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日向の自警団体験 3日目 恩恵

そんな呟きに姉妹3人で反論しようとすると、居間の扉が開いて、いなくなっていた冬華が寝ぼけつつ部屋に入ってくる。冬華は周囲の人物を一瞥すると、椿ねーねから伝言あったよ…と言う。


「これで大丈夫だろうから日向、お主の思うまま壮健に過ごすが良い…だって」


�����様が涙目で頼み込んでくるから仕方なく起きただけだから南ねーねのお部屋また借りるねと帰ろうとする冬華を日穂が捕まえると、膝上に乗せて問いかける。


「その…えっと…どう発音してるの?その人物らしき何とか様って誰かしら?」


「ん…、なんだろう…?友達兼守り神…かな…?」


首を傾げて説明する冬華に対して、弥生はおかしいのって五月家だけじゃないの?!と頭を抱える。そんなツッコミどころが沢山ある発言に対して日向は面倒そうに答える。


「とーかちゃんはナチュラルボーン神たらし、椿ちゃんは元五月家の守り神で、六花お姉ちゃんは小さい時に取り巻いていた大人のせいで、私は実験の影響。芽衣お姉ちゃんは…わかんない」


そんな発言の中で何かを思い出したのか、冬華が指輪を指さして六花と芽衣に声をかける。


「さっきそういえば、六花ねーと芽衣ねーにね、�����様が綺麗な女神様から私を通して指輪の感想を聞くように言われたんだって…。六花ねーから貰ってつけたみたいだけど…芽衣ねーは問題無い…?」


「ないかな?いきなり冬華ちゃんから指輪差し出された時は驚いたけど、綺麗だしこの透き通ったオレンジの宝石がメイちゃんっぽくていいね」


「えぇー?!これりっちゃんが用意した婚約指輪じゃ無いのです?!ただの冬華ちゃんからのプレゼントのアクセサリーなのです?!」


その芽衣の叫びに冬華は首を振って、女神様が特別に用意した2人用の結婚指輪らしいよと答える。


「指輪はオレイカルコス製で周りを真珠で飾ってあってね…、宝石はよく分からないけどいいものだろうって…元夫の人に何とか頼み込んで作ってもらったんだって…」


弥生は芽衣と六花の左手薬指を見て、確かに綺麗なんだけどさー…と引き気味に呟く。


「指輪サイズにくり抜ける真珠も規格外だし、よく分からない金属によく分からないけどほのかに光ってる宝石。そして何語か分からない文字の象嵌…研究機関に見せた方がいいんじゃない?」


その発言に芽衣がサッと手を隠すと、弥生の後方上から頭に黄色い林檎が飛んできて命中する。その林檎は半分に割れた状態で床を転がり、芽衣の前で止まる。後頭部を抑えてのたうち回る弥生に芽衣が駆け寄って手をかざす。


「だ、大丈夫なのです?」


「うぉぉ…!めっちゃ痛い!だれぇ?!林檎思いっきり投げつけたの!あー…割れたかと思った」


割れたのは林檎の方なのですと林檎を指さして答えた芽衣は手をかざすのをやめて元の場所へ戻る。冬華は女神様帰っちゃった…と呟き、林檎を拾い上げるとちまちまと食べ始める。


「女神様もったいない…この林檎結構美味しいのに…」


「本当だ〜、結構甘くて美味しい」


林檎の半分を譲り受けた小梅が食べながら冬華に話しかけている間、六花は一体何処からこの林檎投げつけられたのかなとキョロキョロと見回していた。日穂は林檎に目を向けてじっと眺めると、頭を抱える。


「少なくともこの世のものでない林檎ってなによ…?以降の内容も謎の干渉を受けてるし」


一方その頃、唐突に客の女神が林檎を片手に消えてまた戻ってきた事で、和装の女性が怯えてしまっていた。女性は女神が庭に林檎の木を生やしたかと思ったら、実をちぎって消えて、今は大量の林檎を池の前に置いて水面を眺めている後ろ姿を見て部屋の隅で縮こまる事を決めて隅っこに移動した。


「…少なくとも僕も外したら何かありそうですね。外す予定は無いですけど」


「着けていると何でか落ち着くのです」


それにりっちゃんが何時でもそばにいるみたいで…贈ってくれた女神様に感謝してるのですと、芽衣が呟く。その時、芽衣の眼前に林檎と薔薇の花束が落ちてくる。冬華は芽衣ねーねいいな…と林檎に目線を向けて呟く。すると冬華の前にも林檎が落ちてきて床を転がる。


「まーた謎林檎が増えたわね…」


日穂が呟くと、その林檎が皿の上に食べやすく切り分けられてフォークが2つ乗せられた状態になる。りっちゃん気が利くのですと食べ始める芽衣に、六花はあのままだと顎外すでしょ?と軽口をたたく。


「女神様の加護が付いてる林檎だから…効果は多分美味しいくらい…」


姉達の一方的な攻撃を含むじゃれ合いを冬華はスルーしつつ、日穂に1切れの林檎を差し出す。日穂は自身の目をじっと見て食べないのかと言外に問いかけてくる冬華に根負けして口を開く。日穂は喉近くまで無理やり押し込められている物体にえずきつつ、冬華からその物体を半ば奪い取る様に受け取る。


「…何で全部口に押し込んだのかしら?」


「…?日穂ねーねは大きいから入るかなって…」


あまりに悪意の無さそうな顔に毒気を抜かれた日穂は、次からは無理に入れないことを教えるのみに留めた。これが日向なら『喉の筋肉で咀嚼出来るかなー?って』と言ってげんこつを食らうが、冬華はこの行動に悪気は1ミリも無い。私は数口いるけど、お姉ちゃんなら一口で入るかなと考えた結果の出力である。そして反省したように日向に先だけ口に入れると噛み切るのを待つ。日向と2人でニコニコと林檎を食べる冬華だったが、唐突に天井を見ると寝てくると伝えて2階に駆け上がる。



「当の女神様が帰ったみたいだよお姉ちゃん達」


「一体何なの…芽衣ちゃんの後ろにいる存在って…?」


弥生の質問に日向は何らかの神格ではありそうだけどなー誰だろと顔を逸らして言う。




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