27.新入生歓迎ダンスパーティー①
あの時、リオンがダンスに誘ってくれて良かった……相手がいなければやっぱり義弟のエイジが私のダンスパートナーになってくれていたはず。これでエイジに好きな人とダンスパーティーを楽しんでもらう事が出来るわ!! エイジ、ちゃんと申し込めたかしら?? うまく、いっているといいわね。リオンがいっちばん私で遊んでいるから罪悪感もなし!!
「リンダ義姉さん」
「あら、エイジ!! どうしたの?? そんな悲しい顔して……」
ハッ!! もしかして振られた!?
「エ、エイジ……あの、うまくいかな――」
「どうしてリオン様の申し込み受けたの」
え、どうしてリオンが出てきたの。もしかしてまたオモチャにされるのを心配してくれているのかしら!? 私は別にそんなに嫌じゃないけれど……いや、変態な訳じゃないけれど、決して!! だってエヴァン様もデレル様もリオン様も意地悪してくる訳じゃないし、叩かれたりする訳でもないし。あ、いや、意地悪な感じの事は言われているかもしれないけれど。何故そんなに私をいじって楽しいのか分からないのよね……思い出したらなんだかドッと疲れが……。
「んー、どうしてそんな事が気になるの??」
「だって、本当は僕がっ……」
やっぱりそのつもりだったのね。
「リオン様よ?? きっと他の御令嬢のお誘いとか断るのが面倒だったんじゃなかしら。私だったらオモチャ扱いしているし楽なんじゃ……うん、絶対そうだわ」
「リンダ義姉さんはオモチャとか嫌じゃないの!?」
「へ……そんな今更な……」
エイジそんな事を気にしてくれていたのね……本当に優しくて良い義弟なんだから!! 私は幸せ者ね。
「エイジ、ありがとう」
「え?? 何が??」
「私、エイジがいてくれて本当に嬉しいわ」
「え、それって……」
「こんな良い義弟何処探してもいないわ。本当よ」
「あ……ん、うん。そうかな、ありがとうリンダ義姉さん」
あれ……何だかエイジの様子が……どうしたのかしら。
「リンダ様、失礼します。そろそろパーティーのご準備を」
「ええ、分かったわ、ベル、すぐ行くからお部屋で待っててくれる??」
「かしこまりました」
エイジが心配だけれどエイジも準備しないといけないし。
「大丈夫?? エイジ」
「うん、大丈夫。リオン様に意地悪されたら僕の所へすぐに来てね、リンダ義姉さん」
「分かったわ、ありがとう。じゃあまた後でね」
お互い部屋に戻って私は数名のメイドに囲まれて凄い着飾られていく……何だか気分はクリスマスツリー。こっちにはないけれどね。最後に香水をしゅしゅっと吹きかけられて終了!! ふぅ、もう疲れてしまったわ。
「リンダ様、リオン様がお迎えに来ておられます」
「ええっ!? てっきり学園で会うのだと思っていたのだけれど!?」
「ですが……来られています」
「分かったわ、本当にリオン様は行動が分からないわ。昔から……」
少し混乱しつつもリオンだから、で済む話。すぐに落ち着いてリオンの元へ向かった。
「やぁ……リンダ、すっごく綺麗だね」
「ありがとうございます。リオン様も素敵ですわ」
ん?? 何、リオンの頬が赤く染まり少し俯いてしまった。何だか新鮮だけれどどうしたのかしら。まさか私の誉め言葉で……いや、ないわね。
「では行こうか、リンダ」
顔を上げたリオンはいつも通りに戻っていた。気のせいだったのかしら。
差し出された手を取り馬車へ乗り込む、何だか少し緊張してきた。どうしてかしら。思えばリオンとこんな風に二人きりになる事ってなかったものね。リオンはあまり表情筋が活発な方じゃないけれど何だか……嬉しそう。一緒にいる事が多くてリオンの事がなんとなく分かってきただけかしら。面倒なのが嫌で私を選んだというのにどうしてそんなに楽しそうなの?? ああ、そう、今日はオモチャを独り占め出来るとでも思っているのかしら!? まあ別にもういいのだけれど、そんな事。
「リオン様はたくさんのお声がかかったのではないですか??」
「え?? うーん……そう、だね」
やっぱり今日は表情筋が……にっこりと笑って首を傾けたリオンの耳に付けられた雪の結晶がキラリと光って少しドキリとした……私からの贈り物、今日も付けてくれているなんて……安物なのにこんな日にまでと、嬉しく思った。王子にふさわしい物、きっとたくさん勧められたに違いない、なのに……。
「あの、すみません。もっといい贈り物、しますね」
「え……耳飾りの事??」
「はい」
「僕は……これ、とても気に入っているし好きなんだけれど……似合わない??」
「似合っていますわ。でも、こんな日に着けてもらえるような物では……」
「ふふっ、リンダ、可愛い……」
しまったーーー!! またからかわれているわ!! 自分からこの話を振ってしまった事に後悔した。
「リンダは全部顔にでて、面白い……ね」
ほらーーー!!
「リオン様を楽しませる事が出来て光栄ですわっ」
「クスッ……そう、もっと楽しませてくれるの??」
「わざと楽しませている訳ではないので分かりませんわ……はぁ」
リオンは馬車の中でずっと楽しそうにしていた。




