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初見殺しと素敵な地獄

日向ちゃん式訓練開始!

「じゃあ私は五分ここで待機してるからみんな逃げてね!本気でね!」


「日向ちゃんはそれで大丈夫かい?追い付かないんじゃ」


「大丈夫!人間の逃げるスピードなんて私には亀の歩くスピードと変わらないもん!お兄さん達はそれよりも別の事を考えるべきだよ!」


「教官長の東城だ。ヒッカムチーム以外は知らないだろうが、お前らはここからは日向ちゃんの手のひらでもてあそばれるおもちゃの1つと考えておけ。あれは見た目は猫のような可愛さだが、中身は猛獣なんてもんじゃない。お前らは腹をすかせたライオンの前にいると思え。以上だ!早く逃げろ!」


むぅ~!おじさんの馬鹿!私にも乙女心があるんだから!後で日向号で引きずるからね!

真剣に東城教官が話しているのを何事かと思ったが、その時はただの檄を飛ばしただけと思ったものも、ヒッカムチームの異常に気づいてこれの意味を理解した。ヒッカムチームは今から決死の作戦でも行くかのように覚悟を決めた顔で遺書を書いていた。そして準備体操を始めたバチバチと火花を散らした日向ちゃんの姿で察した。「俺らはとんでもない訓練をすると」。そしてヒッカムチームのリーダーが言った言葉が隊員達を動かした。


「にっ、逃げろ!少しでも生き残りたければ死ぬ気で逃げて、気配を消して、何が何でも逃げろ!死にたくなければ!」


「「「うわぁあああ!」」」



「みんな変なの~?鬼ごっこなんだから死ぬわけないじゃん!」




「そろそろいいかな?電子レーダーは?3つ反応がある。ここは…。あぁ~建物があるところか!ならこの三人から捕まえちゃえ!」


しばらく飛んでいると目的のコンクリート製の建物があった。周りは反応なしの為この中で籠っているようだった。その為とりあえずドアを開けることにした。鍵があろうと吹き飛ばせばいいというのが彼女のポリシー。そのため、ドアをコイルガンの原理で発射した鉄筋で中に吹っ飛ばした。


「お兄さ~ん!鍵掛けて閉じこもるのは反則だよ!お兄さんには痛くしちゃうからね!」


彼女は一人ずつ抱きしめてこう言った。「お休み、いい夢を」。隊員達は体に流れる電流を感じて、気を失った。日向ちゃんは3人を浮遊しながら運んで檻に入れた。



「どうやらトーチカ組は捕まったようだ」


「栗原さん?この鬼ごっこはどこが異常なんです?」


「そうだ。あの子は何者だ?」


栗原たちは森をにわなを仕掛けながら移動していた。そこで疑問がある二人の別基地所属の隊員が栗原に話しかけていた。


「五月日向は水無月六花と芽衣ちゃんの妹で、電気に関係する力全般を扱う能力者。性格は無邪気な子供特有の残酷さを体現したような子で、今回も磁気浮遊しながら時速40㎞で近づいてスタンガンのような電撃で気絶させてくる」


「見つからなきゃいいんじゃないですか?」


「電波を使ったレーダーや生体電流の探知で探してきて、地下深くだったりしない限りはそれらに引っかかる。コンクリの建物で尚且つ窓がないところは見つかりにくいけどそういう所ほど重点的に探してくる。」


「そんなのと鬼ごっこなんて勝ち目がないんじゃないか?」


「あの子が止まるのは飽きるか、姉たちに止められるか、満足するかじゃないとこれは終わらないし、今も見つかっているけど、他のグループが犠牲になっているから大丈夫なのだろう。」



「むー…。これじゃつまらないよ~!ヒッカムチームと5人の他の隊員しかもういないじゃーん!」


先程までお粗末に木の上にいたり、茂みに隠れてたり、箱を被っていたり、むしろ隠れていないで逃げ切る気満々なグループだったりと簡単に捕まるので少し物足りないと思っていた。すると近くで3人の反応があった。


