クリスティーナと魔法のキス
ダイスーンは芸術の都ともいうべき都市。美術館や博物館があり芸術を愛する街の動物達が華やかに歩いています。
ダイスーンにある芸術ホールではスノールーツの王も招待される事もあり、華やかなクラシックが年に一度上映される事もあるのです。
ルドルフはダイスーンにあるベルディオという喫茶店に来ていました。ベルディオは貴族や王家が好んで来ており、優雅なティータイムを過ごすのです。オコジョのルドルフとカウリスが来店すると渋い声を出すマスターが声を掛けます。
「ルドルフ様、いらっしゃいませ。」
「サールスいつものキリマンジャロを出してくれ。」
「かしこまりました。」
命令口調でルドルフがサールスという名のマスターへ言うとサールスはコーヒーの豆を挽き始めました。そしてルドルフの前にウィンナーコーヒーがやって来ました。
「お待たせしました。ウィンナーコーヒーです。」
コーヒーにミルクを入れると、ルドルフは飲み始めました。
「うーん、美味しい。公演時間までもう少しか。食後のアフターヌーンティーにはちょうど良いな。」
「ルドルフ様、ドン・ジョバンニは歴史ある名目なのです。ルドルフ様が愛好しているモーツァルトの歴史あるオペラの演目ですよ。」
コーヒーを飲み喫茶店を出るとルドルフとカウリスはオペラハウスに向かいました。
ダイスーンにあるオペラハウス。そのオペラハウスでは連日に渡り公演を行っていました。オペラハウスの特別招待席に案内されたルドルフ。オペラを愛好しているルドルフにとっては究極の趣味です。カーテンが下がると、オペラが始まりました。主役としてアリアを歌うのが美しきクリスティーナです。オーケストラの伴奏に合わせて歌を歌うクリスティーナの姿を見たルドルフの顔が赤くなりました。
「なんて美しい!こんなにも美しいネコの女性がこの世にいるのだろうか?私は今恋をしているのか?」
カーテンコールが終わるとクリスティーナはロビーに現れて沢山のお客様からお花を頂くのでした。そんな中ルドルフはクリスティーナの方へと近づいて行きます。ルドルフの存在に気が付いたクリスティーナはびっくりします。そしてルドルフの方へと近づいて行きます。顔を赤めていました。
「ルドルフ様、本当に来てくださったのですね!」
「クリスティーナ、君の歌声はとても素敵であったよ。
どうだい?今夜は僕と一緒に一杯如何ですか?」
「まあ、是非!また後で、場所はどこですか?」
「ダイスーンホテルのバーで!」
美しいクラシック音楽がかかり、ダイスーンの高級ホテルのダイニングバーでルドルフはクリスティーナの到着を待っていました。その中に美しいドレスを着てクリスティーナは現れたのです。ドレスを見たルドルフは言います。
「クリスティーナ、来てくださったのだね。君は本当に美しい、どうぞこちらへ!」
「失礼致します。」
クリスティーナは高級ワインを飲んでルドルフと乾杯してそれから色々と2人で語り合いました。そして、ルドルフは思いを告げたのです。
「クリスティーナ、私は君が好きだ!」
「王子様、ありがとうございます。でも、その答えはまだ出せません。私の部屋に来て頂けますか?ホテルの最上階に。」
クリスティーナに案内されるとルドルフとクリスティーナは最上階のホテルへと向かいました。そこにあったのはまるで空中の楽園だったのです。美しい夜景をバックにクリスティーナはルドルフを誘います。そしてルドルフとクリスティーナはキスを始めます。だが、キスをした瞬間、ルドルフは突然苦しみ出しました。
「ぐわぁぁぁ!!」
ルドルフの神経に一気に毒が回ると、ルドルフはその場に倒れました。そしてクリスティーナはいうのでした。
