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変わっていくものと多分変わらないであろう奴

自分が居候というか同居している料理店ニカイ堂での長引いた仕込みや清掃から帰ると親公認彼女兼婚約者が部屋の隅で体育座りして泣いていた。マズイ、見られたら勘違いしたおやっさんに殺されるかも…。そう俺は考えると最優先任務として泣き止ませる事を決めた。


「涼花ちゃーん?帰ったよー」


「お帰り…なさい…」

珍しい泣き顔ですら可愛いと吉継が思う彼女は、彼を目視すると胸元に抱きついた。吉継は湧き出た何かを気合いで飲み込むとゆっくりと抱き返す。


「どうしたの?良ければ言ってくれる?」


「…実は…ね…」


吉継は涙混じりと尻すぼみ気味の口調をした彼女の話を優しく聴き、頭のなかで要約した。

『キッチンで吉継が清掃や仕込み、修行している時、何処ぞかのアイドルが頑張らなくてもあんなに好きな人に愛されているのが羨ましくなって、つい、恋愛相談に嫌味っぽくアドバイスをしてしまった。嫌われてしまったかもしれない。その娘はありがとうと言ってくれたが本当に自分が嫌になった』との事で、吉継は心の中で、この娘本来は不器用な娘だった…と思い出し、


「明日謝りに一緒に行くよ。今日は寝よ?」


「ごめんなさい…」


吉継は自分の部屋に戻ろうとした時に涼花がブワッと泣き出したので、可哀想になって彼女が眠るまで添い寝する事にした。


「おやすみ、涼花ちゃん」


「吉継さん…」


「なぁに?」


「私が嫌になったら言ってください…」


胸元に顔を埋めた涼花に上目遣いで潤んだ目で見つめられた吉継は心の中で絶対にそんなこと起こらないだろ…と呟くが、涼花ちゃんもね?と誤魔化し、安心したように眠る彼女をしばらく優しく見つめ、頭を撫でた。吉継は寝付いた彼女を確認してベッドから出ようとするも、抱きしめられた腕が解けない。寝言なのか自分との未来予想図を呟きだした涼花に理性を削られ、逃走先に選んだのは自分もこの落ち着く匂いの中眠りにつく事だった。




吉継が目を覚ますと、涼花はもう居なかった。ベッドサイドには『謝りに行ってきます』と書かれており、吉継は少し微笑むと芽衣ちゃんの事だし優しいから許してくれるだろうと、気にせず東城副司令官の補佐任務に向かうこととした。



芽衣ちゃんに謝りに涼花ちゃんが行って2日後、何かおかしい…そう吉継は考えた。



昨日も芽衣ちゃんと仲良く働く彼女をニカイ堂を覗いた時見て、安心した。しかし帰ると早速おかしな事が起こった。言葉で愛を伝えるが、手を繋ぐのも恥ずかしがる涼花が玄関先でおかえりのキスと称して背伸びしてキスをしてきた。


『涼花ちゃん!?』


『おかえりなさい…!吉継さん…!』


涼花以外は固まり、その後文香はあらあら〜と微笑み、源一郎は男泣きして崩れ落ち、吉継は慌てた。


『そういうのは然るべきタイミングで…』


『…?変な吉継さん』


『吉継…うちの娘を幸せにしてやってくれ…』


『あなた?元々その予定でしょ?』


文香さんから涼花が誰の事を考えてたのか知らないけれど幸せそうに夕ご飯を作っていたから冷める前に手を洗って食べましょ?と促された男2人は急いで手を洗い、食卓に着いた。


『美味いぞ…涼花…お父さんには勝てそうに無い…』


『何か隠し味が効いてそうね♪』


『涼花さんこれは…』


両親のオムライスには満遍なくかかっているケチャップが、吉継の分だけ記号を描いていた。良く見なくても分かる、ハート型だった。


『召し上がれ…♪』


『いた…だきます』


味はニカイ堂で出されているものと同じだガ、何か違うような気もする。全体的に甘みが効いていた。こちらを見つめていた涼花にとても美味しいと伝えると良かった…と呟き、自分の食事に移った。


『気になるから聞くのだけど、涼花?隠し味教えてくれるかしら?』


その言葉に涼花は顔を赤らめ、


『材料は何も変わらないよ…?隠し味も入れてない…、けど強いて言うなら』


吉継さんに美味しく食べて欲しいな…って頑張ったから…愛情…?なんてね?


