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日向の自警団体験 1日目 振り回された少女

オアフ島 日本統治領 ホノルル市内


「結局盗撮魔じゃない?」


「よくあんな目にあって3日間の自警団隊員としての奉仕活動とその撮影で許してくれたものだけどね…?」


本人的には隠れているらしき海軍部司令長官兼広報室長である弥生の方を確認し、2人はヒソヒソ話す。日向はそうだよね…と納得するが、それより聞かねば行けないことがあった。


「おねーちゃん、その姿は?朝から家に居ないと思ったら…すごい縮んでない?」


「日向の監視の為に6歳相当まで身体を若返らせてみたんだよ。意外とできてびっくりしてるけど…」


だからこの時は【六道織音ちゃんもといオネちゃん】だからね?と六花は言う。日向がボロを出してお姉ちゃんと呼んでも誤魔化す為の名前を昨夜考えたらしい六花に呆れつつ、自警団本部へと2人は向かう。




「すみませーん!黒井日向ですー」


「…誰もいない?いるね…」


「右の廊下の壁の裏に2人いるはずだよオネちゃん」


2人はそれぞれの感知法にて小さな反応と高校生位の反応を確認していた。


「…六花お姉ちゃんからこういう時用の道具貰ってたんだった!」


「…オネちゃん…へぇー…」


六花は変装用のリュックサックから深緑の金具がついた球体…手榴弾らしきものを取り出し、右の廊下の方へ投げ込む。するとその方向から「アイツらイカれてるわよ!!」「あわゎ…外に投げてぇ〜!」と声がする。


「…偽物?」


「ヒナちゃんあれって何?」


知らない振りをする姉に日向は呆れた目を向け、まぁいいかと目線を右廊下に向けると、小さな塊が飛び出して来たので日向は横に避け、六花は背負い投げをした後、腕を背中に回させて組み敷く。


