第九十話
武装を解いただけと言ったその服装から、彼等が志希達の後に来た冒険者であると直ぐに分かった。
同時に、志希は驚きに目を丸くする。
「バランさん!?」
志希の声に、食堂内を見回していた冒険者の一人が顔を向ける。
壮年で、がっしりとした体躯の男性。志希がフェイリアスで街中の依頼を受けた時に知り合った、銀位の試験を受けていた男性だ。
「ああ、久しぶりだな。そうか、先に来ていたパーティの人間だったのか」
若干厳めしい顔が親しげな表情を浮かべ、すたすたとテーブルに寄って来る。
ミリアとアリアは困惑した表情を浮かべ、カズヤはじっとバランを観察する。
「知り合いか?」
イザークが問いかけると、志希は笑顔で頷く。
「フェイリアスで鎧を作っていた時期があったでしょ? その時に知り合った戦士さんなの」
「バランだ。相席をして良いか? 久方ぶりに会ったのだから、俺の相棒を彼女に紹介したい」
そう言って、バランは後ろを振り返り微妙に眉を潜めている黒髪の女性に声をかける。
「シャーナ、こちらに座らせてもらおう」
「えっ……ええ」
何となく気が進まないと言った表情のシャーナは頷き、バランの隣に並ぶ。
「初めまして、シキ・フジワラと言います。フェイリアスにいる時に、バランさんにお世話になりました」
志希は慌てて席を立ち、シャーナに自己紹介をして頭を下げる。
シャーナはそんな志希の態度に感心したような表情を浮かべ、警戒する様な表情を緩めて微笑む。
「初めまして、シャーナ・アーメントよ」
それなりに整った顔立ちと、微笑みが魅力的な女性だと志希は感じた。
同時に、彼女の周囲に風の精霊が居るのも見て取れた。
志希がそちらに目を奪われると、シャーナは苦笑を浮かべる。
「精霊使い、とバランから聞いているわ。わたしから見れば、精霊の愛し子に見えるけれど」
この一言に志希は内心ギクリとするが、それをおくびにも出さず首を傾げてシャーナを見上げる。
「そうですか? あっと、どうぞ座ってください」
「あら、相席失礼するわね」
「すまんな」
バランとシャーナはイザーク達に声をかけ、志希と共に席に座る。
「なんなら、あんたらの連れもこっちでも良いぜ。色々と大変そうだしな」
カズヤは二人にそう言いながら、ちらりと入口の方を見る。
何やら偉そうにしている六人組と、戸惑った表情を浮かべている二人組が居る。
「ああ……そうさせてもらった方がよさげだな。おい、アントン! オットー! こっちだ!」
名前を呼ばれた二人はほっと安堵した表情を浮かべ、足早に近寄りバランとシャーナの正面に腰を降ろす。
「相席ありがとうございます。いや、本当に助かりました」
首から幸運の神であるマービスの聖印をぶら下げた、人当たりの良さそうな青年が言う。
それに乗っかる様に、腰にポーチを下げた若干幼さを残した青年も頭を下げる。
「本当に、ありがとうございます」
助かったと言った表情を浮かべる二人に、アリアとミリアはあの六人組は余程の態度なのだろうと眉を潜める。
「所でバランさん、こちらの方々は?」
「ん? ああ。先に来ていたパーティだ。自己紹介ぐらい、自分でしろよ?」
「あ、はい。僕はアントン、マービス神に仕える戦士です」
「おれはオットーです。手先の器用さを生かして、盗賊をしています」
胸を張り、オットーは自己紹介をする。
盗賊と言う職に誇りを持っているのだと分かる姿に、カズヤは何となく嬉しそうな表情で頷く。
「オレはカズヤ、盗賊だ。うちの精霊使いと、そちらのバランさんが知り合いだったみたいでな。ちょっと話をしていたんだ」
カズヤの言葉になる程、と頷く青年二人。
