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とんでもカルテットの自警団任務 9

それからは…予想通りだった。冬華ちゃんが可愛がられているのはいいとして、日向ちゃんもひったくりに電撃を飛ばしたりしていたけど一応は大人しくしていた。一番の問題は花ちゃんと危険がないように護衛している織音ちゃんだった。ふと路地裏を見たと思ったら、突然花ちゃんがそこに飛び込んでいったかと思ったら、恐らく屯していたのであろう人相の悪い人物が大通りに投げ出されていき、最後にスッキリした顔の花ちゃんがこちらに駆け寄る。日向ちゃん曰く骨は折れてないし、関節も大丈夫らしい。後頭部にたんこぶや身体中に内出血があるように見えたけど、彼らは一応無事らしい。


『はぁ…日向ちゃんが大人しくても、花ちゃんが暴れるのね…』


「あはは…声掛け間違えました」


『アクション映画もかくやな大暴れだったねー』


支援してくれている間宮さん達も苦々しい声で話し、ため息も聞こえてくる。そんな最中に、会話をしている織音ちゃんと日向ちゃんがウキウキとしている花ちゃんとその活躍をカメラで撮っていた冬華ちゃんをこちらに押し付けつつ建物の影に誘導してくる。チラッと見えたのは駆け足で離れる市民と自動小銃や散弾銃等で武装した集団。日向ちゃんと織音ちゃんは顔を見合わせると面倒そうにため息をつく。


「よぉ…。うちの若い衆と遊んでくれたみたいじゃねえか。だがよぉ、少しおいたが過ぎるんじゃねえか?」


「はぁ…やっぱり…」


「うーん…うちの傘下かなぁ?よく分からないけど…とりあえずやることは1つかなぁ」


「尻拭いはしないとね」

「ストレス発散用のサンドバッグが欲しかったんだよね!」


織音ちゃんはリュックサックから取り出したアサルトカービン、日向ちゃんは放電している腕を集団に向ける。


「あー…私のせいですよね…。ごめんなさい」


「危ない…ここに隠れてよう…」


大通りの方からは薄い看板に何かがぶつかったような鋭い音や風切り音、そして断続的に聞こえる銃声と痛みにうめく声。2人が心配で顔を覗かせると、日向ちゃんの腕から眩い閃光が空間を走る。閃光の先にいた人物が地面に倒れ、それに驚いた仲間はいつの間にか背後に回っていた織音ちゃんが投げ飛ばされ、頭と腹部に銃撃を加える。その他も1人2人と倒れ込み、それに対してリーダー格の人物は撤退準備を始めていた。そんな様子を見ていたら、背後から何者かに抱えられて、こめかみに冷ややかなものを押し付けられる。


「お嬢ちゃん達、大人しくしてな」


「離して!」


花ちゃんが暴れるも歯が立たず、私達は2人の前に連れ出される。2人はこちらを見ると武器をしまい、後ろの人物に話しかける。


「あのー、多分解放した方がいいかもしれません」


「そうそう、身元不明死体は嫌でしょ?」


それに対してうるせぇ!と私のこめかみのものを強く押し付ける背後の人物。その仲間が織音ちゃんに発砲した時、上を向いていた2人が「あ…」と声を上げてから頭を抱える。頭上からギィギィという何かが軋む音が聞こえてくる。それにつられたのか武装した彼等が上を向くと、彼等が慌てて逃げ出し、それによって私達が突き飛ばされる。急いで上を向くと、大きな看板が軋んでいて、それが今にも落ちそうになっていた。しかし、それの下から逃れた犯人達が空きテナントに避難すると、そのおよそ2秒後に大爆発が発生した。


「あーぁ…逃げようとして走った拍子に胸元の手榴弾のピンが抜けて、急いで走ったからレバーも取れて…ドカンといった」


「冬華ちゃんはやっぱりまずいよね…」


ふと髪を見ると金具が引っかかっていた。2人は私達に怪我がないか確認してから、あからさまにどうしようと困惑した顔をした。


『1歩遅かったわね…』


『六花ちゃーん、その2人と猿島さん連れて今日の所はおしまいにしよー?流石に一般人には負担が強いからねー』


その言葉にしゅんとした花ちゃんを織音ちゃんが慰めつつ、私達は自警団本部に戻ることとした。4人と別れて生活安全クラスに戻ると、団員の子達が私の名前を呼びながら駆け寄ってくる。


「猿島さん!大丈夫でしたか!さっき、市街のメインストリートで銃撃戦と爆発があったって連絡が来たんです!巻き込まれてないかと…」


そして私の机横から紗奈と凛が駆け寄ってきて身体をペタペタと触れてくる。そして、紗奈が良かった良かったと涙目で抱きついてきて、


「良かった…あの2人に巻き込まれたのかと思って…」


目を逸らす私を凛がじーっと見てくるけど、それを気が付かない振りをして紗奈を宥める。


…とりあえず、うん…きちんと仕事するようにしよう…。もうこんなの懲り懲りだし…。


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