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とんでもカルテットの自警団任務 1

自警団本部 生活安全課


次の日、生活安全課の課長の前には4人のちびっ子達が整列していた。それぞれ自警団の規則が書かれた本を片手に確認しあっており、そんな様子を生活安全課長の猿島はニコニコと眺めていた。流石にちびっ子4人をそっちで職業体験させてくれと命の恩人から言われた時は耳を疑ったが、ちびっ子が町の見回りを保護者の自分と共にする事で、自分も仕事をサボれると考えたら楽だと引き受けた。私が軽く自己紹介をすると、リーダー格の子が周りの子達に合図を出して挨拶を始めた。


「今日お世話になる黒井日向です!よろしくお願いします!」


「ボクは六道織音です!1日よろしくお願いします!」


「むぅ…黒井冬華です…。よろしく…お願いします…」


「私のわがままでご迷惑をおかけしました。東城花です。本日はよろしくお願いいたします」



あれー?3人位聞き覚えのある名前と苗字の人がいるなぁ?確実に黒井司令部長官の娘と東城司令部副長官の娘さんだよね?そんなビックネームに戦々恐々としつつ、きっとレジスタンスに行かせる訳にはいかないからここなんだろうけどと無理やり結論付けて取り繕う。


「うんうん!元気で何よりだよぉ。さて先ずはここがどんなお仕事をしているか知ってるかな?」


その言葉に花が手を挙げて答える。ここでは落し物の管理や軽犯罪程度の取り締まりをしていると答えると、猿島は頭の上で腕を使って丸を作る。


「よく出来ましたぁ。それじゃあ、軽犯罪をした人への対応法の内容はなんでしょう?」


先程読み込んでいたからか、六道ちゃん以外が勢いよく手を挙げる。


「それじゃあ、みんなで言ってみようか!せーの」


「「「無力化した後、一日から十日牢屋に入れる!」…」です!」


…第一版のここの規則ってまだ現行だっけ?今この子達に渡されている筈なのは4版だと思うけど…?そう思って3人の持っているものを見ると、1版の原本だった。


「…みんなー?その物騒な本は何処で受け取ったのかなー?」


「六花お姉ちゃんに貰ったー!」


「同じく…」


「やっぱりおかしいですよね!?そんなに暴れられ…大変なのかなって思ったのですけど…」


妹分から耳にタコが出来るほど聞いた、一人で100人以上を制圧したとんでも人間の名前が聞こえてくる。今は実力を買われてこの子達のお父さんの護衛をしているのかなと考えていると、織音ちゃんが口を開く。


「あはは…やっぱりダメですよね。六花お姉ちゃん曰く、最新版持っていないからこれでいいかと冗談で渡したらノリが良かったからそのままにしたみたいです」


出会ってからずっとニコニコとしていた織音ちゃんの言葉に花ちゃんが組み付く形で反応する。それを綺麗にいなして綺麗なフォームで投げると、転がっていった花ちゃんが悔しそうに元の場所に戻る。織音ちゃんがしーと口元に人差し指を当てるジェスチャーをして、にこやかに微笑む。


「みんな、正しくは身分証を確認した後に厳重注意をするだよ。ほら、これが新しいやつ」


そういうと織音ちゃんが緑の装丁がされた手帳を渡す。…さっき渡してあげれば良かったんじゃないのかな…?


「いじわる…芽衣お姉ちゃんに言いつける…」


「ぐっ!それはご勘弁を…」


「やだ…」


芽衣ちゃんに言いつけると言われた織音ちゃんは、地面にうつ伏せで倒れてぴすぴすと泣いていて、それを3人が冷めた目で見ている。なんだか力関係がうっすら覗いて見える4人を見ていると、3人がこちらに話しかけてくる。


「早速ですけど、見回りの監督お願いします」


「これは放っといて行こー!」


「楽しみ…」


私が慌てて織音ちゃんは放置で良いのか聞くと、全員からただのリアクションだから大丈夫と返答がくる。私達が立ち去ろうとすると、ガバッと起き上がってついてきたので本気で泣いている訳では無いようだった。生活安全クラスの部屋前に立てかけてある杖を手に取ると、4人を連れて自警団本部を出た。



ちびっ子4人を引き連れて街を歩くと、何だか遠足の引率をしている様な気がしてきた。良くちびっ子達を見ると、何故か護身用の装備を持っていないことに気がつく。確かにちびっ子に拳銃や警棒を渡すのは危険だが、このままでは目を離した隙に攫われてしまう。その為の催涙スプレーがあったと思うのだけど…。


「あれ?スプレーは?」


「うーん…いらなーい!」


「一応わたしは持ってる…」


他の2人は護身術は心得があると胸を張っていた。そして、2人揃って顔を曇らせて呟いた。


「3箇所以上骨を折ったり関節を外したりすると芽衣お姉ちゃんから怒られますし…手加減しないといけませんけど」


「そうなったら…なんて恐ろしい」


…帰りたい。もう帰りたい。何で怪我するのではなく、させ過ぎる事を考えてるのぉ…?そう思っていると、別部署の妹分が2人揃って前から歩いてきた。


「お仕事中?大変だね…って!日向ちゃんに織音ちゃん…?!ひっ…ひぃい…」


「桃香姉…なんでそんなの連れて歩いてるの?こら!そこの大暴れおチビ2人!桃香姉と友達に迷惑かけるんじゃないわよ!!」


紗奈は怯え、凛はあからさまに警戒していた。とりあえず怯えている紗奈に何故怯えているのか聴くこととした。


「あの2人…逆上したナンパ師が凛ちゃんに殴ろうとしたから拘束したのは良いけど…そのまま射殺しようとしてたらしいし、ひったくりの腕の関節をゴム弾で砕いて捕まえたり、武装強盗と銃撃戦したり…やっぱりヒッカムの嵐の話は本当だったんだぁ…」


ガタガタと震え出した紗奈を落ち着かせつつ、他にも色々聞きたいところはあるけれど…聞き捨てならない言葉の『ヒッカムの嵐』の事を聞き出す。


「えぇ…?そっか…!桃香ちゃんは海軍部出身だから知らないか…。黒井日向ちゃんと言えば陸軍部の中で有名な抜き打ちかくれんぼとか、黒井司令部司令長官がお姉ちゃん達を予定より長引かせて派遣していると基地の機能が麻痺する位の被害を出して暴れるから…。しかも…ちょっとした事で雷落とすし…」


なーんだ、この位の元気な子のやる事が少し権力で規模拡大するだけでしょお?心配性だなぁと紗奈の肩を叩いて別れると、後ろから「試しに…隊員の人と合わせてみてー…!」と聞こえる。確かにレジスタンスの上層部の子女達だからいつもと違うパトロールになるかも!



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