水の妖精と別荘
クルースが旅の仲間に加わりました。彼女の美しく瞑らな瞳はとても美しく見るものを圧倒しています。カウリスが馬車の御者を行っています。馬車でネーデルラントに向かっています。ネーデルラントに向かう道中に馬車は馬に水を飲ませる為の、馬牧場に辿り着きました。カウリスは、バケツに水を汲み、持って来ると馬達に言います。
「さあ、馬達、給水の時間だよ。お水をお飲みなさい。」
馬達は、水を飲み始めました。美味しそうに冷たい水を舌で啜る様子を見ながらルドルフは言います。
「さあお前達、水を飲みなさい。ここの水は特別に美味しいのだから。
ルドルフ様、あのクルースとかいう姫を本当に旅にご同行させるつもりですか?彼女は隣国の姫ですし何か撮られでもしたら、スキャンダルにでもなったらどうされるおつもりで?」
「彼女は私を救ってくれた。それに彼女と一緒にいると何だか居心地が良いのだよ。私はそうやって感じる。これが運命なのかもね。」
カウリスが馬車を離れると、ルドルフとクルースの2人だけの旅が始まります。
ネーデルラントは雪が少なく、冬ですが涼しい風が吹いている街です。海から吹く風はネーデルラントに置かれている沢山の風車を回しています。ルドルフはクルースに尋ねました。
「クルース、君はどうしてあの時僕を見つけてくれたんだい?あのホテルで。」
「ルドルフ様が、オペラ座の公演を熱心に見ている所を見かけたのです。私もクリスティーナが好きだったから、彼女の追っかけをしてて、それであのホテルに泊まっている所を見かけたんですよ。そしたらスノールーツの王子様とクリスティーナが一緒にいるのを見かけて、でも、ルドルフ様を殺そうとするなんてクリスティーナは許せません。」
「まあでも僕は今生きている。死んだ訳ではないから。
彼女の恋愛観に何も知らずに首を突っ込んでしまった僕の罪なのであろう。それより君は旅をする理由は?」
「お父様と喧嘩をしてしまって、お城を飛び出してしまったのです。私はスノールーツの隣国、ウィングースの姫として、息苦しくなってしまったのです。私は王家の娘だから、色々とプレッシャーが強くて。他の国民と同じように私も、景色を楽しみたいと思って。」
クルースはそう言うと息をふーっと外に吹きかけました。すると、周りに咲いている草が一斉にお花へと変わっていったのです。チューリップ、ハイビスカス、ラベンダー、ネモフィラ、コスモスなど様々な花の蕾へと変わっていくのでした。そして蕾は開き花びらの弁が開き始めたのです。
クルースはカウリスに言います。
「カウリスさん、ここで止まってくださる。ルドルフ様も是非聴いて欲しいの。私の魔法の力はね、植物に音楽を奏でさせる事なんです。」
「分かりました。」
そう言うと、クルースはお花畑へと歩いていくのでした。するとハイビスカスの花びらが開くと、ハイビスカスの花びらが話し始めたのです。
「こんにちは、お姫様。どうされたのですか?旅行ですか?」
「ハイビスカスの妖精さん、いつものお歌を歌って下さるかしら、花と蝶の紡ぐ風っていう歌。私が好きなの。
他のお花の妖精さん達も協力して欲しいのよ。ルドルフ様も良かったら聴いて下さいますか?」
クルースがメロディを歌い始めると、花びらの妖精達は歌い始めました。アゲハ蝶やモンシロ蝶、ミツバチ達が現れると花びらの妖精達と一緒に合唱を奏でたのです。その美しい歌を聴くとルドルフは感激しました。耳の奥まで歌声は響き渡りました。
「なんて素敵な曲なんだ。これを魔法の力で花へと歌わせるなんて素晴らしい魔法だよ。」
ルドルフは、ネモフィラの妖精に近づきました。するとネモフィラの妖精がルドルフに話しかけました。
「あら素敵なかっこいいお方ですわね。貴方もお歌が上手なのですか?」
「僕は、そこまで歌が上手なわけではないんだ。でも、こんなにお歌が上手いお花は初めて見たよ。ネモフィラは素敵な森の妖精だよ。ここの、ネーデルランドの風にぴったりだよ。」
「私がご案内して差し上げます!神秘で素敵な湖、ネルディアラ湖まで、ご案内致します!クルース様もご一緒に!ネモフィラの妖精さん、ネモフィラザライドを出して下さるかしら?」
するとネモフィラの妖精が花笛を吹き始めました。すると丘の上の方からライトが見えました。どうやら乗り物らしき影が見えます。
「なんだあれは、お花の形をした乗り物か?」
ネモフィラの形をした乗り物がやってきたのです。ネモフィラザライドです。するとネモフィラの妖精はネモフィラザライドにルドルフを乗せました。クルースも一緒に乗るとネモフィラザライドは移動しました。ネモフィラザライドに乗ってクルースとルドルフはアトラクションのように移動しました。ネモフィラザライドは宙に浮かぶと一気に加速して湖に辿り着きました。神秘的な湖に辿り着くと、クルースが言いました。
「ルドルフ様、ネモフィラザライドは如何ですか?ネモフィラの妖精が作り出す神秘の乗り物なのです。ここからネーデルランド最大の湖であるネルディアラ湖までご案内します。ルドルフ様はネルディアラ湖はお好きですか?」
「僕も好きなんだよ。このネルディアラ湖の神秘的な風景は、心が現れる。」
湖の水が一斉に湧き上がると、水の妖精が現れました。水の妖精サスベルトです。ルドルフとクルースの前に現れるとサスベルトは挨拶をしました。サスベルトは鯉の頭をしています。
「初めまして、私は水の妖精サスベルトと申します。クルース様のお友達の方ですか?」
「サスベルトお久しぶりね。実は、ルドルフ様っていうスノールーツの王子様なの。サスベルトお願いがあるの、神秘の島と、別荘まで案内して!客人だから。」
するとサスベルトは魔法を掛けました。すると何もなかった湖の中に湿原が出現しました。そしてなんと湖の中に島が現れたではありませんか。
「ご案内致します!さあ船にお乗り下さい!」
「この船に乗るのかい?船まで出せるのか?
凄い魔法だなあ。」
そして魔法の力で派手な船が現れました。その船にはサスベルトが乗っています。甲板が開くとクルースとルドルフはその船に乗りました。サスベルトは手を回しました。すると船は蒸気を上げて出発します。エンジンが一気に付くと、湖の水が水飛沫をあげていきます。ルドルフはふと湖畔にある屋敷が気になりました。誰も住んでいない廃墟と思われる屋敷です。
「クルース、君はあの屋敷の事は何か知っているかい?廃墟のようなんだが、気になってしまってね。」
「あー、あれはガーラ屋敷ですよ。随分前に動物が住んでいたみたいだけど、今は誰も住んでいないです。」
古びたお屋敷ですが、立派な作りで屋敷は3階建てでしょうか。奥の窓ガラスからは寝室が見えますが。誰も住んでいません。そんな屋敷が気になるルドルフに後ろからクルースは抱きつきました。クルースはルドルフに言います。
「どうしたんだよ。クルース。」
「ルドルフ様とようやく2人きりになれたんですもの。今日は、私がサスベルトに頼んだ別荘にご案内いたしますわ。」
そうして船は湖に浮かぶ島へと辿り着きました船を降りると目の前に別荘がありました。クルースはルドルフと別荘の中に案内します。クルースに連れられてルドルフは別荘に入りました。




