16.悪役令嬢??登場~私じゃなかったの!?~
入学からしばらく経つけれど……なんて、平和……。私という悪役令嬢がいなくなって、いやいなくなった訳ではないけれど。ただ……やっぱり平民に対する視線は厳しいものだ。気になってずっと観察しているので分かるのよ。私やエイジ、王子達がだいたい一緒にいるから何も出来ないでしょうけれどっ。さぁ今日もミントと生徒会のお仕事に行くわよ~。それにしてもどこに行ったのかしら……。
「きゃあっ!!」
え、何!? ミントの声!?
「あんた、平民のくせに生意気なのよ。エヴァン様にも近付いたりして」
「そんな事は……」
「うるさい!! ちょっと公爵令嬢のリンダ・アッカーに好かれているからって調子に乗って」
「リンダ様はお優しいだけで……」
「はぁ?? 当然でしょう、公爵令嬢が平民なんか本気で相手にする訳ないじゃない。ただ、優しいのとは違うんじゃなくて??」
あれぇ!? なんだかアニメの中の私みたいな事言っているわ。早く行かなくちゃ。
「どういう、意味ですか?? リンダ様はお優しいです」
ミントー!! すぐ行くからねー!!
「あなた、リンダ・アッカーの本性を知らないの??」
「本性……」
「きっと絶望させる為に本性を隠して優しいフリをしているのよ」
「そんな事……あり――――」
「闇よ!!」
「きゃああぁっ!!」
「なんですの!?」
「いやーーーっ」
よし、全員捕らえたわね。ん?? んー?? クラリス・ハカミエス??
「リンダ様!!」
「ミントさん、大丈夫?? 私が来たからには安心して」
「何なんですの!? この檻!?」
「ああ、闇の鳥かごですわ。まあ、捕えているものはそんな可愛いものじゃありませんけれど」
私はこの学園にくるまで血の滲む努力でそれぞれの魔法を別々に使えるようになったのよ。もちろん闇魔法しか使えない事にしてあるけれどね。そして努力した結果個々の魔法の威力も上がっている。
「それよりもあなた……クラリス・ハカミエス様ですわよね??」
「そうですわ。リンダ様、ここから早く出していただけませんか。一緒にその平民に分からせてあげましょう」
「何を??」
「何って……平民のくせにえらそうにしているからですわ」
「ミントさんはえらそうになんかしていませんわ。それよりあなた、クスッ、終わりましたわね」
「何事だコレは……」
「エヴァン様、ごきげんよう」
「クッ……」
「なるほど……」
頭の良いエヴァン様、少し考えれば分かる事ですわ。
「ちょっとおいたが酷い方達を鳥かご……いえ、虫かごに捉えておきましたわっ」
「これは……見事な闇魔法だな」
え、そこ??
「おい、今後このような事はするな。また見つけた時は学園にいられると思うな」
「は、はい……エヴァン様……」
クラリスはすっかり落ち込んで涙をぽろぽろ流している。愛するエヴァンに見られたこと、言われた事が相当効いたんだろう。でも……私は死ぬのにどうして学園追放程度なのっ!? 私そんなに酷い事した!? ……した、したわね。
んあっ!? そうか、やっぱりアニメじゃなくてゲームの世界なんだわ。これはそういう事……クラリス・ハカミエスはエヴァンルートでの悪役、というかライバル?? あくまで最低悪役令嬢はこの私、リンダ・アッカー。だってアニメに……出てこなかったものクラリス……どうして気付かなかったんだろう。じゃあ何?? ライバルがあと三人も出てくるの!? ミントがイジメられるのは止められないの?? アニメの中には私しか出てこなかったから分からない、誰がミントに嫌がらせするのか全く分からないわ。
「あの、リンダ様、ありがとうございます」
可哀想に、涙を流して……でもさすがヒロイン、美しい涙だわ。これは恋に落ちるわね。私はその綺麗な涙をハンカチで拭ってあげた。
「ありがとう、ございます……うっ……あの、エヴァン様もありがとうございます」
「ああ、気にするな。それよりも大丈夫か??」
はっ!! これって、エヴァンルートの邪魔したんじゃ!? いやいや~、大丈夫でしょう。こうやって会えているのだから。ね。
「はい、大丈夫です。リンダ様が助けて下さったので」
「リンダは凄いな。魔法も俺より強いんじゃないか??」
「そんなそんな!! 私なんてエヴァン様の足元にも及びませんわ」
「それはもう嫌味のようになっているぞ」
「ですがエヴァン様は貴重な風属性、ミントさんはさらに貴重な光属性。ほら、私は一番弱い闇ですわ」
「リンダ様はエヴァン様の言う通りとてもお強いです。流石です!!」
「ミントさん」
「どうぞミントとお呼び下さい。リンダ様」
「い、いいの?? ありがとうミント」
金色の瞳を輝かせて私を真っ直ぐ見る……うっ、まぶしっ!! そうよね……こんなに可愛くて眩しくて優しくて貴重な光魔法を使えるヒロインを好きにならない訳がない!! エヴァンも心動かされているはずだわ!! ねぇ、エヴァン!!
「お前は優しいな。たまにとても愛おしくなるのだがなんだろうな、この気持ちは……」
エヴァン様……頭おかしくなったのかしら。