「魔法のキスなんてこの世に存在しないのよ。王子様。あなた氷の力を使えるんですってね。でも色々な魔法を使える王子でも私の心を魔法で奪えるとでも?さあ苦しみなさい.私はクリスティーナではなく怪人を愛する悪女なのだから。」
ルドルフは意識はぼんやりとしてきたのです。同時に段々と苦しくなってきました。そして、クリスティーナは身を隠すとその場から脱走しようとしました。扉を開けて部屋から出るとルドルフは声を掛けました。
「待て、毒で私を殺すだと、確かに私は悪かった。だが、あなたが私を殺そうとした事は紛れもない罪だ。」
そのままルドルフは意識を失いました。死を意識してその部屋で消えていくのだと思ったのです。暫くして、ルドルフが目を覚ますとルドルフの前に何者かが現れました。ルドルフは病室にいました。ダイスーンの病院です。カウリスがルドルフに声を掛けました。カウリスは喜びで一杯です。
「ルドルフ様、目が覚めたのですね。良かった。もう大丈夫です。ホテルのスタッフが最上階のホテルで倒れていた所を発見したのです。毒がルドルフ様の身体を回っていたのですよ。」
「カウリス、私は、あの女にやられた。クリスティーナは私を殺そうとした。あの女は罪を犯した。私の命を奪おうとするものは絶対に許さない。ううう、苦しい。簡単に好きだと言うから私は騙されたのか。」
「ルドルフ様、ルドルフ様は美しい見た目の女に騙されたのですよ。あの女は、法で裁く以外、手はないでしょう。しかしルドルフ様を発見したのは、このクルース様ですよ。彼女こそ、ルドルフ様のお相手に相応しいと思うのに。」
そして病室の扉が開くとそこには見るからに美しい姫がいたのです。イイズナの姫でした。ルドルフはイイズナの姫に質問しました。
「あなたが私を助けてくれたのですね。あなたの名前は?」
「私はクルース。隣国のファンダルフィアの王女です。お部屋の目の前で倒れていたから、王子様を殺そうとするなんてその女性には致し難い罪にあって頂くしかないでしょう。ファンダルフィアの警察に命令して、逮捕と致しましょう。」
ファンダルフィアの警察が公演終わりのクリスティーナを直撃しました。警察手帳を出すと、クリスティーナは怒りを露わにします。
「何事ですか?私はオペラの公演で忙しいのですが?」
「警察のものだ。クリスティーナ、ルドルフ王子殺害未遂の容疑で逮捕する!お前の作った毒で殺そうとしたみたいだが、未遂で終わったしまったな。証拠は上がっている。」
「証拠ですって、何の証拠が!」
するとクリスティーナの前に現れたのはクルースです。クルースはクリスティーナの前に近寄るとニコリと笑いました。
「ルドルフ様は助かりましてよ。彼本人の証言がありましたのよ。それに私には見えるんですよ。あなたが触った指紋と毒の一部がね。」
クリスティーナは、言い逃れが出来ず外へ逃げ出そうとしました。雪が降る中、しかしクリスティーナの腕に氷が付くのです。するとクリスティーナは身動きが取れなくなりました。氷を放ったのはルドルフでした。ルドルフは氷の剣をクリスティーナへ突きつけました。
「私を殺そうとした罰は重いぞ。そなたは言ったな怪物になりたいと、だが娘を前にしてそんな事が言えるのか?」
「ママ、どうしてなの?どうして王子様を殺そうとしたの?」
クリスティーナの前に現れたミルクはクリスティーナを疑わしい目で見つめていました。5歳の女の子にとっては母親の逮捕というのは残酷な現実でした。
「ママの馬鹿、王子様は私の命を助けてくれたんだよ。その恩人を殺そうとするなんて、ママにとってパパ以外の男は駄目なの?パパ以外愛せないの?愛せないからって命を奪おうとするなんて、そんなのママじゃない。」
「ミルク、私は、嫌なの、もう恋はしたくないのよ。だってルードヴィッヒ以外は、もう。」