そこから当然の様な流れで全員が自己紹介をし、和気藹々とした空気になる。
「いや、村に入ったらアンデッドが全く居なくてびっくりしましたよ」
「うんうん」
アントンの言葉に頷くオットー。
その二人のどこかのんびりした雰囲気に苦笑しつつ、バランは口を開く。
「一応警戒はしていたんだが、早々に君達が倒していたと言うのには驚いたよ」
「それに、色濃く残る精霊達の気配にも驚いたわ。ここに精霊界との道が開いたかのような痕跡だし」
シャーナの言葉に、志希は動揺を必死で押し殺して相槌を打つ。
実際、精霊界との道は開かれた上に精霊王が現界したのだ。その痕跡が色濃く残るのは、当然の事である。
しかも、シャーナはじっと志希を見ており冷や汗が出そうになる。
「まぁ、なんにしても無事で何よりだ。銅や鉄位のパーティだと言うが、ヴァンパイアを撃退できるだけの腕を持っているなら早々に銀位に上がれるだろう」
バランはシャーナが妙に志希に注目しているのに気が付かないまま、笑顔で志希の頭をくしゃりと撫でる。
「わわ、バランさん~!」
志希が抗議の声を上げるが、バランは楽しそうに更にぐしゃりと撫でる。
整えた髪がぐしゃぐしゃになってしまうのに志希が悲鳴を上げると、やや大きな音を立ててカップがテーブルの上に置かれる。
「シキ、お茶のお代わりを頼む」
一瞬静まった瞬間、イザークが告げる。
「あ……うん、分かった。やかんに入れて、貰ってくるね」
志希はそう言って、髪を整えながら席を立つ。
アリアも慌てて手伝う為に志希の後を追い、後には何やら静かになったメンバーが残される。
いつになく不機嫌そうなイザークにミリアは困惑し、カズヤも訝しげな表情を浮かべていたが、空気を変える為に口を開く。
「ところで、結界を張ってる魔道具は見つかったのか?」
「いや、まだ見つからない。一応向こうの魔術師が、探索の魔法を使っているらしいのだがサッパリなんだ。一応、今日はエドワード師が手伝ってくれると言う事になっているんだが……」
バランはカズヤの問いにすらすらと答え、ちらりとイザークを見る。
その視線の問いに、カズヤは苦笑する。
「イザークは、シキのお守ってか……先生と言うか……まぁ、そんな感じだ」
「お守っておい……」
バランが思わず突っ込みを入れると、カズヤは更に苦笑を深くする。
しかし、それ以上は言わずにイザークを見る。
「今日の魔道具探索は、我々も参加するべきだな。エドワード師が参加するのであれば、カズヤは落ち落ち休んではいられまい」
「まぁ、その通りだな。爺さん無理するにはもう、良い歳だしよ」
二人のやり取りに、アントンが問いかける。
「エドワード師とは、お知り合いで?」
「ん? ああ。オレの養い親だ」
カズヤの返答に、アントンは慌てて謝罪する。
「込み入った事をお聞きして、申し訳ありません」
「ああ、気にすんな。別にそんなに重い理由じゃねぇから」
あっさりとカズヤは言い、笑う。
カズヤの言い放った言葉に安堵する様に笑うアントンを、ミリアは微妙な表情で見やる。
何か言おうとするが頭を振り、ミリアは更なる話題転換を図る。
「取り敢えず、結界内の探索と浄化が必要でしょうね。わたしも、今日は頑張らせていただくわ」
ミリアが微笑みながら言うと、くすりと嘲笑が離れた所から聞こえた。
声の方を見ると、全員が銀位だと言う六人パーティが居た。
十人程度が座る事が出来るテーブルを占拠し、ニヤニヤと笑うクロースアーマーを着た青年と青いローブを着た青年。
その仲間らしき男性の胸から下がっている聖印は戦女神の物で、ミリアを冷淡な眼差しで見ている。
