氷の馬車と雪の鳥
スライスガーデンを出発して3日が経ちました。雪がしとしと降る中、ルドルフは馬に乗りダイスーンへの峠を越えています。雪が積もると足場も滑りやすくなり馬も転んでしまうのではないかと心配です。森の中には何人かの動物の子供が雪だるまを作って遊んでいます。
「カウリス、良い雪の積もり方をしている。ここは少し私の力を使いダイスーンの広場を盛り上げて行きたいと思うのだが、どうだろうか?私の魔法で皆んなの気持ちが明るくなれば良いのだが。」
「良いですね。魔法を使ってあの子供達にプレゼントを差し上げては如何でしょうか?喜びますよ。」
カウリスは言います。ルドルフは馬から降りると、子供達が遊んでいる広場へと向かいました。幼稚園児くらいのネコの女の子とレッサーパンダの女の子が一緒に雪だるまを作っていましたがネコの女の子がルドルフに気が付きました。女の子の年齢は5歳くらいの幼稚園生でしょうか。
「もしかして王子様?王子様がどうしてここにいるの?」
「王子様だぁ!かっこいい!」
「こんにちは、僕は王子だけど旅が好きで旅をしているんだ。君達はこの地域の子供達かい?」
するとネコの女の子がルドルフの質問に元気に答えます。
「うんそうだよ。私はミルク!ダイスーンに住んでいるんだけど、今日は雪が凄くいっぱい降ってるから雪山に遊びに来たの!雪山から幼稚園に連れて行って。」
「私はルーナ!ミルクと一緒にいつも雪山で遊んでいるの。」
「とても暖かい場所なの。」
「幼稚園まで送って欲しいのかい?
君達、ちょっと待っていてね。」
そう言うとルドルフは手袋を出すと魔法を掛けました。すると雪が勢いよく舞って氷の塊へと変化して行くのです。その氷の塊は氷の道路へと変化して行きます。ルドルフの魔法の力で氷で作られた道路に氷の透明な馬車が出来上がったではありませんか。その光景を見たミルクとルーナは目を輝かせて感動しました。
「うわぁぁ、ええ?凄いね!
王子様って魔法使いなんだね!え?これって氷の馬車なんだ?」
「どうぞ、お客様達、どこに行きたいか教えて頂ければ、私が連れて行って差し上げましょう!」
「ルドルフ様は夢を叶えてくれる氷の魔法使いですから。心は暖かく綺麗なのですよ。」
カウリスがルドルフを褒めるように言います。
ミルクとルーナがルドルフに向かって目を輝かせて言うのでした。
「私、乗りたい!王子様、連れて行って!
幼稚園まで!」
「私も連れて行って」
ミルクとルーナにそう言うと、ルドルフは手を差し出しました。すると氷の階段がルドルフの魔法によって出来上がると氷の馬車にミルクとルーナが乗ると氷の道路に向けて、馬車が出発しました。
「さあ、いざ参らん!!!」
そうすると氷の道路を氷の馬達が一気に走って行くと凄まじい勢いで吹雪が舞うのです。寒い風がミルクとルーナの顔に一気に拭きかかるとその風を受けたミルクが言います。
「ダイスーンに住んでいると吹雪がとっても気持ち良いんだけど、それを超える風だなあ!!!」
すると目の前に氷の巨大な坂道が現れたのです。ルドルフが魔法を掛けると、その坂道に氷の花が一斉に咲き誇って、氷の花びらが舞ったのです。そしてその坂道を猛スピードで馬車は駆け抜けて行きました。ルドルフが魔法をかけるとその魔法の力で、ダイヤモンドダストが一気に降り始めました。
そしてダイヤモンドダストは一気に集まると氷の鳥が現れて空を飛びました。氷の鳥は氷の馬車の上に乗ると喋り出しました。
「ようこそ氷の馬車へ!私は氷のスズメ、ホークスです。王子様、私を再び作って下さったのですね。」
ミルクとルーナは感動して言います。
「うわぁ、王子様、すごい!魔法でお鳥さんを作ったの?
「ホークス、君の魔法を見せてあげてくれ。」
するとホークスと呼ばれた氷のスズメは、鳴き声をあげます。すると鳴き声を上げるとアイスを作ったのです。魔法の力でストロベリーシャーベットのアイスがミルクとルーナの前に現れました。
「うわぁ、王子様、すごい!アイスを食べて良いの?
本当に魔法使いなんだね。じゃあもう一つお願いをして良い?」
「雪だるまの妖精ね。良いよ。」
そう言うと雪だるまの妖精が作られました。その雪だるまの妖精はミルクとルーナの前に現れるとお辞儀をしました。
そして雪だるまの妖精は、ミルクの方に寄ってきたのです。
「うわぁ、妖精さん、可愛いね。」
その時でした。突然、前に狼の山賊が現れたのです。山賊は
行手を阻むように馬車へ近づいて来ました。
「ふふふ、うまそうな、猫と、レッサーパンダの獲物め。
食わせろ!それに金をよこせ!」
狼は、馬車へと襲いっかかってきたのです。だがルドルフの魔法によって一瞬にして氷漬けにされてしまったのです。
「邪魔をするな、子供達を幼稚園まで連れていくのだ。」
氷漬けにされてしまった狼は、そのまま粉々に砕け散ってしまいました。
「王子様、あの狼を一瞬で。強いね。」
「狼、この雪山によく出るだもん、怖いよ。」
そして、ルドルフは氷の馬車にミルクとルーナ、を乗せるとカウリスが氷の馬に鞭を叩くと、氷の馬車はダイスーンに向けて走り出すのでした。ダイスーンの幼稚園に着きました。
幼稚園に吹雪が吹くと、幼稚園の先生のトナカイのデルフィーネ先生はびっくりしました。
「ミルクちゃん、ルーナちゃん!どうしたの?
これは氷の馬車?それに王子様のルドルフ様?」
「先生、王子様は魔法使いなんだよ!」
ミルクがそう言うと、デルフィーネ先生は感激しました。
「王子様、バイバイ」
ミルクとルーナは幼稚園の教室の中に入って行きました。
ルドルフはダイスーンにあるレストランで食事をしていました。このレストランで、ステーキを食べていたのです。カウリスはルドルフに注意しました。
「ルドルフ様、ナイフの持ち方が違いますよ。こうです。しっかりと持たないと。」
「カウリスは、うるさいなあ、たまたま持ち方がおかしくなってしまっただけだよ。」
「あ、王子様だ。また会ったね。」
「君はミルクちゃん。」
ミルクとレストランで偶然会いました。ミルクの横には母親と思われる美しいネコの女性でした。ルドルフはその女性に見覚えがありました。
「もしかして王子様ですか?
あのミルクを助けてくれたんですよね。
私はオペラ歌手でミルクの母親のクリスティーナです。娘を助けてくれたお礼ですが、今度ダイスーンで行われる公演なのですが、是非、見に来て下さい。」
「クリスティーナ、あの奇跡の歌声を持つと言う伝説の歌姫なのですか?公演日を教えてください。私にもオペラを見せて下さい。」
そして次の日、ルドルフは芸術が立ち並ぶ街、ダイスーンへと向かいました。




