閑話 妾妃マリン
妾妃とはいえ、自分が皇妃様の侍女も兼任することは譲れない。もちろん、娘は可愛い。
可愛いけれども、これだけは辞めるつもりはない。
皇女でもあるマリアーナは私だけでなく、皇妃様からも愛されて育った。
申し分ない娘ではある。
だが、何となく前世の記憶があるマリアーナは自分の容姿に危機感を持った。
それが、鬘と認識阻害込みの眼鏡着用である。
それは、親である私の目から見てもやりすぎで別人誕生だった。
なんてこと。
しかも、この容姿になってから結んだ婚約者との仲も良くないという。
もちろん、約束を守らない相手が悪い。
でも、マリアーナに悪いところがないとも言えない。
そこからの、婚約破棄騒動。
相手のフリードには腹がたった。
だが、前世の物語のようにこんなことで処刑なんて考えられない。
これには、マリアーナも同じ考えだ。
結局、後継者変更とフリードの領地での再教育で話はまとまった。
これからオランジェット家は大変になる。
他人事ではあるが、同情した。
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それから5年近く。
マリアーナにはいろいろあった。
(それはまたの機会に)
それが落ち着い頃、妙に美味しいものが地方から流行ってきた。
柔らかいふわふわなパン。
果物を混ぜ込んだ、優しい甘み。
これ、絶対美味しいやつだ。
皇妃様にも協力してもらって、出どころを探しだした。
それがまさかの、オランジェット家なんて。
しかも後継者変更で嫡女となった
セシカ゠オランジェット
フリードの妹
その
彼女が考え出したという。
興味を持って見守った。
それからも、次々に美味しいものがオランジェット家から売り出された。
でも、これって
まさか 前世の?
確信は持てないなぁ。
一度、会ってみたい。
そう思って
これまでのことを皇妃様に相談し
小さなお茶会を開くことになった。
さて
どんなことになるんだろう。
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