同じテーブルについている男性二人も目を細め、イザーク達を見下したような表情を浮かべお茶を飲んでいる。
ミリアは彼等のあまりにも不躾な態度に眉を潜めるが、無視をする事にする。
全く同じ選択をしているらしいイザークが、表情をピクリとも動かさずに口を開く。
「ならば、フェルナン司祭から村の地図を借り受けどの様に分担をするかを考えるべきだな。バラン、と言ったか。そちらのパーティは、どの様に動くつもりだ?」
「あ、ああ。こちらは今日、神殿の北側を行く予定だ。昨日は到着した時間が時間で、きちんと見て回れなかったからな」
「なら、オレ達は東の方行くか?」
バランの返事に、カズヤが提案すると。
「おいおい、大仕事を終えたばっかりなんだろう? 銅と鉄のパーティさんよ」
と、いつの間にか側に来ていたクロースアーマーの青年が声をかけてくる。
多大に含んだ嘲りの声に、カズヤの片眉が跳ね上がる。
「お前達の精霊使いなんか、寝込んでいたって言うじゃねぇか。たかがリビングデッドとの戦闘で、何で寝込んだんだかしらねぇが大人しく引っ込んでいろよ」
この言葉に、ミリアの柳眉が逆立つ。
「魔力の使い過ぎで寝込んでしまう事は、良くあるわ」
思わずミリアはそう反論すると、戦女神の神官がふんっと鼻で笑う。
「己の力量も弁えないが故に寝込むとは、言語道断だ」
「そうそう、大人しく神殿で震えていればよかったんだよ。親玉だって言う死霊術師のヴァンパイア退治にしゃしゃり出て、手も足も出ないでいたのを助けられたんだろ?」
ローブの青年が粘着質な口調に眉を潜め、その言葉の意味にカズヤが激高する。
「てめぇら、何が言いたい!」
怒声を上げるカズヤに、喉を鳴らして笑うそれなりの歳の男性が肩を竦める。
「なんだ、言われなきゃわかんねぇのか?」
「そうそう。お情けで、この村に住む老師や司祭たちが倒した手柄を譲ってもらったんだろ?」
男性二人の言葉に、カズヤは思わず呆れた表情を浮かべる。
同じ様にミリアも絶句し、次いで頭痛を堪える様に額に手を置く。
「……それ、本気で言っているのか?」
カズヤの問いかけに、クロースアーマーの青年が鼻白んだ表情を浮かべる。
「当たり前だろう? 鉄と銅の奴らなんかに、死霊術師にしてヴァンパイアなんて言う化け物を倒す事なんざ出来る筈もない」
嘲笑し、カズヤを見下しながら青年は言う。
この言葉に、カズヤは思わずイザークを見る。
「ああ、うん。イザークの言う事が良く分かった」
青年はカズヤの呆れを含んだ言葉にひくりと片頬を引きつらせ、ぎろりと睨みつける。
そこに、大きなやかんを持った志希と追加の人数分のカップを持ったアリアが戻って来る。
「どうしたの?」
「何かありましたか?」
きょとんとした二人の問いに、イザークは頭を振る。
「いや、何も無い。悪いな」
そう言ってイザークは志希にカップを差し出し、志希はその中にお茶を注ぎつつ小首を傾げる。
何やら険悪の雰囲気と言っても過言ではない状況にちらりとバランを見ると、彼は彼で苦虫を噛んだような表情で口を閉ざした状態だ。
訳が分からない志希は取り敢えずお茶を入れたやかんをテーブルの上に置くと、ガタリと銀位のパーティの男性が一人立ち上がる。
志希はそちらを向いて直ぐ、その男が精霊使いだと分った。
シャーナと同じ様に、風の精霊が側にいたからだ。
だがしかし、彼女と違うのは風の精霊が男の事を顔を顰めて見ている事だ。
何故そんな顔をしているのかと思っている志希の目の前に、男は立つ。
元々小柄な志希は、身長差を威圧感として感じやすい。更にそれを利用する様に男は険のある顔を作り、口を開く。
