ドキドキ!真夏の日本支部合同訓練
あのデート時の大騒ぎは次回書きます。
ハワイ オアフ島 第4訓練エリア
訓練エリアの入り口の特設ステージで一人の幼女がマイク片手に地獄の始まりを告げてた。
「みんな!ドキドキ真夏の新兵合同訓練の準備はできたかな?じゃあルールを説明するね!今回はみんなが楽しめるように、東城のおじさんと小梅姉と日穂姉と考えて遊びながら訓練しようということになったよ!ちょっとー!ヒッカムチームは聞いてるの?寒くないのに震えるなんて…。これが武者震いってやつ?楽しみにし過ぎだよ~!」
ヒッカムのみんなはすごい楽しみに待ってたみたいだからルール説明してすぐ始めなきゃ!あれ?おじさん達が固まってるけどどうしたんだろう?
〈予定は作ったけど過去一番きついわよこれ…〉
〈死人は出ないけど怪我人とその他がとんでもないだろうけどねぇ…芽衣ちゃんには怒られるかなぁ〉
〈二人共…最終訓練は諦めなさい。そしてここからは二人も殺さない範囲でしごいてやりなさい。平和ボケした奴らの頭に兵士の心を叩き込んできなさい〉
〈〈かしこまりました〉〉
「予定は3種目行うこととなっていて、第一種目は近接戦闘サバイバルゲーム!そこの間宮教官相手に組み手を行うよ。人数は基地ごとに3分の1の人数まで参加できるよ!人数がいないとその分きつくなるから気をつけてよ!どちらの武器もテイザーガンと特殊な非殺傷スタンナイフと徒手格闘だよ。水無月お兄ちゃんがいたらこれで怪我人が続出してお姉ちゃんがお休みだから如月さんに適当な施術されるところだったんだよ!良かったねー!勝ち負けはどちらかが気を失ったら負けという単純ルールだよ。
第二種目はかくれんぼ!南教官から狙撃されずにどこまで前進できるかを競うよ!撃たれるのはペイント弾だから安心して!選手は同じ3分の1を参加させてね!遮蔽物に隠れつつ急いで動くのがミソだよ!コースは森の中に物を置いた2000mのコースを用意したよ!ちなみにずるできないように周囲は高さ10mの電気柵に覆われているよ。
そして第三種目は私と鬼ごっこが最後のレクリエーション枠であるよ!絶対みんな捕まえるからね!ルールはこの第4訓練エリア内で逃げて捕まったら特製のその檻に入れるよ!制限時間4時間で、全員捕まったらきっついお仕置きを用意しているよ!捕まった人はエリア中央の小屋の中にあるスイッチで解放されるよ。頑張ってね!何でヒッカムチームはそんな絶望してるの?ねぇ?栗原。そして訓練だから全ての種目で不真面目であったり、手を抜いてると判断したらもう1回初めからだよ!真面目にやるんだよぉ!分かった?じゃあ教官のみんなからお話を…って。何でお顔がひきつってるの?」
〈全ての種目ってことは…〉
〈鬼ごっこも対象ということだねぇ〉
〈つまりはヒナちゃんが「あっけなさ過ぎてつまらない」とか言ったらお仕置きの後にまた鬼ごっこよ…〉
〈更にヒッカムチームは知ってるから今の言葉で真っ青だったねぇ〉
〈幸運な点は鬼ごっこと言う訓練が他の基地では知られてないから士気が下がってない事ね〉
〈ヒッカムチームのリーダーは天を仰いでるけど大丈夫なのかなぁ〉
〈あれはヒナちゃんが大暴れした第2世代の鬼ごっこ被害者よ〉
〈ドンマ~イ〉
「おーい!二人共ー!挨拶しないと!」
全く~!おさぼりはダメだってお姉ちゃんが言ってたよ!