『あらあら〜コーヒーが飲みたくなってきたわ〜』


『俺はコーヒー入れてくる!』


『僕にも頂けますか』


いたたまれなくなったのか涼花はキッチンに行くと、少しして1杯の紅茶を持ってきた。


『どうぞ…』


『ありがとうね涼花ちゃん』


吉継はやけに茶葉の混じった紅茶を焦って作ったのかなと推察して、何かあったのかなと飲む。涼花は紅茶を飲んでいる吉継をドキドキした眺め続け、茶葉と少しの水分を残し飲み終わったカップを少し振り、持ってきた小皿にひっくり返した。しばらくしてカップを持ち上げ、残った茶葉を眺めた涼花は、ホッとした顔で、『良かった…』と呟いた。


そのまま嬉しそうに立ち去る涼花をニヤニヤして文香は眺め、吉継に声をかける。


『はぁ〜もう!我が娘ながら最高ね!』


『あれは一体何をしてたんでしょう?』


ニヤついた顔のまま、文香は『紅茶占いよ?』と言うと、


『残った茶葉がソーサーの上でどんな形をしてるかでこの先を占う。で、さっき少し見えたのは中央に上が少し凹んだ円…強いて言えばハートかしら?あなたが帰る前にいた友達と仲良く言ってたわよ?All is fair in love and war.ジョン・フレッチャーだったかしら?』


未来の息子に少しだけ手助けしてあげるわ。と文香は言うと、


『占領地での対反乱作戦については習ってるかしら?』


『まあ、学校で…』


よろしいと文香は目を伏せ言うと、


『対反乱作戦では民事作戦と軍事作戦の2つに分類できて、民事作戦としてはインフラや住民の保護…不穏分子に味方しないよう、統治側は民衆に寄り添った統治方針やメリットとなる事項を提示し、民衆をこちらに引き込むのが肝要ね。軍事作戦としては不穏分子の隠れ家とか武装、目的や支援団体を解析し、不穏分子を制圧し続けて、押さえつける。なんて所かしら?』


『何故対反乱作戦のおさらいを?』


『何故かしらね?つまりは、民衆をこちらに夢中にさせ、不穏分子の取り入る隙や更には不穏分子自体を潰せば、占領地の安定化を図れるのではないかしらね♪』


『…?』


『フフっ、ちなみにうちの娘は貞淑に陣地を構築して相手の攻勢限界点を狙いも、無闇矢鱈と突撃する質でも無いわよ?あれでも使える限りの火力を相手に撃ち込んで相手を押しつぶす質よ♪』



「…?」


右側臥位で寝ていた吉継が仄かに暖かい物体に触れながら目を覚ますと、涼花が目前にいた。上気した頬と眩しそうに細めた目で吉継を見ており、その目が開くと、


「おはようございます…、吉継さん」


「涼花ちゃん!?」


「好きな人とのスキンシップをするとオキシトシンが分泌されて、脂肪が燃えやすくなるらしいので…」


「なるほどね…とはならないから!1回離れてくれる?!」


抱きつく涼花ごと身体を起こした吉継は焦った様に言い聞かせると涼花は、目に見えてしょんぼりとして、


「嫌でしたか…?」


といい、目を潤ませて吉継のパジャマを右手の指先で掴む。


「朝、目が覚めて直ぐに貴方の顔が浮かんで…部屋来たけどまだ寝てたから…添い寝するだけならいいかなって…でも触れたくて、手も握ってしまって…極めつけにほっぺたにキスまでしてしまって…」


