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姉妹の徹底的治安維持作戦 東峰サイド

2人を見送ってから書類を早めに片付け、本日行う分を終えた私は駿介さんから貰った弥生と芽衣ちゃんが居ると言われた場所へ向かう。仕事上必要な為に基地商業地区だと覚えてしまった住所に向かって歩くと、自警団の子達が団長!と声をかけてくれる。私の命令通り生活安全クラスの子達は安全な基地内や周辺市街の治安のいい地区でパトロールしている様で、今日の朝会った猿島ちゃんは昨日の1件から動く様になったらしい足で内勤に精を出していた。…本人は外に連れていかれるよりは内勤の方が楽だと身に染みたと言っていたけど、確かにあんな事に巻き込まれたらそう思いますかね…?


あれこれと歩いていると出会う団員の子達を労いつつ住所へ向かっていると、1人の団員がこちらに手を振ってきた。


「団長ー!団長もパトロールですかー?ここは任せてくださーい!」


近くに来たのは生活安全クラスに新たに訓練生として入団している10歳位の男子3人組で、リーダーらしき子がフンスフンスと胸を張っている。その後ろの2人は少し訓練不足な敬礼をしつつこちらを見あげている。後ろに目を向けると手隙らしきレジスタンス隊員達がこちらを物陰から覗き込んでいる。何故かと思い彼等をよく見ると謎のバッチが胸に付いている。オレンジ色のバッチには白い天使が赤い十字を抱えているイラストがあり、他の団員と違う点はこれだと考察してから彼等にバッチについて聞くこととする。


「君達、そのバッチはどうしたのですか?」


「これは凄い可愛いお姉ちゃんに貰ったんです!」


「見覚えあるけど…誰だったっけ?」


「僕は芽衣ちゃんだと思うけど…」


彼等は3人で向きあって彼等は3人で三角形を作って顔を付き合わせると、芽衣ちゃんがその辺を歩く訳無い等々ああでもないこうでもないと話し始めてしまう。それを困ってしまっていると考えたのか、物陰の隊員が警戒しつつこちらに近寄ってきた。


「あのー、どうかいたしましたか?」


「私はこういうもので、このバッチについて彼等に聞いてまして…」


私が身分証明書を見せると彼女は警戒を解き、しっかりと敬礼をしつつ顔を私に近付けてヒソヒソと答えを教えてくれる。


「それは芽衣ちゃんが自警団に朝早く来たみたいでして、そこから東城教官経由で連絡を受けた教育大隊の私達が訓練生の子達の見守りをしているのです」


訓練生の目印としてあのバッチが付いている訳ですと彼女はヒソヒソと言っている間も、訓練生の彼等はまだ仲良く議論をしている。


「まぁ…いつも自警団の無線を傍受してサポートしているらしい間宮助教と南助教が市街地の援護に向かっている分、安全な地区は任せて貰っている訳ですけど」


あのバッチを見てあの子達に何かをする隊員は居ないでしょうから平和なものですと彼女はニコニコとしている。彼等は議論を終えたみたいだが、結論は出なかったみたいで『分かりません!』と元気に返ってくる。そして彼等は今度は私に質問してきた。


「団長はどちらに行くのですか?」


「ここに向かっていまして、知っていますか?」


彼等は紙を覗くと、ニカイ堂に行くんですね!いいなぁ!と羨ましそうに目的地について話し出す。


「行くならオムライスがオススメです!ふわふわでなんか…美味しいです!」


「ハンバーグも…いいです」


「店員のお姉さん、綺麗だよねー」


次々とオススメしてくる3人は、興奮した口調でこの道をまっすぐいった先の2つ目の交差点を右に行くとあると教えてくる。彼等に感謝を述べつつ別れると、彼等の言う通りに歩いていく。件の交差点に辿り着いた時右側に喫茶店の様な建物が建っていて、その扉の上にニカイ堂と書かれた看板があった。OPENと札が掛けられているのでドアに手をかけて中に入ると、殆ど空席で2組程度の客しかいない店内の奥にウェイターらしい制服に身を包んだ芽衣ちゃんがいらっしゃいませと声をかけてくる。


「あれ…東峰さん?どうしてこちらに来たのです?」


歩いてきた芽衣ちゃんは私を席に案内すると、すぐさまカトラリーケースとお冷を運んで来てから「こちらがメニューなのです」と一言添えてメニューを手渡してくる。


「えぇっと…オムライスを頂けますか?」


「かしこまりました。…あと1時間で閉店なので食べ終わったら少し待っていて貰えますか?」


「もちろん。こちらもお話がありますので」


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