「痛ぁ!何するのよ!」


「ごめんね!つい癖で…」


「オネちゃーん?離してあげなーい?」


六花が慌てて解放すると、塊…少女が涙目で睨みつけつつ立ち上がり、廊下の方からは高校生位の気弱そうな女の子が駆け寄ってくる。


「凛ちゃ〜ん…?仲間に暴力はダメだよぉ…」


「紗奈姉見てなかったの!?私がやられた方なんだけど!」


オドオドと日向ちゃんのお友達もそういうのはダメェ〜!と紗奈と呼ばれた人物が六花に言う。それに六花は以前の自警団の事を考えたが、申し訳なさそうに謝る。


「自己紹介が遅れました。私日高紗奈です。ここの治安保護課のリーダーやらせてもらっています?よろしくね?この子は今回組んでもらう保科凛ちゃん…です」


「…保科凛10歳よ。さっきのはまぐれなんだから!ましてやあんたみたいなちびっこに負けるわけないんだから!」


「よろしくねー、黒井日向6歳だよ」


「そのクラスメイトの六道織音と言います!オネちゃんと呼んでね!」


六花は手を差し出し、握手を求める。それを凛は掴み投げ技に持ち込もうとする。…残念ながら六花に反射的に投げ飛ばされたが。


「負けないんだからぁ…」


「あっ!ごめーん!」


「お姉ちゃん…」




「ここは主に悪い人を見つけて捕まえる部署です。でも本当に悪い人はレジスタンスに言うのだけどね…」


「アイツらなんか私でも対応可能よ!」


六花は考え込み、日向はマリアへ締め付けを強化するべきか考えていた。


「紗奈さん、質問があるのですがいいですかー?」


「何…?」


「犯人はなるべく生かした方がいいでしょうか?」


「それ私も考えてたー!」


「えぇ…?どういう事?」


紗奈が六花達の発言に困り顔を見せた為、六花は具体的な話を始めた。


「相手が銃で武装してた場合、武装解除して捕縛がいいか、それとも無力化した方がいいのか分からないので…」


「そういうのはレジスタンスに頼むに決まってるじゃない!馬鹿なのアンタ達!」


「え?はっ、はーい」


「わかったー…」


2人揃って納得いかない様に返事をし、せっかく用意したのにと六花は一丁の消音器付き拳銃をリュックサックから取り出す。


「えっ!そういう危ないものはダメだよぉー!」


「でも自警団の人は持ってたし、入るならならこれくらい持ってなきゃって日向ちゃんのお姉ちゃんが…」


「六花さぁん…やめてくださいよぉ…」


六花はビクッとしたが、紗奈の顔は虚空を見つめており、安心した。その頃日向は六花お姉ちゃんに近づいてくるのは割と特殊部隊なんだけどねーと考えていた。


「…あの時も宥めるの大変だったのにこっちの気も知らずポイポイ投げ飛ばすし、それ見て他の子が決死の覚悟で襲いかかったし…ブツブツ…」


「あーなった紗奈姉は使い物にならないわ。パトロール行きましょ…」


しかし問題がこの場にはあった。そう、犯人のデットオアアライブの件が解決しただけで、自警団最悪の世代&死ななければ安い思考と今の自警団員の考えは全く異なる問題は解決していなかった。




「さて!今日はここをパトロールするわよ!」


「賑やかだから確かに悪い人居そうだけど…」


「…うーん治安の悪そうな所〜」


昼間から光る電飾と蛍光色の多い看板。ゴミの散らかる道を多くの男女が歩く薄暗い通り。2人は顔を顰めて辺りを眺める。そして少し先、3人の男性に囲まれた若い女性を見つけ、ゆるゆると近づいていく。


「うぇ?あー!さっそく見つけたみたいね!…まあ私も気がついていたけどね!」


それを走って追いかけ、追い抜かす凛。そして男性達に近づいて、越しに手を当て大きな声で怒鳴る。


「こらぁ!そこの女の人困ってるじゃないの!どっか行きないよ!」


「あぁ?ガキはママのとこでも行ってな!俺たちは大人のお話があんだよ!」


見下げるように上から睨みつけるガラの悪そうな男達に負けずピーチクパーチクと叫ぶ凛。その内男達はやかましいガキをどかそうと突き飛ばす事とした。


「邪魔だ!どけ!」


男の内1人が凛を突き飛ばすと、他の男達の身体が地面に倒れる。痙攣する仲間に気がついた男はそちらに動こうとするが、突然膝を蹴飛ばされて膝立ちの状態にされる。そして男は後頭部に固くて冷たい何かを押し付けられる。


「動くな」


「何だと?!」


叫ぶ男の右耳たぶがくぐもった音とともに吹き飛び、男は悲鳴をあげる。


「ぁああぁ!何すんだ!」


「動くなと言ったでしょ?次は足りない脳みそをを鉛で増やしてあげる」


言葉と同時に小さなもので強く背を押された男は、その場で腹ばいになる。そして手手首と親指をひも状の物で縛られると、足でひっくり返される。


「何だこのガキ!不法な拘束だろ!」


「自警団員に対する暴行罪で問題ないから、それで凛ちゃんこいつどうする?措置執行する?」


「ちょっと!いくら腹が立つやつでもでもホイホイ殺しちゃダメ!」


「オネちゃーん、こっちも縛り終わったよー」


男の目の前では小学校位の自警団制服姿の子供達がおり、1人は防弾チョッキを付けてこちらに拳銃を向けており、1人はそれを注意し、1人は女性に帰る様に言いながら仲間達を踏んづけていた。


