番外編 その後の話 7
秋になる頃、私は男の子を出産した。私によく似た元気な赤ちゃんだ。
家中が喜びにあふれた。
乳母は雇ったが元日本人としてはなるべく子育てに関わりたい。その思いをジェイドも分かってくれて、なるべく日中は子どもの側で過ごしている。日に日に成長していく我が子を見て、幸せを感じている。
冬の始まりを迎えるある日やっと甜菜砂糖が完成した。この甜菜砂糖と砂糖を使ったお菓子を妾妃様にそっとお届けした。妾妃様は皇妃様と一緒に食されたようで、表向きには皇妃様からお礼を頂いた。
噂が加熱していく。
そうして春を迎える頃、オランジェット家とノーチェ子爵家で共同開発した甜菜を使った砂糖菓子が販売された。噂を聞いていた人たちが殺到した。
たくさん作ったけど、足りないかも。生産体制を強化することになりそう。
オランジェット家と同じようにノーチェ子爵家の名前も広まっていく。
ルナリアの名前も広まっていくことだろう。そして、彼女の生い立ちも。
隠す必要はないが、そのせいでノーチェ子爵家を侮った縁談も届くことだろう。
きっと、苦労するだろうな。
そう、思っていた。
何より、甘い物は正義だから。この流れはなかなかとまらないだろうな。
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もちろん甜菜糖を使った新作はルナリアやソーニャには個別で寮に送っておいた。楽しんでくれると良いけどね。
お裾分けと二人の性格のお陰で、やっと落ち着いた学園では大きな問題は起こってないみたい。
そうして、次の春。私の第二子妊娠が分かる頃、ノーチェ子爵家から縁談が届いた。先触れを出したうえで子爵が直々に持参されたその行為にルナリアの本気が伝わってきた。
そうきたか。
いや、もしかしたらとは思っていたけどね。
お父様と嫡女の私、そしてお兄様でお話を受けた。お兄様だけが驚いている。
後日、お兄様とルナリアの顔合わせを行った。
ああ、彼女は本気だったんだ。
お兄様のことがずっと好きだったんだ。
あの、真っ直ぐな眼差し。
きっとこの話は上手くいくだろう。
良かった。
お兄様も幸せそうに笑っている。
ルナリアも本当に嬉しそうね。
少し時間はかかったけど、お兄様。
お兄様も幸せになりそう。
そう思って、ちょっと泣いてしまった。
その年の秋私が娘を出産した。
息子に娘。
想像以上に賑やかな毎日を送っている。
乳母やジェイド、両親にも支えられ忙しくも楽しい毎日だ。
お祖父様とお兄様も領地からもお祝いに来てくれている。年を取ったからと少しだけ元気のなかったお祖父様が、お兄様の婚約と私の二人の孫のパワーですっかり元に戻ってきたかもしれない。
良かった。
そうして、ルナリアが学園を卒業した。
ルナリアが希望した通り、卒業後の穏やかな季節に二人はノーチェ子爵領で結婚式を挙げた。
その日のルナリアは、女神のように美しかった。
それを支えるお兄様も、いつもの3割増でカッコよかった。
明るい日差しが二人を照らしている。
これからの先行きを祝福しているかのように。
お兄様。
お兄様の勘違いによる失敗によって大変でした。
これまで、たくさん苦労してきました。
それも、もう終わりで良いですよね。
これからは、幸せになりましょう。
笑顔溢れる暮らしをしましょう。
光溢れる二人を見ながら、私は涙を堪えきれなかった。
これからの二人が幸せでありますように。
そう、女神様に祈りを捧げた。
同じ、アスターテ皇国物語の
「私の初恋の貴方様へ、届きますように」
の、裏話になります。
この話で完結となります。
これまでお読みいただきありがとうございました。




