スライスガーデン
王子であるルドルフは旅していました。ルドルフは旅行が好きで、自分が住んでいる都市以外の様々な街を巡りそこでの動物達の出会いを楽しみにしているのです。最初の訪れる街はスライスガーデン。雪の国の5つの街の中でも特に牛や羊の酪農が盛んな街であり涼しい風が吹く田舎街です。ルドルフは馬に乗っていましたが立ち止まりました。
「はあ、なんて涼しい街なんだ。それにしても、スライスガーデンの景色がこんなにも綺麗だなんて。」
「ルドルフ様、このスライスガーデンはアイスクリームやチーズなどの乳製品がとても有名な街なんですよ。そして羊飼い達が沢山の羊を飼い慣らしています。私も是非美味しいチーズが食べたいものです。」
「カウリス、僕もだよ。知り合いの羊飼いがここにいるんだが、今日はその羊飼いに会いに行こうと思っている。しかし彼も実は悩みを抱えているそうなんだ。」
カウリスはテンでありルドルフの家の召使いとして住んでいました。赤髪の短髪のテンでありるルドルフより10歳以上も歳が離れている事からルドルフは大人な雰囲気を感じていました。ルドルフが小さい時は王に変わりルドルフの面倒を見ていたのです。カウリスは言いました。
「悪徳羊攫いの事ですか?スライスガーデンでも最近有名ですね。羊を攫い羊毛や羊乳、羊肉を勝手に売り捌いている奴らがいるそうではないかと。しかも相当高額な値段ですよ。」
「ならばその悪徳羊攫いを懲らしめに行くしかないな。カウリス。君はその羊飼いが住んでいる牧場の場所を知っているかい?案内しておくれ。」
スライスガーデンの牧場に悪徳羊さらいのルーデウスが現れました。ルーデウスは太った体系をした豚です。
「おい、ユーデリー!今日も貰って行くぜ!その羊をよこせ!逆らったらどうなるかわかっているだろうな。」
「ルーデウス。もう良い加減にしてくれ。こっちだって赤字になってしまう。この羊は羊毛目的に放牧している羊じゃないんだ。もう、後10頭しかいない。」
「うるせえんだよ。弱虫野郎が!!」
ルーデウスは鞭を使うとユーデリーの前に紐が現れたのです。その紐を何本も使用するとユーデリーを縛り付けました。全身を縛り付けられたユーデリーは身動きが取れなくなりました。ルーデウスは羊達を次々と攫って行くと嫌味たらしく笑い尽くしました。
「あはははは、お前の命だけは助けてやるからな!!悔しかったら取り返してみやがれ!これで金がまた手に入るぜ!儲かるぜ!」
ユーデリーはこのように繰り返しで被害にあっていたのです。連れ去られた羊は殺されてしまい肉としてルーデウスに食べられてしまいました。ユーデリーはルーデウスに縛られた紐を引きちぎると外へ出ました。飼っていた羊がいない。その現実に耐えられません。ユーデリーは散らかった家を片付けました。家の方を見ると何やら1匹の羊が戻って来ています。あれはきっと逃げ遅れた羊でしょうか。
「メェェ!!」
「デールス!お前だけは無事だったのか?」
ユーデリーはデールスを抱きしめました。デールスはユーデリーの頭の方に顔を近づけました。そんな中こんこんと扉を叩く音が聞こえて来ました。ユーデリーは、小屋の扉を開くとそこにいたのはルドルフです。
「あなたはルドルフ王子様ではありませんか。」
「悪徳羊さらいに羊を攫われてしまった羊飼いというのはそなたか?」
「はい、どうぞ中へ。申し訳ございません。家が羊攫いに荒らされてしまいまして。奴の名はルーデウスです。」
「どうぞこちらをスライスガーデン産のチーズケーキで御座います。スライスガーデンの一流チーズメーカーが製造した洋菓子になっています。スライスガーデンは美しい街です。」
「ありがとう。頂こう。」
ルドルフはユーデリーが提供したチーズケーキを口にしました。なんと美味しいのでしょうか。他の地方のチーズケーキとは異なる独特の甘み。ルドルフは言います。
「これは特別に美味しいチーズケーキだ。そなたは客人の差し入れに素晴らしいものを提供して下さっている。その羊攫いについてもっと知らせてくれ。」
「酷い奴です。
豚の癖に魔法を使用して鞭を操り私を縛り付けました。その間に羊を攫っていって行きました。放牧している羊がもう何百頭も奴に攫われてしまうのです。私だけではありません。他の牧場も奴にやられました。」
「そうか、分かった。私が奴を倒して差し上げよう。連れ去られた羊も必ず取り返す。」
そうルドルフが言うと、ルドルフはユーデリーの家から出るとルーデウスがいる羊小屋へと向かうのでした。