「イカレてるんじゃねえの!?こいつら!」


「だから困ってるのよ…」


「でもこの自警団行動規則には自警団員への攻撃行為は措置執行の対象と書いてあるよ?」


「オネちゃーん。それは最初期の第1版のものだよー」


第1版には基本は【犯罪者は殺せ。疑わしかったら半殺しにして本部に送れ】と書かれている。何より今と違い治安が無法地帯レベルの時に作られた規則である。


「注意だけでいいの!」


「えー?ゆるいねー?」


「…オネちゃん、さっすが〜」


結局、突き飛ばした事で本部に移送となり、増援を呼ぶ事となったが、移送時に男達は涙したという。自警団員の1人が命を救ってくれた為だそうだ。


「…注意じゃなくて脅してなかった?2人共」


「んー?ボクは次やったら身元不明にすると言っただけだよ?」


「こっちもそんなこと考えられないようにするって言っただけー」


「貴方達の方が逮捕すべき相手なんじゃない?」


そうこうしていると前から勢い良く男性が走ってきて、3人にぶつかりそうになる。六花が2人を引っ張った為避けれたが、来た方向から「泥棒ー!」と聞こえた。六花は走る男を確認すると、先程とは違う拳銃を抜き2発発砲した。


「殺しちゃダメー!」


「ちゃんとひさっ…お姉ちゃんは死なないゴム弾とかいうのを詰めたって言ってたよ?…ものすごく痛いけど…」


「うわー…転げ回ってる…」


拳銃に装填されているのは人体等に当たると弾頭が広がり、貫通せずに衝撃を与える対暴徒用弾である。貫通はしないが、骨くらいなら砕けるので六花はしっかりと肩に当てていた。3人で様子を見に行くと、30代位の男性が痛みにうめいていた。


「…当たりどころが良かった…のかなぁ?」


「すごーい!腕がグネグネだー!」


「やめなさいよ!可哀想じゃない!この人でなし!」


窃盗犯を捕まえたからいいじゃんと六花が言うと、普通はそこに無事が付くのよ…と凛が言う。日向は無線で増援を呼ぶと、道の端に犯人を引きずる。そしてカバンを持ち主に返してあげた。


一方その後…病院にて


「うーわ…これはひどい…。肩の骨が砕けてやがる…」


「自警団から…ヒナちゃん達頑張りすぎなのです…」


「…もう盗みはしません…助けて…神様」


こうして信者は増えた。



「グスン…私怖い…」


「大丈夫だよ、ボク達がいるから!」


「大船に乗った気持ちでパトロールしよー?」


「あんた達が怖いのよ!ナンパしてた人を止めたら突き飛ばされたわ、それで目を開けたら2人が制圧してるし拳銃突きつけるし脅してるし!挙句の果てにスリを拳銃で撃って可哀想な姿にしてるし!それでのんびりとしてる神経がわからないのよー!」


検挙率トップのエース団員である凛の横にいるのはマフィアのボスと歴戦の元第1期自警団員である。これまでの経験のせいで2人とも犯罪者=処分というイカれた思考の持ち主であるので、理解は一般人には不可能である。


「えー?ひどーい…」


「っ!凛ちゃん伏せて!」


六花が凛を押し倒し、日向が立ち尽くす。すると前よりアサルトライフルやショットガンで武装した4人組が3人の右にある路地にある店の入口から飛び出す。


「ちっ!自警団に見つかった!」


「レジスタンスが来るまで数分はかかる!後ろから通り抜けろ!」


「ダメだリーダー!後ろは車で通れねぇ!」


「アイツらだったら非武装です!脅せば簡単に通れます!」


4人が言っているうちに、3人組はいなくなっており、しめたと思った4人が通ろうとすると4人の内、ショットガンを持った人物が地面に崩れ落ちた。その後、路地の入口からマズルフラッシュが光る。


「おい!ヒカル大丈夫か?!馬鹿野郎!アイツら武装してるじゃねえか!」


「えぇ?!そんなはずは」


倒れたメンバーを引きずり、遮蔽物に隠れた一行は息があるのを確認する。すると壁からスピーカーが出てきて、声が聞こえた。


『あーあー、そこの3人組!今大人しく銃を捨てて出てきたら命は助けます!死にたくなければ大人しく遮蔽物から出てきてくださーい!』


「舐めんなバーカ!」


飛び出したメンバーがスピーカーを撃つと、音は止まるがお返しとして発砲され、そのメンバーは胸を押さえて苦しそうに呻く。


「ショータが…撃たれました!リーダー相手は手練です!」


「クソ!サキ2人の様子は?」


「2人共息はあります。当たりどころが良かったのでしょう」


「クソ…どうする」



「…交渉向いてないのかなぁ」


「あと2人だよオネちゃん、チャチャッとやっちゃお」


「こちら230!26番街で強盗事件発生!至急対応お願いします!現在容疑者4名のうち団員2名により犯人を2名無力化!残る2人と遮蔽物を挟んで睨み合いとなってます!早くあの2人をとめてください!」


