第一話
しょっぱなから物凄い痛い表現がありますので、ご注意ください。
ふわり、と風を感じた。
それと同時に胸を貫く熱く、冷たい感触。
「あっ……?」
思わず、声を零しながら胸を見降ろす。
豊かな胸の谷間から、鋭利に輝く諸刃の切っ先が覗いている。
認識すると同時に、激痛が全身を駆け抜ける。
あり得ない程の痛みに全身から冷えた汗が吹き出し、涙腺が壊れた様に涙が溢れだす。
何が起こっているかなんて、まったく理解できない。
「――――っ! ――!」
必死で声を上げようとするが、出せない。
震えながら両手を持ち上げ、刃に触れて見ようとするがその前に後ろの人物は行動を起こす。
刃を支点に、体が持ち上げられる。
冷たい刃が肉を裂き、骨に触れる。
神経を直接触られたかのような激痛が再び駆け抜け、体がビクンと震える。
「%$? @*&%#$」
刃の持ち主らしき男が、言葉を放ったのは聞こえた。
だが、意味を解する事が出来ない。
そんな事よりも、ざりざりと骨を傷つける刃の痛みに気が遠くなりそうだ。
この痛みで、理解した。
自分が何故か判らないが、殺される事を。
瞬間、喉をせり上がる熱い塊。
飲み下す事を選択する間もなく、口から音を立てて飛び出す。
手足の末端から痺れに似た冷たさを感じながら、虚ろに前を見る。
轟音を上げてぶつかり合いを繰り返す鎧を着た人間達と、人間の形をした何か。
そして酷く綺麗な、空の青。
不意に、視界が横にぶれる。
浮遊感と同時に何かに激突する感覚があったが、もう痛みは感じなかった。
胸に刺さっていた冷たい刃の感触は無く、今は虚ろな穴しか感じない。
痛みで意識を保ったまま、急速に迫りくる暗闇に抗い目を動かす。
自分を殺したモノを確認しようとする様に。
その気配に気が付いたのか、視線の先の人間が振り返る。
褐色の肌をし、耳が木の葉のように細長い男性であった。
全体的に痩身で、彼が手にしている大きな剣は到底振るえそうもない様に見える。
だがしかし、彼は片手で軽々と振り血を払っている。
闇の中に在れば、姿を見分けるのが不可能であろうと言う程に黒い鎧と服を身に付けている。
その髪もまた、黒。
夜闇に紛れる事を目的としている様な姿の彼の瞳は、唯一己の存在を主張する様な色だった。
冷徹に輝く、金の瞳。
何の感情も抱かせぬ色を浮かべながら、彼はゆっくりと歩み寄ってくる。
「&%&#@*……*+:@&%$;:」
語りかけてくる声は聞こえるが、言葉の意味など分からないし答えるだけの力も気力もない。
既に死は決定的で、抗う事を許さぬ力で意識を闇へと導こうとしている。
だからこそ、声は出なくてもと唇を小さく動かした。
―――― かえりたい
自分の知る場所ではないと明確に分かったからこその、心からの呟き。
その後はもう、視界も意識も暗闇へと覆われてしまい何も判らなくなった。
此方は、自身のサイトの方でも連載を開始した突発的な小説です。
プロットも何もありませんが、頑張って書き上げられたらいいなぁと思います。
私の厨二病が酷くなったせいで書きだした小説ですので、ダメそうでしたら何も言わずそっとブラウザバックしてくださると嬉しいです。
それとは別に、誤字脱字や文章のおかしな所など指摘していただけると大変嬉しいです。
では、楽しんで頂けると大変嬉しいです。