Ⅱ-5.落下中
拝啓、ヨイチ様
ただいま私達は縦穴を落下しています。
なぜこうなったのでしょうか?
日頃の行いが悪かったのでしょうか…
これからは毎日、品行方正、清廉潔白に生きていくことを誓いますから助けてください。
神様…
ガスッ…
「……現実逃避………ダメ………」
「ハッ 俺は何をしていたんだ?」
再起動。
現実逃避終了。
さて、どうしたらいいんだろう。この状況。
「……どうしよう………」
チェリーが聞いてくる。
「素直に死に戻り」
「……イヤ……素材………………たくさん……」
「ロキが持ってるのはモンスタードロップだけ、採掘などで手に入った素材は全部チェリーが持ってると。
よし、少しムチャするか、チェリー手を伸ばせ」
俺は武器を石割りから鉄刀【斬】に持ち変える、チェリーを引き寄せ片手に抱える。
「穴やら崖やらから落ちたときの王道はこれだろ。“一突”」
俺は壁に向かって思い切り突きを繰り出す。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
凄い音をたっているが、少しずつ速度が落ちていく。
「…………………底…」
底が見えてきた。
「間に合えー」
少しずつ地面に近づいていき、あと少しでぶつかるというとき静かに落下は止まった。
「生きてる…生きてるよ俺たち!?」
「………よかった………けど…………」
「そーだよな。ここから生きて出ないといけないんだよな。お家に帰るまでが遠足だもんな。それにしても長い穴だったな。何メートルあったんだか。わかるかチェリー?」
「…………約480メートル…………」
「解るの!?」
「……このゲームの………落下速度……1メートル/秒………」
体感時間で8分くらい落ちたから、60×8=480
「確かに480メートルだな。まあそんなことより状況確認だな」
右手、左手、両足Ok、HPは八割、武器は…
「チェリー、これどう思う?」
チェリーに鉄刀【斬】を見せる。かなりムチャさせたようでところどころ刃が欠けていて、切れ味も悪くなってそうだ。
「………大丈夫………直せる………むしろ………強化…………する……」
「だったらなおさら生きて帰らないとな。」
ん?
そうだ今こそあの台詞だ
「生きる…ではなく、生きて帰らなくては。この胸にまだ…絆があるのだから」
「…………誰との………」
「ノリだ」




