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神秘の行き先 ファイナルデッドキッドナッパー

昼過ぎ、44分隊では急いで捜索準備をしていた。1時間前に兵学校より登校していないという連絡があり、その後、犯人より身代金要求があった。払えない額ではないが、冬華を帰すという確証は無い。その為探索し奪還する準備を進めていた。


「ヒナちゃん!発信機とかで分からない?」


「外されてるっぽい…レーダーも人がいるか居ないかしか分からないし…」


「交換の為に待ち合わせする箇所は東南アジア諸国連合領との境界…あの時の復讐かなぁ?」


「というより自警団に追われない様にですかね?よくある手です」


それはそれとして私達は何処まででも追いかけて仕留めるけどね。と小梅は言うとスナイパーライフルをスリングで背負う。


「助け出さなきゃなのです!」


「…うん、とーかちゃん大丈夫かなぁ…」


「安心しなさい、ヒナちゃん。神に誓っても絶対助け出すわ」


「…神様…かぁ」




何処だろう…ここ…。目隠しをされ、結束バンドで手を縛られた冬華はキョロキョロと廃工場の様な埃っぽい空間を眺めていた。さらわれてしまった事は分かるが、もっと価値の有りそうな娘達がいた中、小さいとはいえなぜ私なのかとため息をつく。


「―――ー!」


「ーーー、ーー」


少しズレた目隠しの隙間から何語か分からない言葉で自分を指さして男3人組が何か言っているのが見える。1人が憤り、それを2人でなだめていた。それぞれが拳銃を握っていて、先程から静かな男は携帯電話を片手に何処かに連絡をしようとしている。そして頭に血の昇った男は冬華に拳銃を向ける。


…!誰か…!…ごめんなさい�����様…、わがまま言います…。助けて…!


そう念じると、男の拳銃は弾が詰まる。いつまでも撃てない拳銃を男は投げると、偶然回転して飛んでいく拳銃の銃口が男の方を向いた時発射され、弾丸は男の頭に当たる。2人組が戸惑っていると、息絶えた男の身体がたまたま柱にぶつかり、揺れたことで不幸にも天井の鉄骨が雨の様に降ってきてどうしてか冬華の周辺以外の床にそこにある柔らかいものを貫き、突き刺さる。そして建物の一部が崩れ、その残骸は無残な男達を見えなくする。


「…?生きてる…?」


偶然鉄骨に当たらなかった冬華は緩んだ目隠しを首を振って外し、周りを見ると崩れてしまった建物と、境界を警備中、騒ぎを聞きつけた自警団の隊員達が見えた。




「無傷で冬華ちゃんが見つかったですって!?」


日穂は自警団より救出と保護の知らせを受けるとその不可解な状況に頭を抱える。


「…偶然監禁場所が崩れて、犯人は巻き込まれて死亡…。冬華ちゃんは巻き込まれないで済んだ…。境界を警備中の自警団隊員が音に気がついて独断専行して侵入すると冬華ちゃんが縛られて発見…」


その横で日向は両手で頭を抱える。ため息も付きで。


「なーんでとーかちゃんにしたんだよー!もっといい子探してよー…!」


つい叫んでしまった日向は何かを察した南と小梅に引きずられていく。小梅は日向を抱き抱え、小声で聞く。


「詳しく説明会貰っても…いーい?」


「例えばだよ…芽衣お姉ちゃんが六花お姉ちゃんに私を助けてってお願いしたらどうなる?」


「助けるだろうねぇ」


「…とーかちゃんは割とめんどくさい存在に好かれてしまってて…とーかちゃんが助けてって祈ったら死体を隠しつつ、無傷で、更にはアフターフォローまでしちゃう存在が…」


「どこ所属なの…?」


「…平たく言えばとーかちゃんが神様とやらにお願いすると、そんな馬鹿なって位の限りなく低い確率で起こる幸運を引き寄せるって事…」


例えば日本から避難する時カマキリ型が襲ってきたけど何故か飛んできた機関砲弾が命中したから助かったとか、家がなくてどうしようとなったら、偶然孤児院の経営者を探していたとか、お金が無くなったタイミングでちょうど私が日の出孤児院見つけたり、死んでたはずの父親が生きてたとか…ね…?


「さながら神様に愛された娘かな?」


「うーん…生まれながらの神様キラーというか…神様に愛情を差し上げ過ぎて病ませちゃったというか…」




『冬華ちゃん!?生きてる!?』


「�����様のおかげで生きてる…」


『良かっだよー!』


花に囲まれた屋敷にて冬華に名前を呼ばれた女性は涙でぐしょぐしょの顔で抱きあげる。


「…ごめんなさい、わがまま言って困らせちゃった…」


『もう!いつも困ったら頼ってって言ってるじゃないか!』


「だっていつも運を良くして助けて貰ってるから…」


冬華はそう言うと困った様に自身を抱き上げる女性の頬を撫でて、でもねと続ける


「でも…�����様が見守ってくれているのは私だけって考えると…嬉しいなって思う…ありがとう…」




「何でそんなにラッキーガールとなってしまったのよ、あの子」


「元々神々に愛される体質なんだけど、例えるなら餓死しかけて絶望したところに、すごい可愛い少女が住処と栄養満点なご飯と裏表ない愛情を与えてきて、でも恩返しはいらないと言われる。そんなやきもきした所で自分だったら楽勝だし、相手の為になるお願いをされたらお姉ちゃん達ならどうする?」


「…頑張るでしょうね、やりすぎな位に」


「更にはその後、感謝とやっぱり貴方に愛されてるんだなみたいな感じに甘えてくるとしたら…」


「依存するんじゃないかなぁ…」


日向は肩を竦めて、全く、甘え下手に見えるタイプのナチュラルボーン神たらしめ…と呟く。




「…ん」


「目が覚めましたか!トカちゃん。随分呑気ですねー」


「スズねーうるさい…」


顔を近づけるテンションの高い姉分に軽くパンチをし、スヌーズを要求するとまた寝始める。


「今回は本当に心配したんですよ!反省してくださいよー!」


「…ごめんね…」


寝かせられていたベッドに端座位となり、しゅんとして謝ると


「冗談ですよ、トカちゃんは何も悪くありません。無事で本当に良かったです」


優しく抱きしめて小鈴は言うと、


「お家に帰りましょう!早く姿を見せてあげないとみんな心配してしまいます!特に芽衣ちゃんとかは可哀想になってました!」


と、冬華の事を抱き上げ帰路に着く。そしてその途中で周りに人の居ない事を確認すると


「トカちゃん、�����様を責めないでいただけますか?わざとでは無くてこれは幸運でも回避できない確定イベントでして…」


「うん…、わかってる。本人が言ってた…」


「そうですか…、さて!早く帰りましょうか、大事な�����様への神秘の補充先兼私にとっても大切な家族の所へ!」


その後、2人にのみ聞こえる

『小鈴、抱擁なんてずるいぞ!』

という声がし、小鈴は頭に鳥の糞が落ちてきたり、帰ったらタンスの端で小指をぶつけたりした。




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