「お前、随分身の丈に合わない物を持っているな」
そう言うなり、志希の首につけているチョーカーを無造作に引っ張る。
ミスリル銀で出来ているチョーカーを引っ張られれば、志希の首は圧迫する。
あまりにも容赦のない力で引っ張られたせいで、志希の足が床から離れる。
息がつまり、志希は男の手を掴もうとした瞬間。呼吸が楽になるのと同時に、いつの間にかイザークが志希の腰を片腕で支えていた。
もう片方の手は精霊使いの男の腕を掴み、チョーカーから手を外させていた。
「身の丈に合わんのは、貴様の方だ。この程度の腕で銀位だと? 笑わせてくれる」
黄金の目を冷淡に細め、イザークは男を見下ろす。
男は不愉快気な表情を浮かべていたが、直ぐにそれが苦悶へと変わる。
どうやらイザークが、男の腕を掴む力をだんだんと強くしているようだ。
「て、てめぇ!」
クロースアーマーの青年が怒声を上げ、イザークに向かって殴りかかって来る。だがそれをカズヤが掴み、突進力を生かして背負い投げる。
突然の事に青年は受け身を取る事も出来ずに床に叩き付けられ、息をつまらせている。
それを見ながら、カズヤは肩を竦める。
「てめぇらがランクによって優越感持とうとどうでも良いけどよ、オレらの仲間に乱暴されるのを見て黙って見ているつもりはねえぞ」
「その通りです。これ以上狼藉を働くのでしたら、こちらも暴力に訴えますよ?」
そう言いながら、アリアは彼等に向き直る。
紺のローブを身に纏ったアリアの姿に、青いローブの青年は眉を潜める。
「杖も持たないで、どうするつもりだ?」
「貴方は、発動体を一つしか持たないのですか? 随分と不用心ですね」
アリアはそう言いながら小刻みに手を揺らし、魔法を構築していく。
精密に、そして物凄い早さで編み上がる魔法に青いローブの青年は顔色を変える。
余裕と言った表情を浮かべていたのが、今は若干青ざめ慌てて杖を手に呪文を早口に詠唱し始める。
青いローブの青年も銀位と言うだけあって魔法の構築は早いが、構成に粗が見える。
アリアはそれに目を細めながら魔法を発動させようとした瞬間。
「食堂で何をやっておるか!」
と、怒声が響く。
食堂の入口に険しい表情を浮かべたエドワードと、ナディア・フェルナン両司祭が立っていた。
先程から立っている大きな物音と、怒声やら何やらが食堂の外に漏れていたのだろう。
エドワード達の後ろに困惑した表情の村人が立っているのが見えた。
「……エドワード師には申し訳ありませんが、仲間が害され侮辱されているのを看過する事は出来ません」
アリアはそう、魔法を発動前の状態で維持しながら言う。
その事に、向こうパーティの魔術師が目を丸くしている。
必死に汗を流し、アリアの魔法に対抗する為の構成をする。
エドワードが眉を潜めると、バランが口を開く。
「この様な騒ぎになったのは、そちらのパーティが先着していたパーティを無為に貶める発言をした上に、鉄位の精霊使いと言う彼女の宝飾品を強奪しようとしたからです」
理路整然と、バランは告げる。
この言葉にエドワードだけではなく、フェルナンとナディアも銀位のパーティを見る。
「正直、彼等が死霊術師のヴァンパイアを倒したなどと信じられん。それに何より、低位の人間が持っているよりも……」
「我らがヴァンパイアを倒し、その手柄を彼等に譲っていると言いたいのかね?」
怒気を孕んだ声音で、フェルナンが戦女神の神官の言葉を遮る。
あまりの迫力に、神官は思わず言葉に詰まる。
その姿にますます険しい表情を浮かべ、フェルナンは告げる。