「あーはいはい。近接戦闘の教官をやる間宮よ。本気でかかっていらっしゃい!真っ直ぐな子は嫌いじゃないわ!あたしより水無月君の方が適任じゃないのかしら」
「かくれんぼをやる南だよ~。あまり適当に動いてるとヘッドショットしてしまうかもだから真面目にねぇ」
「そして鬼ごっこの鬼役の五月姉妹の末っ子の五月日向だよ~!よろしくね」
これで始められるね!ヒッカムチームはせっかちだなぁ~。みんな早く始めたくてうずうずしてるね。他の所属の皆おとなしくしてるのに、なんでヒッカムチームはうずうずを隠さないんだろ?これじゃあヒッカム航空基地の評価が悪くなっちやうよ。
〈俺の為に犠牲になってくれ!栗原!〉
〈まさかのスケープゴート枠なの!あの子!〉
〈栗原隊員に敬礼~!〉
何で小梅姉は敬礼してるの?そしてヒッカムチームはなんで答礼してるの?健闘を祈る的な意味かな?私には分からない。
「第一種目近接戦闘サバイバルゲーム開始!諸君健闘を祈る!であってるの?おじさん」
「合ってるぞ」
「さて!みんな頑張って!」
間宮サイド
最初はもっと連携が取れているかと思った。まさか赴任1年目で訓練してきた格闘術をすっかり忘れていたなんて。下手したらあたしより年上のガタイのいい男が1チーム6~7人で襲ってきてあたし少しときめいたのにまさかの雑魚過ぎて萎えたわ…完全に。そこにはうずくまったり気絶した隊員達がいた。補足するが彼らが弱すぎるのではなく完全に動きを読めて、何処から来るか何をするかが手に取るように分かる間宮日穂自身が異次元なだけなのだが、そこはヒッカムナンバー2の鬼教官。彼らが怠けてると考えた。
「あんた達には○○ついてるの?!この○○無し!本気でかかってこいと言ったでしょ!さっさと起き上がってかかって来なさい!お姉さんが頭からナニの先まで調教してあげるわよ!」
そこからは凄かった。殴りかかる者には捌いて投げ飛ばして、スタンナイフは躱して武装解除し、テイザーガンは撃つ前に腕ごと蹴り飛ばした。何がすごいって、全チームを相手にここまでやったので怪我人が…という事である。何とかこういう訓練に慣れてるヒッカムチームは怪我が少なくなるように反撃されたらなすがままに投げられ、武装解除され、テイザーガンだけ蹴り飛ばすように調整したために軽いけがで済んでいた。彼らは間宮教官より南教官よりやりたくなかったものがあったので彼等は前二つを熱望して結果殴り合いで決めていた。ちなみに栗原隊員は真っ先にボコボコにされていた。
「くそ…強すぎる…」
「なんていう技術だ…」
「鬼ごっこよりは…まし」
「何よ!ここまで腑抜けてるとは思わなかったわ!後三周するわよ!」
『助けてくれぇ!』
「鬼ごっこよりは天国の様だ…」
南サイド
日穂さんはいいなぁ…。こちとらやる気のないような連中しかいないし、やはりヒッカムのみんなはすごいなぁ。気配まで消してる。耐ヒナちゃん用かな?まぁ見えてるからヒッカムチームもすぐに狙撃したけど。他の隊員はまず隠れることから始めないといけないくらいにはお粗末。スナイパーがいるところで目立つ動きはご法度。アイクは動くものに反応するから今のは食われていたね。さてスピーカーでお説教するか。
「あー!あー!聞こえる?こちらからバレバレの動きをしてるチーム!主に第3・6・8基地の隊員はおばあちゃんが横断歩道の渡るとき位ゆっくりだよ~!それじゃあアイク達に頭からもぐもぐされて死ぬよ~!もう一回今度はヒッカムチームみたいに気配と動きを見せずにね!」
隊員同士では敵味方よりも戦友的な友情が芽生え始めていた。
「無茶だろ?こんなヒッカムチームみたいな影の薄さ」
「今回の最後に鬼ごっこがあったろ?あれは多分どの任務よりもつらい。だってあの子の能力を知ってるか?」
「あれも能力者なのか?なら足が速いとか?」
「電気関係全般を扱う能力者だ」
「何がいけないだ?」
「磁気浮遊で飛んでいて、時速40㎞で迫って電気を流して、気絶すると臭い食べ物や薬品を食べさせるか鼻に詰めるか近づけて気付けをしてきてそれをエンドレスだ」
「今回は檻に入れるから大丈夫だろ?」
「あの子が満足するのは自分の気に入る逃げ方をし始めてからだ。今回は満足いくまで全員捕まえてお仕置きして逃がして捕まえてと繰り返すだろうな」
「つまりは、一番楽に見える鬼ごっこが1番きつかったと」
「ヒッカムチームではやる人間を選ぶため喧嘩までしたからな」
「大分隠れられてるけど気配はするなぁ。…やっぱりそこにいたか。ヒッカムも頑張ってはいるけどまだまだねぇ」
もう一度言うがこの隊員達の練度不足よりも彼女らが異次元なだけである。しかしこの訓練だけは怪我人が出ず、和やかな雰囲気で隊員達は訓練した。
「ようこそ第三種目の鬼ごっこへ!みんなの楽しんでいってね!」
「俺らは鬼ごっこで良かったな!」
「あぁ!そうだな!」
「冗談だろ?お前らはあれを知らないから言ってるんだよな?」
「あれって…ただの鬼ごっこだろ?」
「まぁその内これの異常性に気づくさ」
これから悪魔の1日と呼ばれる素敵な地獄が待っているなどヒッカムチームしか知らなかった。
次回!隊員達精神崩壊!訓練開始!