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第一章 現実未来書

会いたい、会いたい、会いたいよ。貴方と巡り会いたい。


あのね、私は貴方のことが知らなくて、貴方も私のことを知らないの。これが私の”現実未来書”(げんじつみらいしょ)


私はこの書を計算して動いてるの。

貴方のことを知らなくてね。


電車の中だって、この書があれば運命の人が誰だか分かる。それってつまらない?ううん、それがとっても面白いの。


みんな未来なんて分からないよね。私だってそう。この世で未来が分かる人などいたら、凄い事になってる。

そんな事当然。


それは、突然やってくる。


12月24日 見事なクリスマスイブ。私は町の様子をカーテンの間から覗いてみる。町の真ん中には大きいクリスマスツリー。何度見ても、幸せ溢れる町。でも私は違う。みんな騒いでいる中に、一人ポツンと私がいる。みんなの雰囲気をぶち壊す事になる。彼氏もいない、友達も遠く、家族も遠く。私も騒いでいる中に入るのは嫌だ。


その日は、突然やってくる。


「おーい!早く始めるぞ−!」「はい!」これはごく普通の学校の様子。それに比べてこっちは、「はーい。みんなやるきねえよなぁ。じゃあ今日も自由時カーン。先生は帰るぞー。」「…………りょーかいっす」最後の「。」も付かない返事。


「こんにちわ」もう何年言ってないだろう。「おはよう」これは一週間に一回くらい、飼っているインコに言っている。あぁ、最近笑ってないなぁ。


その日は、しっかり突然やってくる。


「あの〜…。」「……え…?」「花崎はなさき 瀬奈せなさんですよね…?」「…あ…えっと……あ…そう…で…す…。」何日も話していないせいか、自分の名前もど忘れしていた。名前だけでなく日本語も。「ちょっと伺いたいのですが、」「あ…はい…」「これ、あなたのですか?」それは、私の唯一の大事にしている、現実未来書だった。「…あ!…それっ!」「…やっぱりそうなんですね^^安心しました〜!では!私はこれで!失礼します!」「…あ!…ちょっと…!」

あの人は、すぐ消えてしまった。

私の深く心の奥で、”ありがとう”この言葉が溢れている事に、私はまだ気づいていなかった。それよりか、現実未来書、無くしてたんだっけ?そういえば随分書いてなかったっけ。私はゆっくり、すごくゆっくり、現実未来書を開いてみる。そこには、”現実未来書 私はいつか、白馬の王子様が迎えに来るのを待つことになる。そしていつか、白馬の王子様と結婚して、夢見る生活を手に入れる。”…。おお…結構リアルだなぁ。改めて感じる。そこの最後の行には…。

”瀬奈へ パパ、アメリカに行くことになったんだ。瀬奈のママも一緒にな。本当に残念だ。瀬奈には、おばあちゃんが居てくれる。何かあったらすぐおばあちゃんに言うんだぞ。パパとママ、もう瀬奈に会うことは決してないだろう。きっと今は学生だろう?これがパパの現実未来書だよ。 パパより”

私は正直、驚きすぎで頭の中が真っ白なんてもんじゃない。こんないきなり、奥深いストーリーも無かったのに、こんな現実未来書が見つかる。なんだか凄く嬉し悲しい。それより私は、自分に家族がいたことに驚く。なんだかね、切ない気持ちって言うのが分かった気がするんだ。

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