「光と秩序の神、ヴァルディルに誓って我々はそのような事はしない。それは、我が神に背く行為だ。君達が言っている事は、彼らだけでは無く我々をも侮辱しているのだぞ」
フェルナンの言葉に、戦女神の神官ははっとした表情を浮かべる。
「……お主ら、その魔法を破棄せよ。特に青ローブの魔術師よ、その魔法をこの様な場所で放つつもりであれば容赦せんぞ?」
魔術構成を見て取ったエドワードは、杖を向けて魔術師二人に告げる。
アリアは素直に魔法を破棄し、青ローブの魔術師は反論しようとしてやめる。
依頼人に反抗すると、場合によっては報酬を払ってくれなくなる可能性がある。
言う事を聞かなくては、後々困るという打算が働いたのだろう。青ローブの魔術師も魔法を破棄し、アリアを睨みつける。
アリアの魔術構成が緻密な上に、そのスピードの速さにも目を瞠る物がある。その彼女の才能に嫉妬したのだろう。
クロースアーマーの青年は小さく咳をしながら起き上がり、カズヤを睨めつけるが何も言わない。
この場所で最も権力がある人間が居るからか、彼等は大人しくなった。
志希がほっと安堵の息を吐くと、イザークがやっと地面に降ろしてくれる。
「それに何ですか。低位だ何だと言って、彼等の装備品を強奪しようとするなど強盗のする事ですよ」
ナディアの言葉に戦女神の神官は険しい表情を浮かべて彼女を見るが、何も言わない。
否、言えないのだ。
ナディア司祭が言った事は、間違っていない。
彼女の言葉を支持する様に、食堂にいる全ての存在が彼等に対して非難の視線を寄こしている。
「……行くぞ」
クロースアーマーの青年が仲間に声を掛け、食堂を出て行く。
彼等の仲間が各々席を立ち立ち去っていく中、精霊使いの男が志希を睨みつける。
志希のせいだと言わんばかりのその態度に、思わず深い溜息をつく。
精霊使いの男の側にいる風の精霊が物凄く困惑した表情を浮かべ、志希の周囲にいる精霊達が男へ物凄い敵意を向ける。
志希を害した事で、精霊達が彼を敵と認定したようだ。
思考で志希は男の精霊に気にしていない事を伝え、周囲の精霊達を宥める。
「やっと静かになったわね」
ミリアは嘆息しながら呟き、椅子に深く腰を降ろす。
「まったく、こちらで魔力が凝るから何事かと思えば……」
エドワードは頭痛を堪えるような表情で呟き、深い溜息をつく。
「す、すいません……」
アリアは深く頭を下げ、謝罪する。
そもそも、戦闘系に属する魔法は街中で使う様なものではないのだ。
アリアの構築していた魔法は攻撃魔法と言うよりも、相手を眠らせる物なのでそれほど害があるものではない。
だが、青ローブの魔法はアリアに対して明確な害意があった。
「なに、向こうが問題を起こしただけの事じゃろ。まぁ、少々やりすぎた所もあったのかも知れんがな」
「向こうがシキのチョーカーをいきなり引っ張って、吊上げたんだ。そんな暴挙に出られて、黙ってられる訳ねぇだろ」
エドワードの言葉に、カズヤが憮然と文句を付ける。
それを聞いたエドワードがむぅと唸り、頭を振る。
「取り敢えず、彼等に対してはペナルティを考えるつもりだ。少々悪質だと思うので、ギルドに報告するのも視野に入れるので安心してほしい」
フェルナンはそう言って、今だピリピリしている食堂内に宣言する。
これで、食堂内にいた志希達だけではなく遠巻きに見ていた村人達もほっと緊張を緩ませる。
問題行動をとる冒険者は必ずいるので、これからは気をつけなくてはいけないと志希は思いつつそっと首に付けているチョーカーを撫でる。
この先も似た様なトラブルに合うであろう事を考えたら、やはり昇級は必要なのかと一人静かに嘆息するのであった。