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6.王子様のお茶会②


「……僕、リンダの事、好き、かな……」

「……は??」


 私は間抜けな声が出た。


「お前、何言ってんだ!!」

「そうだぞ!!」


 エヴァンとデレルも訳が分からないといった様子でエイジはポカンとしている。


「婚約、する??」


 全員がポカンとする。


「お前!! いくらリンダだからといって!! 言っていい冗談と悪い冗談があるぞ!!」

「そうだぞ!! それにそんなプロポーズの仕方があるか!!」

「そっ、だっ、リ、リオン様、リンダ義姉さんに本気なんですか!?」


 周りの聞こえていた人達も大騒ぎになっている。というかエヴァンもデレルも失礼過ぎない!? いくら焦っているからとはいえ本音すぎるでしょう!! あ、いや、デレルの言う事は最もね。私、混乱しているわ。


「えー……じゃあ……」


 リオンが私の前でひざまづいて手を取る。私はパニックだ。


「婚約……あ、いや……結婚……どっちでもいいや……して下さい」


 どっちでも良い訳ないだろ!! 心の中で突っ込む。この人、え?? 本気なの??


「僕さー……子どもの頃からいいなって思ってたよ。でも昔と今では面白さがなんか違う……今言わないと……とられる……今のリンダでは一歩遅れるだけで……とられる……」

「リオン様、凄いですね」


 え!? 何が!? エイジ!? そして私は何も言っていないのに周りから割れんばかりの拍手が……。とりあえずここは……逃げよう。そうしよう。


「リオン様!! 保留という事にして下さい!!」

「クスッ、やっぱり面白いし……真っ赤になって可愛いね……」


 私は聞こえないふりをしてエイジの手を引いてその場から去った。


「ぃっ!! おい!!」

「えっ!?」


 エイジではない声に驚いて振り向くと私の手はしっかりとエヴァンの手を握って歩いていた。


「アレ!? エイジは!?」

「知るか!! お前が俺の手を突然つかんで歩き出したんだろう」

「エヴァン様……失礼しました……くぅぅ……」

「そ、それより早く手を離せ!!」


 私は慌ててエヴァンの手を自由にした。


「本当に、本当に、失礼しました」


 深く頭を下げて精一杯謝罪する。これ以外の事出来ないし。


「もういい。驚きはしたが別に怒っている訳ではない」

「え……」

「こんな事でいちいち怒るか」


 おおー。王子様心広い……。


「ありがとうございます!!」


 そうこうしているとエイジが走って追いかけて来た。


「リンダ義姉さーん!!」

「エイジ!! ごめんねエイジと間違えてエヴァン様連れて来ちゃった」

「プッ、お前、こんなに天然だったか??」

「私は天然ではありません!!」

「まあいい、じゃあ俺は戻るからな」

「はい、ありがとうございます。許していただき」

「き、気にするな」

「はい!!」


 なんだかエヴァン様赤くなっていたような?? 走って暑かったのかしら。


「置いて行ってごめんねエイジ。私も少し落ち着いたしお茶会楽しみましょうか」

「うん。それはいいんだけれど……リオン様の事とエヴァン様を連れ去った事で大騒ぎになっているよ。デレル様も頭を抱えていたし」

「え、ええ~……」


 まぁ私が悪いところもあるから何とも言えないわね。


「リンダ!!」

「デレル様、どうされたんですか??」

「いや、リンダ、あんな状況に居合わせて黙っているのもと……リオンが悪かった」

「いえ。思い出しました、リオン様がああいう方だったようなー……と」

「エヴァンを連れて行ったのは何か言いたかったからではないのか??」

「い、え……エイジと間違えただけですわ」


 恥ずかしくなって俯いていると顎を持ち上げられた。これが……噂の『顎クイ』!?


「な、ななな何ですか!?」

「いや、リオンはいつもおかしな事を言うんだが今日はアイツが正しいのかもしれないなと思って」

「そ、れ、は……どういう……」

「デレル様!! だからリンダ義姉さんで遊ばないで下さい!!」

「大人しそうに見えて番犬か」

「エイジは番犬じゃありません。可愛い義弟です!!」

「間違ってはいないと思いますよ、デレル様」


 バチバチッと視線を交わしている二人を見て意味が分からなかった。もう色んな事が起こりすぎたので意味を考えたくもなくなっていた。もう、何なの。


「リンダー!!」


 ゲッ!! リオン!!


「な、なんでしょうか」

「……そんなに警戒しないで。今日は突然ごめんね……これを渡したかっただけ……」


 そう言いながら真っ赤なバラを一本渡してきた。これは……本気……なの。もう今日は家に帰って休ませないと、脳を。おかしくなる寸前だわ。


「ありがとうございます……ありがたく頂きます」

「……じゃあOKって事……」

「保留です。保留」

「そう……じゃあ待ってる……」


 少し寂しそうにリオンはその場を後にした。


「ありゃー、リオン本気だな。困ったな」

「デレル様、見ていたんなら助けて下さいよ」

「バラ貰っただけだろう」

「まあそうですけれどー」

「僕も何も出来なくてごめんね」

「エイジは助けてくれているわ!!」

「ふふっ、リンダ義姉さんありがとう」

「今日は番犬君がいるから戻るね~。でも、まぁ、また今度ね」

「はい、デレル様」


 ふぅ、こんなに疲れるお茶会は初めてだわ。王子様方は……退屈していらっしゃったのかもしれないわね!! 私、別に面白くはないけれど!!

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