メイちゃんとデート 後編
気にしたら負けです。
僕等は今中央病院から出てモノレールの駅にいる。秋雲さんはいつの間にかいなくなってたけど気にしないことにした。メイちゃんはこれからよく行くお気に入りのお店で買い物をしたいと言い飛行場通りまでモノレールで行くことにしたのだけど家から飛行場通りってかなり距離があるけど、いったいいつもどう通っているのだろ?鼻歌を歌いつつにこにこしてるメイちゃんにいつもどう通ってるの?と聞いてみると。
「通りでジープに向かって手を振ると乗せてくれるのです!だから結構遠くまで行けるのですよー」
流石はアイドル的存在。そしてその運転手緊張しそう…。そして訓練エリア付属の森からすごい音がするけど砲撃かなんかの演習かな?そして怪我人が揃って「俺らは助かった…」と言っていたけど何してるんだろ?予想は三つあって1つ目が東城さんのガチ訓練。2つ目がノリで参加した先輩達が暴れてる。3つ目は聞くも恐ろしい2つに妹二人が面白がって入ってカオス空間と化している。さてどれが正しいかは分からないけど隊員のみなさんご苦労様です。
「今になってずっと悩んでたのが馬鹿らしくなってきたよ…」
「りっちゃんが反乱に加わった他の団員を殺さなかったことに驚いてるのです。むしろ病院を襲うよう命令した団長さんを殺してくれてよかったのです。あの時は助けが来なければ危なかったのです」
「メイちゃんは優しいなぁ」
「嫌うわけがないのです。何年姉妹としてやってきたと思うのです?」
「なら、もう一つ秘密を話そうかな?」
「何なのです?」
「冷蔵庫の中バケツプリンね。あれ美味しかったよ!」
「それは許さないのです!」
メイちゃんはモノレールが来るまで僕の頬を思いっきり引っ張ってきた。おかげでモノレールが来てもまだひりひりと痛んだ。席に座った途端にメイちゃんはバケツプリンについてお説教を始めた。人のものを食べるのはどうとか、昔からそうだった等々飛行場通りに着くまでそして着いてもなお説教は続いた。
「全く!ヒナちゃんもりっちゃんも何で人のものを食べるのですか!回復だって疲れるのですよ!」
「本当に申し訳ございません…」
まぁ、日向も食べてたし椿も食べてたけど言わない方がいいかな?ふと見るとメイちゃんはジト目をしていた。あたかも隠し事は無しなのですよと言わんばかりの目をしていた。
「あの量を完食するにはりっちゃんだけじゃ足りないのです。ヒナちゃんが椿ちゃんにも食べさせて責任転嫁でも図ったに違いないのです」
日向…。お姉ちゃんは駄目だったよ…。
「申し訳ない…」
「今度スイーツバイキングに一緒に行ってくれれば見逃してあげるのです」
要求のような可愛いおねだりくらいお姉ちゃんは分かってるからね。するとメイちゃんはニコッと笑っていた。まるで昔みたいな無邪気な笑みだった。
「りっちゃんは本当に私の事が好きなのですね~♪」
「初めて会った時からの一目ぼれだからねぇ」
「久しぶりにりっちゃんが昔みたいな笑い方をしていて嬉しいのです」
メイちゃんの差し出した鏡にはいたずらっぽく笑う僕が映っていた。メイちゃんは昔みたいに無邪気な顔でこちらを向き。
「お帰り、りっちゃん♪」
「ただいま。メイちゃん」
そこにはただ、仲の良い姉妹がいた。お互いを信じ、そして愛しているそんな姉妹が。イチャイチャしていると目的の店までもう少しの所に来ていた。外側は蛍光色で昼過ぎの太陽と合わさりチカチカする。メイちゃんは似合ってるけど僕には少し厳しいかな…。
「ここは着ぐるみパジャマ専門店なのです」
「着ぐるみパジャマ専門店?」
「姉妹でここの着ぐるみパジャマを着るのです。そしてみんなで一緒に寝るのです」
着ぐるみパジャマを着る…。メイちゃんはうさぎとか猫とかが似合いそうだなー。日向は犬とか?椿はキツネとかそういう和風のが似合いそう。店内は外装と同じく蛍光色で少し落ち着かない。店内は少し狭くて店員らしきものがいた。らしきとはその人が何故かホットドッグの着ぐるみでカウンターにいたからである。着ぐるみパジャマとはそっち系のものだったか。
「いらっしゃいませ~。あれ?芽衣ちゃん?隊員は全員召集のはずだけど」
「うちのりっちゃんが暴れたから出禁にされてるのです」
「酷い!僕は何もしてないのに!」
「他の隊員を格闘戦でボコボコにして、尚且つ弾丸を避けていたのは誰なのです?」
心当たりしかないや。あれは接近戦のできない方が悪い!僕は悪くない。
「あ~!彼がうちの旦那の言ってたお兄さんね!」
「これでも一応はお姉ちゃんなのです」
「あら!確かに中性的な顔だから分かりにくいわね」
店員さんは僕に顔を近づけながら、まるで採寸するように僕の周りをぐるぐるしながら話していた。メイちゃんはもう着ぐるみパジャマを見繕っていた。
「あら!自己紹介送れたわね!東城結花よ。宜しくね」
「旦那さんとは教官でしたか!」
「最近生き生きしてるけど貴女のおかげかしら?電気がどうたら」
「妹が申し訳ないと伝えておいてください」
この基地で電気なんて日向以外はいないでしょ!でも生き生きしてるなんてあの人中々ドMなのかな?今度親父に聞いておこう。元々同僚だったらしいし。
「電気を食らったら悩みが消えたそうで、今では楽しそうに仕事してるわ」
「ならよかったです」
「りっちゃ~ん!これとかどうなのです?」
いたずらしてますと言わんばかりの顔で持ってきたのはナメクジっぽいけどとても見覚えのある生き物と耐久性が自慢の奴とあとよく分からないトカゲっぽいものがあった。
「まず名前を読み上げようか」
「えっと、プラナリアと、クマムシと、トカゲなのです」
「チェンジで」
なんで耐久性が高いほぼ死なないようなのを持ってくるのかね…。次に持ってこられたのは白い猫らしき生き物。
「そんなミーム汚染が激しそうなのは返してきなさい!」
「可愛いのに…」
「何でこんなに奇怪なものが…」
「これはどうなのです?」
「ペスト医師…」
「その通り!ペスト医師よ!」
「りっちゃん…。怖いのです」
へこんだけどこの見た目だから怖いよね。もっとかわいいのはないの!癖が強くて対応しきれないよ!ふと見ただけで魚雷、マイク、ライフル弾などなかなかきつい。何か疲れるなぁ。
「私はカラーバリエーションが多い猫がいいと思うけど?」
「それがいいのです!」
「早く言ってくださいよ…」
「厄介…いや色々見てもらおうとして」
「私はオレンジ色にして、りっちゃんが青!ヒナちゃんは黄色で、椿ちゃんは赤!これでどうなのです?」
「すごく可愛い!」
「えっへん!やればできるのですよ!」
とりあえずここはもう来るべきでないのは分かった。そう心に決めながら着ぐるみパジャマ4着を持って家に向かった。
不老不死が欲しい!