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回収と蜂起と鎮圧と

グロイよ!重いよ!遠回しに表現するよ!

僕達は今、素材の回収と隊員の遺族へ送る遺品や遺骨の回収をしていた。ここの基地司令もせめてもの償いにとついてきている。この人は元館山基地の守備隊長であの生存してた戦車大隊の隊長の人だった。司令部からは予想よりも被害が出ていない事を褒められたが、部隊は歩兵の6割が戦死や行方不明であり、車両は半分以上が壊されてしまい、戦死した隊員達に対して申し訳ないと本人が言っていた。


「これは…。12狙撃小隊のワッペンか…。やはりやられていたか」


「こっちのエリアは綺麗にやられてるから遺骨は回収できそうね」


「こっちは駄目そうだね~。ドックタグどころか顔が滅茶苦茶だ」


先輩達はテキパキと遺品回収をしているため、もうそろそろ終わるところまで来ていた。メイちゃんは怪我人の手当てで忙しそうなので3人で行ってはいるが、暑さで遺体が傷んできている為、早く終わらせたほうがよさそうだった。


「こちらは回収終わりです。生存者は無し」


「こっちも終わりね。生存者はいなかったわ」


「終わったけど人の形すら無いから確認できてないのも多いよぉ」


生存者はあの分隊と基地に籠ってた人しかいないようだった。


「一応日帰りで減らしてはいたのにここまで来るとは何かあったのでしょうか?」


「今回のは追い出された奴が帰ってきたと司令部は言っているが、ここら辺に洞窟がないか調査したほうがよさそうだな」


「多分、ウチに依頼が来るわね」


「人気者はつらいねぇ」


確かにこの数のアイクが来るには繁殖する必要があるだろう。主にコガネムシ型の数からして洞窟があるだろう。しかもかなり大きいのが。やだなぁ、洞窟。臭いし暗いし狭いし。アイク達にはそれぞれ繁殖の方法がある。どれも女王型の個体が産むけれど、蟻型や蜂型は抵抗しない卵や幼虫の状態で成虫まで繁殖地にいる。カマキリ型は大きな卵嚢から沢山の幼生が出てくるがそう強くはないので何とかなる。しかしコガネムシ型の幼虫だけは緊急事態になると固くなってなかなかめんどくさい。


「しばらくは調査期間ですね」


「司令部に掛け合ってドローンを用意してもらおう」


そう基地司令は難しい顔で答えた。これで終わりかと思った所に最悪の通信が届いた。内容は『サイパン島守備隊員含む100人近くが反旗を翻し、要求として今すぐ武装を放棄してアイクと話し合いで講和するよう努力することを出してきた。人質として守備隊長や事務員が監禁されていて、更生の可能性は無し。コードは対象の全排除を示すレッド。』だそうだ。因みに物質搬入要請はグリーン。捕獲及び回収はイエロー。破壊任務はブラック。潜入はホワイトと決められている。つまり今回は捕まえずに皆殺しにして来いという事らしい。多分見せしめかな。最近同じようなことを騒ぐ奴らが増えてるから。暇な守備隊に反戦団体やカルト教団が話し合いができると吹聴しているようだった。レジスタンス隊員にも入隊したが授業を受けてない若い補充隊員がこういう事に引っかかって良く今回のようなことをする。いつもはイエローが出るから、レッドとは中々過激に行くみたいね。多分反戦団体もグルで混ざって武装蜂起してるのかな?


「レッドね…。ああいうのは死ぬまで治らないから治しに行ってあげようかしら」


「こちとら隊員が襲われて食われてるのに話し合えるとは笑えるねぇ」


僕達は仮設飛行場まで急いで行ってメイちゃんと別の便でサイパン島まで向かっていた。武装も今回だけはサプレッサーを付けたアサルトライフルやスナイパーライフル。僕に至っては刀ととコンパウンドボウという忍者じみた装備である。そして数時間待っているとサイパン島の近くまで来たようだった。今回は夜の潜入で、目標は人質の確保と武装勢力の排除。それを頭に入れてながら降下を始めた。



マリアナ諸島 サイパン島


「こちらハウンド。降下地点はクリアです」


「コピー。アナライザーよりシューター。用意はできてる?」


「こちらシューター。タンゴ1と4なら倒せる。やっちゃっていい?」


「シューター、お願いします」


全自動サーチライト塔で見張っていた二人が南先輩の狙撃で永遠にお休みしたみたいだった。それを確認しつつ、歩哨をしてる二人に忍び寄った。


「どうせ日本方面でもアイクは居ないだろ。むしろアイク達は温和な生き物なんだから共存できるって!」


「そうだ!俺らが武器を捨てれば戦争は起こらないんだ!」


あほらし。お前らは仲間が食われることはこの島じゃ起こらないだろうし、信じたくないのは分かるけど、腹ペコのワニの口に頭突っ込む様な真似をしろとは君たち暑さで脳みそ溶けてないかな?そう言いながら最後の授業をしてやった。