「わかった、わかったから…、嫌な訳じゃなくて、驚いたというか、本当に…可愛過ぎないか…」


涼花は目は潤んだままだが、花が咲くように嬉しそうにすると、顔を吉継の胸元に擦り付けた。吉継は諦めた様な顔をすると、擦り付く涼花を一旦剥がし、正面に座らせた。


「この辺の行動についての交渉をしよう。涼花ちゃん」


「はい…?」


吉継側の要求として、

いきなりは驚くから一声かけて欲しい。

あまり熱烈なのは勘弁して欲しい(理由は説明出来ない)


が出されたが、声はかけるがキスは熱烈にはしないし、ハグも添い寝も熱烈とは言えないからしても問題ないよね…?と返される。吉継は反論を用意しようとしたが、首を軽く傾げ、お強請りするように同意を求めてきたため、してもいいと折れた。


「ならいいよ…!…やった…♪」


吉継は漏れてしまった様な喜びを見せる涼花に目を伏せため息をつく。そんな吉継に涼花は吉継さんと声をかけると彼の右手をフニフニと両手で揉む。


「一体何なのこれ?」


「〜♪」


涼花は吉継の右手を揉んでみたり、広げさせて手を合わせたりする。そして広げさせて手を自身の頭に置く。そのまま撫でるように動かす。そしてそのまま動きを止める。


「…なにこれ?」


「………ください」


「え?」


「いじわる…です」


困惑する吉継にまくし立てるように涼花は続ける


「昨日の夜ご飯は私頑張りました…!失敗しちゃったけど起こしに来ました…!訓練も頑張ってます…!」


そんないい子の彼女を…褒めてくれないの…?


吉継は手放していた意識を取り戻すと、ぎこちなく頭を撫でる。初めは不満そうにするも、だんだん心地良さそうに身を捩る。手を話した時には名残惜しそうに吉継を見つめる。


「…コホン、本来30点と言いたいところですが、とても心地よかったので70点にしてあげます…」


「100点では無いんだ」


「褒めてくださいと言ったのに撫でるだけで済ませたのは酷いと思います…!」


代替案としてご褒美を要求します…!!といい、


「部屋は少し余裕があるのだからベッドをこの部屋に持ち込んでふたつ繋げて毎日一緒に寝る権利を要求します…!!」


「却下だよ!?まだ源一郎さんに殺されたくは無いからね!」


ケチーと不満を垂れた後、頬を染めて「それは私もドキドキして寝れなくなるから取り下げます…」と呟く。


「なら一日1回2人だけの時なら何処でもどちらからでもキスOKの権利を要求します…!」


「だからそういうのは時期とタイミングを「でもキスしていいとさっき言ってました…!」…はぁ、交渉成立だよ…」


涼花は嬉しそうに吉継に飛びつき、【唇】にキスをした。


「いや、流石にここは…」


「だって一日1回2人きりなら【どこでも】キスしていい権利と言ったよ…?」


吉継はやられた…と呆れ、涼花は力強くハグをする。文香さんのあの話はそういう事か…吉継はあの話をより、具体的に修正する。


『何故かしらね?つまりは、【吉継】をこちらに夢中にさせ、【他の女】の取り入る隙や更には【擦り寄って来る女】自体を潰せば、【彼女としての立場】の安定化を図れるのではないかしらね♪』


『フフっ、ちなみにうちの娘は貞淑にして【時間をかけて離れられないように工作】も、【無闇矢鱈にアプローチをかけ続ける】質でも無いわよ?あれでも使える限りの【自分の武器】を相手に撃ち込んで【相手を惚れさせる】質よ♪』


