マフィアと犬と太陽と
日向ちゃんがマフィアになってるんだけど!というツッコミはNGです。ゴールデンウイークなので更新頑張るぞい。
ワイワイと言い争ってると日向は執務室にあるちょっとした調理スペースで何かしていた。
「で?ここには何の用なの?ドン・ソーレ」
確かに気にはなっていたけどもっととんでもないことになってる。日向がマフィアになってるんだけど!しかもドン・ソーレとか呼ばれてるんだけど!しかも手の付けられないほどの荒くれ者のオルカを友人にしてるんだけど!
「パパにお菓子をもらおうって!マリーも食べるでしょ?」
「えぇ、いただくけども…。パパとは誰の事かしら?」
「俺の可愛くてお転婆な娘だが」
「あら!だから情報を持っているのね」
そう親父が言うとオルカ…。いや…マリアだっけ?が納得したようにそう答えていた。そして日向そのすごくオシャレなカップとお菓子は何?すると日向はこちらを向いてハハーンとでも言いたそうな顔で話しかけてきた。
「これは執務室にあったオシャレなカップとカンノーリだよ!カップはパパが買ってきて大事そうに棚に入ってた奴でカンノーリはあらかじめ材料が作り置きしてあったから作ったの!」
カンノーリとは、シチリア島の伝統的なお菓子でマフィア映画にもよく出てくる。最近日向が作ってるけど多分マリアに習ったな。マリアもしれっと戸棚からコーヒーメーカー用意してるし。絶対あんた達この部屋に入り浸ってるだろ!
「あらカンノーリ!いいわね!エスプレッソにはミルクがいいかしら?」
「砂糖も忘れずにね!」
「わかったわ」
「ねぇねぇ?分かりやすく南ちゃんにも教えてくれる~?」
南先輩が事態が分からずフリーズしていた。
「オルカ…。いや、マリアが日向の友達で、彼女の仕切っているファミリーは1年前まで自警団員を数百人は殺した最強のマフィアです。現在の実質トップは日向で、一般人への危害は禁じられているようです。そして今回の一件はこの組織の反乱分子の排除と麻薬取締でレジスタンスとハンターオブシチリアの利害が一致したから始まった作戦みたいです」
「ゴットシスターだねぇ」
「あたし頭痛くなってきた」
むしろ、あのオルカがここまで穏やかだとシャチよりイルカだなぁ。と思っていると親父もテーブルとイスを並べていた。どうやらこれはいつもの事らしい。
「カーネもレディースもおやつにするわよ。ノリミチもアマレッティを出してくれたし最高のパーティーね」
「「いただきます」」
「頭痛いなぁ…」
すごくおいしかった。アマレッティのアーモンドの香りとカンノーリにはオレンジの皮の砂糖漬けが混ぜ込まれているレモンの効いたカスタードクリームがサクサクした皮にすごく合っていた。もちろんあの話さえしていなければ最高だったのだが。
「ギルバートギャングがハワイ島の方で私等が弱体化したと思ったのか麻薬や売春斡旋を行っているらしいわ!しかも例の作戦をやる気みたいでオアフ島にも来てるわ」
「あぁ!あのアイリッシュ達はウナギのゼリー寄せとマーマイトで頭がパッパラパーにでもなったのかな?」
「でも、あいつらのやってることには腹が立ってくるわ」
「大丈夫だよ。今頃はウィリアムズと愉快な仲間たちのシチューの出来上がりじゃないかな?」
「だからうちのマルコとアントニオ隊が忙しそうにしてたのね!」
「あいつらの顔は面白かったよ!だって『嬢ちゃん、ヤるにはまだ早いぜ。まぁそういう趣味の奴もいるけどな!』とか言った後のだらしない顔から死ぬ前の怯え顔のギャップがたまらないね」
「相変わらず怖いこと」
「「はっはっはっはっは」」
ヤバイ!これは完全にマフィアのドン・ソーレモードに入っていらっしゃる!電撃の跡で裏の人間の殺害をしてることは知ってるけどここまでか。
「日向、殺人を楽しんじゃダメ。日向自身がが歪んじゃう」
「いや?ギルバートギャングがこの島に来てやるのはお姉ちゃん達…。というよりアイドル的な芽衣姉ちゃんの誘拐だったから止めただけだよ?ね?マリー」
「カーネ、残念ながらそういう事よ。ある協定があるの。それはメイちゃんを守らなければファミリーごとビリビリしてもいいという約束。生憎あなたの妹はあらゆる組織に狙われてるわ。マフィアやギャング。研究機関からカルト教団までいるわね。しかしうちのメンバーにはメイちゃんファンが多くてね。粗方無くなったわ。今でも残党がいるけどメンバーやドン・ソーレ本人、レジスタンス内の協力者が潰してるわ。これでメンバー全員が救われるわね」
メイちゃんに迫る魔の手は何時の間にやら切り落とされていた。そして、マリアからとんでもない一言が放たれた。
「最近はメイちゃんに遊んでもらえるように商店街をハンターオブシチリアの管理下で経営したり、アパレルチェーンなんかも作って稼いでるけど、案外こういう事も楽しいわね」
「芽衣お姉ちゃんが最近マエストラーレのワンピースを買って嬉しそうに着てたよ!」
あの商店街やけに新しいと思ったら経営してたのか…。そして莫大な金額のレジスタンスドルを巻き上げてるのか。
「ぼろ儲けだな。マリア」
「嫌ねぇ、カーネ。孤児院を開いて戦争孤児を受け入れてるのよ」
「マフィアのメンバーにするの~?」
「大体はレジスタンスに志願するために自警団に入るわね。女の子はうちの従業員になる子が多いわ。まぁ従業員と言ってもお店の店員が多いけど」
どうやら合法路線で行くらしいがマフィアよりも財閥みたいだと思った。そして外の店はほとんどイタリア語の名前が多いけれど確実にハンターオブシチリアの傘下企業だろうなぁ。
「どこまで手を出しているのかしら?」
「ハイハーイ!それには私が答えるよ!えぇっと…。銃器メーカーと飲食店とアパレルと機械製造業と輸送と玩具メーカーと食糧生産と娯楽施設と孤児院だねー!」
シチリア財閥が出来ていた。まぁ、孤児はいっぱいいるから孤児院をやっているのは多分従業員を育てるためかな?
「ところでドン・ソーレ?貴女は何故浮いて移動してるのかしら?」
「葉月さんから浮遊補助装置をもらってね。楽に浮かべるようになったんだ!」
「どのくらい?」
「箸を使ってカルボナーラを食べるのとフォークで食べるのとの違いぐらいかな?」
「それは楽ね!」
「仕組みも聞く?」
「遠慮するわ。長くなりそう」
「それは残念」
楽しいマフィアのコーヒーブレイクだった。
カンノーリ食べたい。