手早くリュックサックから取り出したカービン銃…というか芽衣ちゃんの愛銃擬きにて2名を仕留めた六花は顔を青ざめさせて無線をする凛をよそに日向と制圧射を行っていた。


「オネちゃん良くこんなもの持ってきてたね…」


「葉月さんに非致死弾作ってもらったついでにねー」


「あぁ…なるほど〜」


時折ある応射を日向が弾きつつ、倒れた相手のバイタルを測る。流石に死なれては困るというのと、何となく話を聞きたいからであった。


「ひぃ!ちょっと!ひゃ!どうして銃撃戦をしてるのよ!」


「せーとーぼーえー、せーとーぼーえー♪」


「なら仕方ないよね?」


「目を輝かすな!このおバカ達!」


騒ぎを聞きつけて自警団員達が来るも、あまりの状態に群衆を止めるのみに留まっていた。しばらくしてレジスタンス隊員が走ってやってくると凛は安心したように泣き出した。


「ふぇーん!!怖かったよぉー!」


「よしよし…怖かったね…。お姉さん達に任せてね…」


「…だから俺らが呼ばれたのか…?日向ちゃんいるし」


「日向ちゃんなんでいるんすかね…自警団の服着て」


「涼花ちゃんはその子の保護をお願いします。隊長と田中はあの子と引き継ぎで!」


それぞれが持ち場ついたこの場で1番日向の対応が出来る分隊こと第4偵察班員達は、涼花が凛を避難させ、その他が六花達の所へ駆け寄ってきた。


「お嬢ちゃん!あとは俺達に任せて!」


「「射撃当たんないのに?」」


「隊長…」


「日向ちゃんはともかく何でお嬢ちゃんも知ってんだよ!というか…えっ…可愛い…」


「栗原危機感なーい」


「そういう趣味だったの…?後で涼花ちゃんに言っておこ…」


「うがぁ!どっかの妹狂みたいな事言い出しやがったぞ!このショトカ美少女!」


「まぁまぁ…子供相手に怒鳴っちゃダメっすよ隊長」


むー!と六花が吉継を睨み、向こう脛を蹴る。そして殺しちゃダメだからこれ使ってね!と犯人と相対する2人に弾薬をリュックサックから取り出し渡す。


「非致死弾?」


「うーん…日向ちゃんの関係者だからどこ製か予想はつくっすけど…」



「…リーダー、もう弾は無くなりました」


「仕方ねえ…サキ、店の奴連れてこい」


サキと呼ばれた人物が店の店主ともう1人を連れてくると、ポケットに入ってる予備のリボルバーを突きつけて人質にして遮蔽物から出てくる。


「こいつがどうなってもいいのか!」


そう言った後、2人は意識を失った。



「ひっでえ…問答無用で撃ちやがった…この嬢ちゃん」


「容疑者無力化成功、死者無し。怪我人…4人」


「芽衣お姉ちゃんに怒られるねー…」


「…無慈悲ッスね」


散々な評価をされた六花はそのまま涼花に引っ張られ、耳元で囁かれる。


「涼花お姉ちゃんって…呼んでみて…。六花ちゃん」


「…この事は秘密ね?涼花お姉ちゃん♪」


「フフ…♪」


吉継は美少女と美少女の作り出すよく聞こえないが美しい空間を堪能した後、よく考えたら似たもの同士か…と納得する。少女の素性も知らず…。


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