…言葉で伝えてもダメなんだろうな。臆病で少し悲観的で努力家で可愛らしい自らの愛する彼女の攻勢作戦の前より陥落済みの吉継は困りつつも、少し安心した。


あの後、しっかりと朝食と別口だと言われ行ってらっしゃいのキス行うと、吉継は仕事へ行くこととした。大半を内地での事務作業と交渉役と定期的な訓練、時々司令部所属の諜報部隊として働く、士官候補生のみで構成された第4偵察分隊の本日の任務は食糧生産プラントとの協議とその報告の為の報告書作成、司令長官直々に吉継及び涼花へのお呼び出しである。である。つまりは副隊長の親兼義理の父親との会議であり、大半は夕飯時等に協議しているので、ニカイ堂で話しながら田中・西寺コンビを客役として修行に費やす。報告に至ってはごく短時間な為苦ではない。…チキンな吉継的にはとある小学生には時々進展を聞いて煽ってくることを除いて感謝している。書類は2人に任せ、今日1番面倒そうな任務に取り掛かった。

司令長官室に少し迷って4回ノックをして入室すると、熟考して執務机上にある手ぬぐいを使い忙しなくあせを拭く黒井司令長官がいた。とりあえず上司と部下として、食糧生産プラントとの協議の結果と懸念事項を伝えると


「栗原特任少佐、報告ありがとう、了解した…。いつも済まないな…。…すまないが問題があってね吉継君達」


黒井司令長官が名前で呼んでくる時は、飽くまでもここに来てから面倒を色々見てくれた黒井おじさんとしての話となる。どうせ娘関係だが、涼花の親友の親である。未来の自分と考え、後学の為と聞くこととしている。


「芽衣が…彼氏?を連れてきた…」


「彼氏…ですか?」


芽衣ちゃん周りはあの姉を自称する六花がブロックしているから勘違いでは無いだろうか?とりあえず否定は良くないと考えた吉継は詳しい話を聞くこととした。


「どのような人物で?」


「それが…娘だ…」


「は…、はぁ?」


「本気で愛し合ってると六花と手を繋いで挨拶に来た…」


あの…!シスコン!とうとうそこまで来たか…!後で問い詰めてやろうと吉継が息巻くと則道は


「あれは俺をからかってたのか…?」


そこに涼花が割り込む。


「本気です…!」


「「へっ?!」」


「あの2人は本気で愛し合っています…!」


涼花は真剣そうに訴える。呆気に取られる2人を後目に熱く訴える。


「…マジなの?」


「大マジです…!」


「姉妹だろ…?」


「正しくはいとこ同士です…!」


「性別は六花だからいいとして、芽衣はそれでいいのか…?」


「芽衣ちゃんからの告白によるものなので問題無いです…!」


問答の後涼花は震えつつ、冷たく言葉を綴る。


「吉継さんも芽衣ちゃんのパパも反対するのですか…?」


「いや、反対では無いのだけど、あのシスコンだし…」


「芽衣ちゃんの方がシスコンです…吉継さん。六花ちゃんは姉妹愛と恋人としての愛が半分づつだけど、芽衣ちゃんは最初から内心は姉ではなく恋人枠狙いだった…ただ六花ちゃんが落ちてくるのを待ってただけで…」


