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17.鈍感王子の覚醒~エヴァン・オールディス~

 ミント・イェレンは一足先に生徒会室へ行くと言って去っていった。リンダは心配して『一緒に行こうか』と提案していたが図書室へも寄るからと丁寧に断っていた。おそらくこれ以上リンダの手を煩わせたくなかったのだろう……。生徒会の人間であっても平民はやはり嫌われ、嫌がらせを受けるものなのだな……いや、むしろ生徒会に入っている平民だから目立ってしまうのか。第一王子エヴァン・オールディスとして何とかしないといけないな。それにしてもリンダ……。


「ハハッ、アハハハハッ!!」


 なんて凄い奴なんだ。あんな細腕で立ち向かい、助けを呼ばずとも嫌がらせを止めるとは……。俺がたまたま通りがからなかってもリンダは容赦しなかっただろう。むしろ俺が見つけて良かった。そうでなければクラリス・ハカミエスはもっと酷い目に合っていただろう。前からクラリス・ハカミエスは面倒臭かったのですぐにでも学園から追放しても良かったが……あの時、リンダの気持ちを考えてしまった。ミントも心配だが俺はリンダの気持ちを優先したんだ。気も、戦いにおいても、心も、強い。だがその根本は優しさ、すぐに学園を追い出すのは良しとしないだろう。


「エヴァン……」

「おお、リオン。どうした、こんな所で」

「さっきの……見て、た……」

「あー、リンダとミントのやつか??」

「うん……二人を助けようとしたら、エヴァンが来たから大丈夫かなって……」

「リンダの魔法で捕えていたからな」

「ん……リンダ本当に凄い、かっこいいし可愛い」

「あ、ああ……そうだな」

「エヴァンがリンダを見る、目、変わってきた……」


 う、実のところ俺自身も何らかの変化が起きている事に気付いてはいる。でもこの三年近く毎日のように会っていたのだから友人として好くのはおかしな事なのだろうか。


「……分かって、ないね」

「何がだ??」

「それが、恋……だよ」


 こ、こ、恋ーーーっ!? いや、俺が?? リンダを?? そんな事あるはずない。


「そのまま気付かずにいてくれれば……良かった、のに」


 ああ、そうか……あの、リンダを見たり話したりした時に温かい気持ちになるのは俺がリンダを愛しているから、なのか!? 心当たりがありすぎるぞ!!


「あら、エヴァン様にリオン様。ごきげんよう、こんな所で何を??」

「……やった、リンダだ」


 うっ、何だか意識した瞬間……心臓が潰れる!! こんなのをリオンもデレルもエイジも感じていたのか!? 


「エヴァン様、熱でもあるんですか??」

「……大丈夫だよ、リンダ……真っ赤なのは全然病気なんかじゃ……ないんだから」

「そうなんですか??」

「あ、ああ。大丈夫だ。気にするな」

「はあ……分かりましたわ」

「……でも、リンダよりはマシ、かなぁ」

「何がですの??」

「……別に。なんでもない。それより……」

「は、はい」


 リオンがリンダを壁まで追いつめて両手でリンダを閉じ込めた。


「ななな、か、壁ドン……」


 意味の分からない事をブツブツ言うリンダ。それにしても近い、近すぎるぞ。


「どうしたんですの!? リオン様」

「イェレンさんを助けたリンダは……かっこよかったし、いい事だとはわかっているんだけれどさ、あんまり……無茶しないで、欲しい……」

「ひゃっ!! わ、分かりましたから少し離れて下さいぃ」

「うん……分かってくれるなら、いい」


 リオンに頭を撫でられたリンダは真っ赤な顔で呆然としている。俺はリオンに比べて気持ちに気付くのにかなり時間がかかった。何年かけて自覚しているんだ俺は。


「リンダ義姉さんから離れて下さい」

「そうだな、近すぎる」

「……エイジ、デレル……邪魔」

「邪魔ってお前、俺の存在を忘れるなよ」

「あ、忘れてた……」

「本当に忘れてたのかよ!! ったく」


 これからは俺もリオンのようにアピールするべきなのか!? それともエイジのように見守るのか!? というかデレルは何をしているんだ!? 確か前に「負けない」みたいな事言っていたが……何もしてなくないか?? それに……エイジは本当に『見守っている』なのか?? じわじわと何か動いている可能性も……あああ、もう何も分からない。ポンコツ王子だな……俺。


「エヴァン様、さっきから青くなったり赤くなったりどうされたんですか??」


 エイジが真顔で訊いてくる。リンダに関係していると直感的に思ったのだろう。コイツ……俺に牽制を?? 俺、一応王子なんだけど。しかも第一……。


「僕と、リンダの時間……邪魔しないで……」

「だから邪魔ってなんだよさっきから!!」

「そうですよ、リンダ義姉さんはそんな事思っていませんよ」


 いやー、そもそも一緒にいたのは俺なんですけれどー!?


「あのう……私なんかで遊んでないでもっと側にいるべき人がいるのでは??」

「……何、言っているの?? 一緒にいたいのはリンダ、だけ」

「リンダ義姉さん以外に誰がいるの??」

「よく分らん事をまた」

「お前は……本気なのか?? いつもいつも」


 ここまで分かりやすいのに何故リンダは自分を『オモチャ』だと皆が思っていると?? 皆も同じように思っているんだろう、深い溜息を吐いている。

読んで下さりありがとうございます。

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