すごいのぉ…」


「こっ、ここまでしなくていいのです!」


「森永め!何が『芽衣ちゃんが応援してますよ!次の仕事です』だ!実際にはこうじゃないか!後で鴨川に送ってやる」


どうやら上手く秘書の人に乗せられてたようだった。するとノックの音と共に件の人が入って来た。あぁ…よく見たら今の言葉で状況を察したメイちゃんが怒っていらっしゃる。


「司令、新しい仕事です。芽衣ちゃんが…。って…本人!しかもどうしたんですか!えっ司令、何その指示」


「りっちゃん、お願いするのです(海に放り込んできて)」


「森永さん、すみません。うちの芽衣ちゃんが親父の忙しさの原因を見つけたみたいで」


僕は森永さんの腰を抱えた。そして海の見える大きな窓を開けて彼の足を手の上に置いて腹を支えるという水無月式脳筋爆撃体形を取った。


「いえっ!何の事です?」


「森永、お前は言ったな。芽衣は仕事をしてるあなたが好きだと」


「そうだ司令!助けて」


「あれは嘘だったのだろう?」


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


僕は森永さんを投げ飛ばし、数百メートルほど飛んで行った彼は海面に大きな水柱を立てた。


「森永さんはどうなったのじゃ?」


「放してやったよ」


異変に気づいた海軍部が助けに行ったし大丈夫でしょ。


「これでお仕事は?」


「なくなったな!」


そう言って笑う親子4人がそこにはいた。




「ごはんまだ~…」


一人は家で腹を空かせていた。

ついでに言うと芽衣ちゃんファンクラブは推定基地の隊員の9割が加入していて、居住区のアイドルでもあるので基本的に芽衣ちゃんのお願いと言えば大体受理されます。

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