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12.王子、拗ねる~デレル・オールディス~②

「昨日は……あまりリンダと話せなかったから、早く、会いたい……」

「大切そうにまーたバラ持って来ちゃって。リオンは一生懸命だねぇ」

「俺は、嫌われているのか」

「は!? プッ、お前何言ってんだ?? リンダは人を嫌ったりしないだろう」

「エヴァンもなんか変わったな。アイツが好きなんだろう」

「なっ、そんな事はない!!」

「……エヴァン、やめて」

「アイツにはまだ婚約者はいない。リオンのモノじゃない」


 昨日用事があると追い返された俺達は今日も朝から馬車に乗ってアッカー家へ向かっている。


「そんなに不機嫌なら着いて来るなよ」

「……僕もそう、思う」

「ふんっ。放っておけ」


 第二王子である俺が贈り物がないからという理由だけでどうしてこんなに不快になるんだ?? 自分でも何故こんなに腹を立てているのか分からない。ただエヴァンもリオンも毎日、毎日毎日リンダからの贈り物を身に着けているので嫌でも自分には何もないと考えてしまう。認めたくはないけれど俺は十一歳だ、たぶんまだまだ子どものような気持ちが溢れてしまう。早く大人になりたい、こんな面倒な気持ちになんて……大人ならならないんじゃないかって思うんだ。リオンは凄い、ずっとスルーされて、本気だとも伝わっていないのに毎日バラを贈って愛を伝えている。初めはドギマギしていたリンダも今は「ありがとうございまーす」って感じで軽い。王子の気まぐれだとでも思っているのだろう。


「……デレル、着いた……」

「あ、ああ。悪い、考え事をしていた」

「しっかりしてよ~デレルく~ん」

「エヴァン、殴るぞ」

「怖いなぁ、悪かったって」

「……早く、リンダに会いたいんだから……」

「はいはい」


 エヴァンが面倒くさそうに答える。


「あら、いらっしゃいませ。エヴァン様、デレル様、リオン様」

「お、今日はリンダがお出迎えをしてくれるのか」

「エヴァン様ったら、偶然ですよ」

「リンダ……これ」

「あ、バラ、今日も綺麗ですね。ありがとうございます」


 やっぱり軽い。それでも頬を染めて嬉しそうに微笑むんだな、リオンは。俺には分からない気持ちだ。知らない気持ちだ。


「あ、王子様方、いらっしゃいませ」

「おう、エイジ」

「王子様って暇なんですか??」


 エイジ……日に日に毒舌になっていくな。エイジもリオンと同じくリンダの事が大好きだからな。頭もいいから所々で会話の中に毒針を仕込んでくる。


「暇ってお前……何か変わってきたな。言うようになった」


 ま、皆が思っている事か。エイジとしてはリンダとの二人の時間が減ってイライラしているのだろう。


「あ、デレル様!!」

「何だ、リンダ」


 また不機嫌に答えてしまった。少し後悔する。


「コレ、どうぞ」

「え……」

「プレゼントです。もちろん言われたから無理矢理買ってきたわけじゃないですよ?? ちゃんとデレル様の事を考えて……喜んでもらえると嬉しいなと」


 包みを受け取って後悔が大きくなった。まさか貰えるなんて……。


「あ、ありがとうリンダ。開けていいか??」

「もちろん」


 開けると俺の瞳のような石の付いた腕飾り……かっこいい!!


「成長すると思うので少し大きめに作りました」

「作った!? リンダが!?」

「ええ、とっても楽しかったですよ……あの、手作りでは嫌でしたでしょうか??」

「そんな訳ない。ずっと大切にする」

「今まで見た事ない笑顔だな、デレル」

「……ホント、それー」

「うるさいぞ!! ふんっ、羨ましいんだろう??」

「確かに」

「……でも僕もリンダに貰ったもの、気に入っているから……」

「やっと分かった。俺はリオンには負けない。当然エイジにもだ」

「デレル、お前」

「エヴァンは邪魔するなよ」

「リンダ義姉さんは誰にも渡さない……」

「……リンダは、僕、の」

「何ですかーどうせオモチャ感覚で私を取り合っているんでしょーやめてくださーい。おもしろくないですよー私はー」


 鈍感、だな。俺もたいがいだったが。分かってはいたがこのお姫様を婚約者にするのは大変そうだ。


「この腕飾り、街で出会った子に教えてもらったんです」

「男か」

「男なのかっ!?」

「……男??」

「リンダ義姉さん、それ男??」

「な、何!? 男の子だけれど……それが何か??」


 なるほど、これが嫉妬。俺の為とはいえ男と二人でこんな細かい作業近付かないと教えられないだろう……そしてもしかしたらその男はリンダに恋を……何て事だ。公爵令嬢がその辺の男と婚約するなんて事はないだろうが警戒しておかないと。


「リンダ、今度街へいったらその男を紹介してくれないか」

「僕も……気になる」

「是非お会いしたいです!!」

「お前等、まぁ俺も会ってみたいが」

「そうなのですね!! では次会ったらご紹介しますね」


 リンダは全く意味が分かっていないので嬉しそうに、まるで友人を紹介するような感じなのだろう。いや、リンダにとってはすでに友人……だな。リンダの友人に失礼をしたら例え王子の俺達も許されないだろう。いや、国的には問題なくてもリンダに確実に嫌われる。リンダは基本的には人を嫌わないだろう、ただ理由があると……それくらいは分かる。

 慎重に……いかないとな。

 

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