「とは言ってもなぁ…良いのか?」


「…反対してもいいですけど、2人共ご存知無いのですか?」


涼花が封筒を執務机におき、司令長官室のカーテンを開けて、少し離れると執務机の上に置かれたマグカップと窓ガラスが砕け散る。


「お膳立てしたのは…誰だか」


則道が封筒を手に取り、中を見ると青い顔をする。


「反対ならいいんです、ただ、身内とかアイドルの幸せを邪魔する障害を破壊するのが得意な方々がいるので、お気をつけて。主に3人とレジスタンス1つ位」


「…身体残るのか…?」


「運が良ければ…?」


則道は「てかまず、戸惑ってはいたけれど反対する訳ねーだろ!!血は繋がって無くても可愛い俺の娘達だぞ!!寧ろ本当ならありがたい位だわ!!」と叫び、

「もう、これで芽衣を外交カードに使えなくなった!」とガッツポーズする。


「婚姻外交…ですか?」


「吉継も似たような事にはなっちまったがな…あのゴリラの手網として…」


則道は渋い顔をして、うーんうーんとうなる。


「あはは…でも自分は涼花をこれ以上無く愛してますので…」


「本当か〜?」


吉継はそれにはぁ!?と怒った様に言うと


「言わせてもらいますけど!たとえ嘘だったとしても好きだ、愛してると言われて、色々理由をこじつけてスキンシップをされて、今日なんか一日1回相互にどこでもキスしていい権利なんて理性が吹き飛ぶような可愛らしい権利を主張してきて、自分如きに精一杯アプローチしてくる少しネガティブで自己評価低くてガラスのハートな癖に献身的で恥ずかしがり屋で天使の様な姿した女の子と結婚したくない訳ないでしょうよ!!寧ろここまで来ると別れますとか言われたら首くくるわ!ボケ司令!!」


ゼェゼェ息を切らす吉継に則道は本当に申し訳ないと綺麗な土下座を見せた。そして頭を上げた則道は後ろを見てやれと呆れると椅子に戻る。そこで思い出す。後ろに当の本人がいることに。


「涼花ちゃん!これは…アノ…ソウデスネ…少し熱が入りすぎた…と言いますか…」


「あーあー!惚気は娘達だけにしてくれ!ほら!出てった出てった!!」


則道に押し出されて2人は司令長官室から出されると、放心状態の涼花を困惑した後、お姫様抱っこをして、残っていた2人に帰宅の旨を伝えると、バカップルくたばれと返事が来たので帰ることとした。


「…はっ!ここは?」


「気がついたー?」


すると胸元の涼花は顔を手で隠すとそっぽを向く。


「…嘘じゃないから」


「…わかってます…でも芽衣ちゃんが言ってた事がわかっちゃって」


「芽衣ちゃん?」


吉継の質問に、何時もより小さな声で


…好きな人に愛されている自覚をすると…ふわふわして何かが溢れてきて…心臓がこのまま止まって…しんじゃいそうだなって…。


それを聞いた吉継は急いで近くのベンチに涼花を座らせ、肩を掴む。


「…涼花ちゃんストップ!可愛いが許容範囲を超えて危険な所まで来てる!お姫様抱っこは失敗だったかも!」


「私の指のサイズは9号ですから…」


「それは知ってるし、リングもドレスも俺の金と何処からか調達された貴金属で用意したから良いけど、それはそうと可愛い過ぎて耐久しきれないからストップ!」


「…!あの…吉継さん?」


「何?!」


「これから涼花って呼んで欲しいです…」


「そっちも敬語外してね涼花!」


「分かった…!吉継さん♪」


「その顔はハーグ陸戦条約で禁止じゃない?!幸せ感じるのだけど!」


「All is fair in love and war.問題無いよ…?大人しく私の旦那様になって…」


「よし!なら涼花の指輪の号数とかドレスのサイズをなぜ知ってるか言ってあげよう!元々ニカイ堂のオムライスより涼花が目的だった位のこの俺にかかればスキンシップ中に測れてしまうんだぜ!」


「エッチ…」


「流石にとあるところのサイズは文香さんに聞いたけど…」


「…触っても良かったのに…」


「…勘弁してくれ」


涼花は理由を察すると、口元をおさえて笑い始める。


「…ンン!残りの人生を共に歩く許可を頂けますか?」


「…フフ♪もっとロマンチックな所でお願いします…♪」


「おまかせあれ!いい所あるんだけど、何とか行けないかなー」


「嘘です…♪」


涼花は小さく呟く。「吉継さんの腕の中より幸せな所はないから…」と、吉継は困ったように抱きついてきた涼花を優しく抱きしめる。


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