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服従のアルカナドール  作者: ゆらん
第二章
85/110

これからのこと




 その後、クリンバにあるマルティーニファミリーの事務所へと俺達は戻ってきた。チックに落し前をつけてきたヨハンさんとも合流し、残る問題はミカエラの魔核マジック・コアの件だけとなった。

 そして、俺達の今後のことも今一度話し合うことになった。

 当面の目的は仲間集め。そしてクランを作ることだ。

 だが、そうそう簡単に仲間なんて増えやしない。当たり前だが、同じ志を持たないと一緒に行動なんて出来ないだろう。ソロの冒険者を集うなんて、そう甘いことでもないのだ。


「東方の旅団との一件はとりあえず片付いたんですよね。ミカエラも取り戻しましたし……。やっぱり問題はミカエラの魔核マジック・コアですか」


 マルティーニファミリーの運営する事務所で丸テーブルを囲み、とりあえずの作戦会議を行う俺達。

 面子は俺合わせいつもの3人プラスアニエスさんとミカエラだ。それと一応ミィもいる。


「そんなに気にしなくていいわ。あたし達ダークエルフは、そもそも基本的に魔法を使わないから。まあ、普通のエルフ族は魔法に頼ってる節はあるけど。でも、特殊な結界を張られた里でひっそりと暮らすのがあたし達だから、魔法を使う機会はほとんどないの」


 淡々と言うミカエラ。

 だけど、そういうことでいいのだろうか。凄く大事な物だと思うんだけどな。俺が魔力を失ったら、戦うことも難しくなるだろうし。


「イオ、ミカエラがこう言ってるんだから、いいのよ。それに、多分ゼルマとはまたどこかで戦うことになる。ミカエラの魔核マジック・コアはその時に取り戻せばいいわ」

「そう、ですね。今すぐどうこうできる問題でもないみたいですし……」


 もどかしいが、どうすることも出来ない問題に頭を抱えていても始まらない。ウルリカさんもそれを理解しているからこう言っているんだろう。


「では、私とミカエラはダークエルフの里に向かいます。里に入りさえすれば、もうミカエラは安全ですから。それまでは私が同行する予定です」

「そうね。そちらは任せたわ。それで、アタシ達なんだけど、近々クリンバは発とうと思っているわ。ここのギルドには目ぼしいやつはいなかったし、ちゃっちゃと次の町に行く方が利口よね」

「僕もそれで構わないよ。でも、最後にヨハンには礼を言いたいかな」

「私も、ヨハンさんにはお世話になりましたから」

「わかってるわよ。すぐに発つわけじゃないんだから安心して。明日またこの事務所に来るわ。ヨハンはなんだか事後処理で忙しいみたいだから、その時にね」

「わかりました」


 とりあえずの場だけを用意してくれたのは、ヨハンさんだ。こうして事務所を使わせてもらっているのも、ヨハンさんが計らってくれたからだ。ほんと、色々お世話になった。


「ウルリカ、クリンバの次はどうするんだい? ここから近くだと、都市規模でいうと……パークスかな?」

「パークス……、確か、闘技都市だったわね。冒険者ギルドもあったはずだし、アタシ達はとりあえずそこに向かう前提で動きましょうか」

「闘技都市ですか……。なんだか凄そうな場所ですね」


 闘技場でもあるのだろうか。それとも、屈強な戦士達がたむろしてる都市なのか。ちょっと怖いけど、新しい場所に行くのは楽しみでもある。それが旅の醍醐味だろうし。


「闘技都市パークスですか。私も少し前に行きましたね。まあ、長くは滞在しませんでしたが」

「あら、大陸最強の剣術士が闘技都市に行ったのなら、有名人だったんじゃないの?」

「ええ、それなりには知られていました。といっても、サインを求められるのではなく、決闘の申し込みばかりでしたが」

「はは、さすがは闘技都市だね。腕に自信のある人間ばかりが集まっているのかな」

「ディーンさんの言うとおり、腕の立つ方ばかりでしたよ。そういう意味では、有意義な時間だったのかもしれませんね」

「それでもアニエスさんには誰も勝てなかったんだよね。やっぱり大陸最強の名は伊達じゃないみたいだ」

「そういう程ではないですよ」


 苦笑いし、アニエスさんはウルリカさんに視線を送る。

 

「私達は明日発ちます。ヨハンさんには私もよくしてもらったので、お礼をしてからこの街を出ようと思っています。ミカエラの件もありますし、このまま何も言わずに街を出るのははばかられますから」

「わかったわ。ここでアンタ達とはお別れね。名残惜しいけど、旅をしていればまた会う機会もあるでしょ」

「そうですね。皆さんとはまた会える気がします」


 そういうと、アニエスさんは立ち上がった。


「私達も同じレスピナに宿取っていますからね。そこまでは一緒に帰りましょう」


 同じく、ウルリカさんも立ち上がった。

 おれとディーンさん、そしてミカエラも立ち上がる。


「アタシは最後にここのボスと話してから帰るわ。話したいこともあるし」

「わかりました。私達は先に帰って宿屋で待ってますね」

「さすがにこれだけいれば迷子にはならないわよね? イオ」

「は、ははははー……」


 そりゃそうだ。

 ウルリカさんが意地悪そうな顔で言う意味も今は判る。


「それじゃ、気をつけてね」

「はい」


 俺はウルリカさんに返事して、皆と事務所を後にした。

 このクリンバでは色々あった。奴隷商に捕まるのは、もう勘弁願いたい。あんな目は二度と御免だしな。

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