「そうだな…って!田中ぁ!ぐっ!お前は誰だ!」


「静かにしてくださいよ。ところでこの映像を見てください」


鴨川で隊員がやられていく映像を見せると、唖然としていた。それはそうだ、これまで信じていたものはこれを引き起こそうとすることだったのだから。とりあえず団体名だけでも話してもらおう。


「バックアップの団体は?」


「話したら解放してくれるか?」


「えぇ」


「バックは対アイク意思疎通推進連盟が10人いて、俺らの指揮を執っている。奴らは本館の1階応接間で人質を見張っている。これでいいだろ!」


「ありがとうございます。ではさようなら」


その隊員の頸動脈を切ってこの世から解放してあげると、先輩達に連絡した。


「こちらハウンド。尋問による情報として応接間にパッケージはいるようです。見張りとして反戦団体のメンバーが15人いるはずです」


「コピー。いるわね。こちらで援護するから突入頼める?見える範囲は片付けてあるから」


「わかりました」


しばらく歩いていくと入り口付近に一人だけ見張りがいた。僕はしっかりと位置を確認して見張りに向けて矢を放つと、彼は静かに倒れた。後はこの中の人だけだろう。静かに扉を開けて確認すると応接間のドア前に2人と廊下に3人が見回りをしていた。身体強化を使って詰め寄って3人を片付けた後、ドア前の2人もしっかりと声をあげさせないように片付けた。そしてドアを蹴飛ばして中に入ると男女10人が人質を見張っていた。とりあえず早めに銃や刃物を取り上げて握り潰した。


「対アイク意思疎通推進連盟の皆様ですね?」


「誰だお前!俺らは一般人だから殺害したら犯罪人だぞ!」


でたよ…こういう奴。めんどくさいから説明するか。


「皆様は武装していて人質を取るテロリストにも優しくするのでしょうけれど、生憎僕はここの島にいる人質以外の全てを排除しなければいけないんですよ。分かりましたか?」


喧しいヤジを飛ばす奴らごとそいつらを斬り捨てると1人の女性が話しかけてきた。


「い、命だけは…。助けて…。何でこんなことをするの?」


「お姉さん?僕の居る戦場ではそういいながら仲間が死にますよ?こちらのビデオを見てみてください。」


お姉さんにビデオとプレイヤーを渡すと、背中から衝撃と銃声と女性達の歓声が聞こえた。


「化け物をやったわ!これで助かるのね!」


9㎜弾かな?まぁ、普通の人なら死ぬだろうけどねぇ。隠し持ってたピストルで撃たれたが、そう痛くはない。


「お姉さん達?僕は貴方たちがそんな呑気で平和に暮らせるようにこの身を挺して守ってるのに化け物とはひどいなぁ」


「ひっ!」


「何で…。心臓に当たってるのに」


追い打ちのごとく乱射しているが僕はノーダメージである。


「お姉さん達もあちらで隊員達に会えばわかりますかね?」


お姉さん達には先にあちらに行ってもらった。あそこほど平和なところはないだろう。夢の世界なら。


「お姉さん?どうだった?僕達は貴女達が唱える。武器を放棄すれば終わるなんてことないと思うけど?」


「私はなんてことをしていたんだろう。命をかけて守っていた隊員さんをなじったり攻めたりして。出来るなら今謝りに行ってくるわ」


「わかった。じゃあね」


そういってお姉さんの首は地面に落ちた。これであっちにいる隊員とも会えるだろう。ごめんね、お姉さん。人質以外を全て排除しないといけないんだよ。そう心で謝りながら血で花畑の様になった応接間から人質を連れ出して先輩達の待つ集合地点に向かっていた時、人質の守備隊長がこう言った。


「罪悪感や後悔の念は無いのか?」


「全く」


「そうか…何故改心した女性まで斬った?」


「半分は任務。半分は経験からです」


多分あのまま人質と一緒に生かしておいてもしばらくは隊員に感謝するだろう。けれどあの人の目に映っていたのは自警団員時代によく見たその場しのぎの嘘と自分の意見を変えない信念だった。あの人は考え方が違えば良い人生が待っていただろう。残念だった。


「君は親友が同じことをしたらそいつも殺すのかね」


「えぇ。任務だろうとなかろうとそのような奴にしてしまった自分を恨んで殺すでしょう」


もう、これ以上苦しませないように祈りつつ。

伏線ですが。次に書く予定の過去編で回収します。

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