「この100m先で走ってるみたいだね。逃がさないよ!」


そこに急行すると見慣れた顔がいた。栗原隊員と知らない隊員2人が急いで逃げてた。


「みーつけた!待て待て~!」


少しでも楽しむためゆっくりと追いかけたが、いきなり腰元に違和感を感じた。何と蔓がくくり罠に加工されていて、それに引っかかったのだ。


「むー!小癪な~!こんなのやるのは栗原しかいないし!あー!めんどくさい!本気で行くよ!」


何とか引きちぎるが栗原は200mは離れてしまった。そしてよく見るとそこらにくくり罠や足止めの為か張られた蔓、鳥もちや煙などの嫌がらせトラップが張り巡らされていた。これは何度も鬼ごっこに巻き込まれてきた栗原独自の逃走術で、この鬼ごっこのおかげか、彼は撤退技術だけはエキスパートになった。他にも気配消しのエキスパートもここに参加していて、彼は潜入班のトップよりステレス性が高くなってしまった。しかし、彼等は知らなかった。本気がどのくらいかということを。



「ふぅ…。数分は稼げるだろう」


「あんなの鬼ごっこじゃなくて狩りじゃないですか!」


「恐ろしすぎて冷や汗が止まらん」


何とか逃げたと思った栗原は少し止まって様子を見ていた。本気で追いかける日向ちゃんには気づいてはいなかったのが今回の敗因だろう。不意に見ると1人の隊員に何かが張り付いていた。茶色いサイドテールの幼い少女だと気づいたころにはもう自分の番になっていた。


「栗原?油断は駄目だよ?そういう奴からやられてるでしょ?」


「あぁ…。優しくお願いします」


「だーめ!」


日向ちゃんは、いつもの調子(六花お姉ちゃん用)で電撃を放った。


「ぎぃっ!あがっ!」


その為痛みより先に意識を失った。


「栗原ゲット!次は河野と固まって動いてる7人だけど、固まってる隊員しかレーダーで見えないや」


仕方ないので固まってる隊員達を捕まえることにした。



「はぁ、はぁ、お前ら大丈夫か!」


「俺ら以外は捕まっただろうな」


「半分は嘘かと思ってたが、ここまで来たら本当だとしか信じれないな」


「しかし後3人はどうした?」


7人のグループは今や3人になってしまった。彼等が見てない間に日向ちゃんがさらっていったのだが、急いで逃げた彼等は気づいてはいなかった。その元凶が後ろから来てるのには。


「俺はっ!」


「どうし、ぐっ!


「お前らどうしたんだ!」


「まさか!」


「そのまさか~♪」


二人が後ろを向くとそこにいたのはヒッカムの電撃姫の日向ちゃんが倒れた二人の上で座っていた。


「ここまでか!」


「くらえ!」


一人の隊員がは途中にあった網発射クラッカーを撃ったが、勿論当たらない。その網発射クラッカーは日向ちゃんのトラップのエサだったからだ。直筆で「エリア中央の小屋のそばにEMP装置あり。使うがいい」と東城さんが書いた偽のメモがそれに取扱説明書と一緒につけられていて、従って動くと動きが日向ちゃんにバレバレになる耐ヒッカムチーム用のトラップに彼等は引っかかったため、あえなく御用になった。



『うぅ~ん。ここは探しにくいだろう』


河野隊員は今、レーダーに映りにくくするため池の中に筒を使って隠れていた。幾度も行われた鬼ごっこでの経験で日向ちゃんの能力は対象が水中やコンクリートの中にいる場合は探知ができないと分かったため、彼は池の中にいた。そして濁っているのも彼にとって幸運だった。


「あーれー?河野だけが見つからない…。水中は濁って見えないし…。そうだ!見えなければ電撃を加えて探ろう!」


手を付けて電撃を加えると次第に魚や人が浮かんできた。鮒や鯉や河野隊員が浮かんできたので、隊員を引き上げて檻まで運んだ。




「これで全員捕まえたね!よ~し、お仕置きだ!」


お仕置きは決まっていた。簡単な事だった。物足りないから扉を開けてみんなをならばせこう言うだけ。


「ようこそ!第三種目の鬼ごっこに!もう一度楽しんでいってね!」


そう、無限ループである。まだまだ彼女は遊び足りないようだ。

やる気になれば雷でみんなしびれさせて回収もできますがそれでは鬼ごっこじゃないということで使わないという設定ですか。前回のデート時の轟音はトーチカのドアを吹き飛ばす音です。

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