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26.新入生歓迎ダンスパーティーまで

 学園のダンスパーティーまであと少し……駄目もとでも早く申し込まないとやっぱりエイジになるよね……。僕がエスコートしたい、リンダと踊りたい。というか今更だけれど第三とはいえ王子の僕の婚約申し込みを『保留』と言って逃げるなんて……。


「ぷっ、あははっ……面白すぎる、よね……リンダ」

「何笑ってんだ、リオン」

「デレル、お前。リオンが突然笑いだすのは今に限った事じゃないだろう」

「ああ、まぁ分かってはいても突然くるから突っ込んじまう時もあるだろ??」

「……別に、リンダ面白いなって……」

「そういえばダンスパーティー、やっぱり相手はエイジか??」


 こういうところは三つ子っぽい。考えている事がかぶるのはよくある。


「そうじゃねーの」

「僕は、申し込むよ……邪魔しないでね」

「お前、勇者だな」

「ホント、リオンはリンダがお気に入りなんだな」

「は、じゃないでしょ。は、じゃ。デレルもエヴァンも気に入っているくせに……邪魔、しないでよ」


「あ、エヴァン様、デレル様、リオン様ごきげんよう。お昼終わったんですか??」

「リンダ……運命的。これは今しか……」

「僕もいますけれど……リオン様」

「そこはもう日常、だから……リンダはお昼まだ?? まだなら一緒、に」

「いいんですか、では……ご一緒させていただきます……」

「リンダ義姉さん、嫌ならハッキリ――」

「こら、エイジ!!」

「ふふふっ、本当に面白い……見ていて飽きないね……」

「まぁ、普通は『王子様からのお誘い~』って喜ぶ令嬢ばっかだからな」

「間違ってはいないがそういう言い方はよせ、デレル」


 デレルの言う事は確かに真実だ。リンダはいつも顔に出るから僕等に嘘や無理は通じない。それなのにリンダはいつもいつも……。


「クスクス……」

「リオン様??」

「……可愛いリンダ嬢、今度の学園のダンスパーティーのエスコートに僕を選んでくれませんか??」

「えっ、僕が……」

「約束は……したの??」

「いえ、してはいないですけれど……」

「リオン様、ご冗談を」

「……本気なんですけれど、リンダ嬢……」


 手を差し伸べるとリンダは少し困ったような顔でもじもじしている。僕やエヴァン、デレルの言う事ややる事に対してリンダ本人は『オモチャ』として遊ばれていると思い込んでいる。でもそれを嫌がったりはしなくてちゃんと相手してくれるんだ。そんな優しくて可愛いリンダ。そりゃあ……まぁ……リンダはオモチャとしても優秀なのかもしれないけれど……。


「どうしてミントじゃないのでしょう??」


 ほらまたよく分からない事を言い出した。


「リンダ義姉さん……もしかして皆がイェレンさんを誘うと思っているの?? 僕も??」

「え、ええ当然じゃない」

「こないだの話は何だったんだろう……はぁ」


 あ、エイジに取られそう。


「ねぇ、リンダ嬢……お願い」

「あっ、はい、ではリオン様にお願いしようと思います。よろしくお願いしますわ」


 僕の手を取り頭を下げるリンダに皆だけじゃなく僕もポカンとしてしまった……まさか受け入れられるなんて思ってもいなかったからだ……多分皆そう思っている。エイジはこの世の終わりなのか?? という表情(かお)で呆然としている。当然、婚約者のいない義姉の相手は自分だと思っていたからだろう。今回は僕の勝ちだねエイジ、それにエヴァンもデレルも。


「ふふっ、ヤッタ……ありがとうリンダ」

「いえ、こちらこそお誘いいただき……ありがとうございます」


 自分をオモチャだと信じ込んでいるのにたまに見せるこの表情……薄っすら頬を染めたリンダは誰よりも何よりも美しい。


「クッ……」

「リオンにやられたな」

「本気かよ……クソ……」

「ふふふっ……皆、ごめんね」


 悔しそうにしている三人を見て思う、でもさ、僕が一番頑張っているんだよ、皆大した事していないよね??


「でも私……ダンスパーティーで面白い事なんて出来ないですよ」


 やっぱり。


「……その考えが、もう面白いよね……リンダ」

「え??」

「そのままで、いいって事」

「そう、ですか」


 今度は首を傾げて不思議そうな顔をしている。本当に楽しくて面白い、見ているだけでそう思わせてくれる。オモチャ……か。


「リンダ義姉さん、本当に良いの??」

「エイジ……どういう意味??」

「そうだぞ、もう少し考えた方がいいんじゃないか」

「デレル様??」

「何だったら俺にしてみても――」

「皆、邪魔しないでって、言ったよね??」

「リオン様!! 怒ってらっしゃいますか!? もしかして冗談を本気にしてしまったとかですかっ!?」


 ……皆のせいだ。そしてリンダは全く状況が分かっていない。昔からそうだ、確かに面白いから僕はリンダをずっと見ているけれどそれだけじゃない、本当に愛しているのに全然伝わらない……まぁそれは僕の言動や態度も関係しているかもしれないけれど。反省しないといけない所も……あるのかな。


「リンダに怒っていない……それに冗談なんかじゃないよ」

「そう……ですか??」


 頭の上にはてなマークがたくさん飛んでいるように見える……クスッ、やっぱりリンダは……。

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