31.生徒会のお仕事
「昨日は楽しかったわねミント」
「はいリンダ様、この指輪、大切にしますね」
「あー、つけてくれているのね。とっても嬉しいわ」
「そんな、私の方こそです」
「お休みも終わって今日からまた授業に生徒会のお仕事ね」
「はい。でもリンダ様とずっと一緒で楽しいです」
「私もよ」
――コンコンッ
「失礼します」
生徒会室には生徒会長だけがいた。流石、早い!!
「お疲れ様ですジュダス会長」
会長はジュダス・ラティマー様、公爵家の長男でとっても優秀なのよね。
「ああ、リンダさんミントさんお疲れ様」
「今日も凄い量のお仕事ですね……うう」
「会長としてこれくらい出来ないとね、ははっ」
「本当に尊敬しますわ、ねえミント」
「はい、本当にお凄いです」
「ありがとう」
会長は飲んでいたティーカップを置いて優しく微笑んだ。なんて素晴らしく綺麗なお方!!
「じゃあミント、私達も頑張りましょう!!」
「はい!!」
私は生徒会には入っているけれど順位的には滑り込みで入った感じなのよね。ハッ!! 生徒会に入らなきゃと思って必死で勉強を頑張って入れたけれどそもそも入らなければストーリーが変わって私が死ぬ運命から逃れられた可能性がっ!! しまったわー!! でも下手に変えても死ぬのが早くなったり?? ああ、駄目だわ考えすぎたら訳が分からなくなってきたわ。とにかくお仕事お仕事。
「ん?? なにこの意味不明な書類……」
会長に訊こう。
「あの、会長、この書類なんですけれど……」
「ああ!! 探していたんだよ。ありがとうリンダさん」
「いえ、見つかって良かったです」
会長あんなに訳の分からないお仕事しているのね……私は二年経っても出来る気がしないわ。
「リンダ……お疲れ様」
「わっ!! リオン様!!」
「そんなお化けでも見たみたいに……」
「ごめんなさい……でも突然背後から声を掛けないで下さい、はぁビックリしましたわ」
「……可愛かったから別にいいけど……」
「リ、リオン様またそのような事を!! もう!!」
「クスクス……」
いつもいつも本当にリオンはこんな風なんだから。そして当然のように私の隣に座ってもくもくと仕事を始める。不思議な人だわ。何年経ってもリオンの印象は変わらない。
いつの間にかみんな揃っていて少し騒がしくなったわね……とは言っても三年生二人、二年生三人、一年生六人というバランスの悪さ……辞めていく人も多いみたい。ま、勉学に魔法の訓練にと学園生活は大変ですものね。私も何とかついていくので精一杯。でも私はもう焦って魔法を頑張らなくていいから生徒会のお仕事に来られている。他の皆は凄いわ、特に会長の仕事量は半端ない。
「リンダ、仕事はまだ残っているか?? こっちは終わったから手伝うぞ」
「エヴァン様、ありがとうございます。でももうこちらも終わりますので大丈夫ですわ」
「そうか」
……どうしてずっと背後に立っているのかしら。意味も分からず背後に立たれると怖いわよね。
「おい」
「はっ、はい??」
エヴァンが背後から腕を伸ばし私の手の近くに片手を置いた。
「ひっ、な、何ですの!?」
「ここ、間違っているぞ」
これは前世の恋愛アニメで見た『イケメン同期や先輩がやるやつ』!! だわ!! 背中にエヴァンの体温を感じて頭が沸騰しそうだった。耳元で聞こえる声も低くていい声!! 駄目だわこんなのー!!
「あーっ、ああ、本当ですわ!! エヴァン様ありがとうございます」
驚きすぎて瞬間移動のように離れた。
「な、何だよリンダ」
「べべべ別に!!」
「エヴァン、リンダが……怖がってるじゃない……」
「はぁ?? 何が怖いんだよ」
「やっぱりその鈍感さは変わらないよね……」
「何を言っているのかさっぱり分からん」
エヴァンは不服そうな顔で頭を掻いている。もう、この人達本当に……急に前世でのときめく行動ベストなんちゃら~みたいなのやってくるんだから。今のは『耳つぶ』『バックハグ』に近いものでもあるわよね。そんなの前世でやられた事ないから心臓がまだおかしい。前はリオンに壁ドンもやられたわね……やっぱりこの人達おかしいのよ。頭の中どうなっているのかしら!?
「おい、リンダ」
ひぃぃ、今度はデレル!? ここは冷静に……
「はい、どうされましたか?? デレル様」
「リンダ、インクが袖につきそうだぞ」
そう言うとまた背後から手が伸びて来て袖を上げられる。こーれーはー!! 何考えているの『袖クル』を仕掛けてくるなんて!! もう……駄目だわぁ。
「ちょっとエヴァン様もデレル様もあまりリンダ義姉さんに引っ付きすぎないで下さいよ」
「そんなに引っ付いていたか?? なぁデレル」
「分からん。だがエヴァンは引っ付いていた」
「……裏切者が」
何の話をしているのよ!? というか隣にミントがいるんだからミントに声かけるべきでしょう!? どうして皆して私に声かけるのよ……あ、そうか。ミントに声を掛けるのはハードルが高いのね、恥ずかしいのよ。なぁ~んだー、皆可愛いところがあるのね。そう考えると爆発寸前だった心臓が落ち着いてきた。
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