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5.王子様のお茶会①


「え?? お城でお茶会が??」

「ああ、リンダもエイジも行けるね??」

「はい」

「はい、お義父様!!」

「おそらくエイジの事も見ておきたいんだろう」


 そういう事……王子様達とお会いするの、いつぶりだろう。

 お茶会までの日はあっという間に過ぎていった。今日はお城でのお茶会だ。リンダの身体にも今の生活にも慣れてはきたけれど少し不安……ま、まぁ、エイジもいるし大丈夫よね!! うん、うん。そもそもあと四年ほどで学園に入るんだから色んな人と知り合っておいて損はない。公爵家だからおそらく会った事のある方達が多いと思うんだけれどね。なーんか、こう、モヤモヤーッとしか覚えていない。そうこう考えているうちにメイド達が私のお茶会の準備をしにきてくれていた。あっという間に綺麗に着飾られた所で馬車へと向かう。エイジはもう待っているのかしら……と考えていたら馬車の前でこれまた素敵に着飾られたエイジが待っていてくれた。


「エイジ、お待たせ」

「リンダ義姉さん、凄く綺麗」

「ありがとう」


 瞳をキラキラさせたエイジが褒めてくれる、が、そんなに私いつもは質素かしら?? あは、あはは。一応公爵令嬢だからこれからは気を付けよう。メイドはあれやこれややってくれるのだけれど面倒で途中で「これでいいわ!!」なんて言って終わらせちゃうのよね……ごめんなさい皆。


「はい、リンダ義姉さん」


 スマートに手を差し出してエイジがエスコートしてくれる。なんだかこそばゆい!!


「あ、ありがとう……」


 顔が熱い。私を乗せた後エイジも馬車に乗り込み、そこではいつも通り楽しいおしゃべりをして過ごせた。


「緊張してる??」

「リンダ義姉さんがいるから大丈夫だよ」

「そう、良かった」


 お城について案内されたのはそれはそれは見事なお茶会だった。ふぅ、流石だわ。とにかく王子様方にご挨拶へ行かないと……。嫌われているのよね~私。


「エイジ、行くわよ」

「はい。行きましょうリンダ義姉さん」


 きょろきょろと見回してみたらすぐに見つけた。あの人だかりの中にいるのね。入っていけるのかしら?? なんて思いながら近付いて行ったら私達に気付いた人達がどんどん道を開けてくれる。公爵家ってやっぱり凄いのね。そもそもこのお茶会に来ているってだけで皆とても凄い人達なんでしょう……そんな人達がこの反応、前なんて普通の普通のふつーーーうの女子高生だったからね。そんな事を考えていたら目的の人達が目の前に見えた。私はこっそり深呼吸する、そしてにっこり笑顔を張り付けた。


「ごきげんよう、エヴァン様、デレル様、リオン様。本日はこのような素敵なお茶会に招待ありがとうございます」


 王子三人が揃ってこちらに視線を向けた。その瞬間嫌なものを見たというような表情に……はぁ。やっぱりすっごーく嫌われているわ。ごめんねエイジ、あなたにも嫌な思いをさせてしまうかもしれないわ。


「ああ、久しぶりだなリンダ」

「どうも、リンダ」

「……久しぶり。リンダ……」


 小さい頃何度か会っているからやっぱり覚えているわよね。私も覚えている、緑の瞳がとても美しい第一王子エヴァン様、燃えるような赤い瞳をもつ第二王子デレル様、まるで氷のように輝く水色の瞳の第三王子リオン様。さすが王子様、三人ともとてもオーラがあるわね。


「紹介しますわ。私の義弟です」

「エイジ・アッカーです。どうぞお見知りおきを」


 エイジが自己紹介すると何とも言えない表情になるお三方。何故。


「エイジ君、か」

「エイジとお呼び下さい。エヴァン様。デレル様とリオン様も」

「ではエイジ、リンダには何もされていないか??」

「っ、それはどうい――」


 怒り出してしまいそう、というか怒っているエイジの服をこっそり引っ張るとこちらへ視線がきたので首を横に振った。それだけでエイジには分かるだろう。


「リンダ義姉さんには良くしてもらっています。まだ家族になって短いですが本当に愛らしい義姉さんだなって思っているんですよ」


 ニッコリ笑ってとんでもない事言い出した……。


「愛らしい……??」


 デレルの赤い瞳が不信感でいっぱいになっているように見える。


「……うーん……確かに……うん。僕も愛らしいと思うよ」

「なっ」


 私の顔を覗き込んでそのキラキラした瞳に私をうつす。確かに第三王子のリオンは大人しそうに見えて変わったものや面白いものが大好きなのだ。それで普通なら嫌われていてもおかしくない私の事も他の二人よりは嫌っていないのかもしれない。そこにエイジというまた彼にとっては面白そうな人物の登場で興味をもった……可能性が……。ああ、なんて事。


「リンダ義姉さんで遊ばないで下さい……」


 ええ、本当にどうしたのエイジ!? あんなに大人しくて優しくて可愛い私の義弟エイジが!! なんか覚醒した!?


「……遊んでないよ。可愛いなって……思った、から」

「先ほど嫌なお顔をされていたのにですか??」


 だからエイジ―――!!


「うん……なんか、君、エイジを見る目が優しかったから。僕は信じるよ……君の言っている事……」

「リオン様……ありがとうございます」


 エイジはリオンを信じていいものか悩んでいるようだし、エヴァン様とデレル様がイライラしてきている様子なのはどうすれば……。

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