1ー3. 作戦会議2
珊瑚色の髪に青みがかった灰色の瞳。小顔で唇も薄い。
可愛い顔だなとは思っていたけど、思っていたたけどさぁ、何でよりによって主人公なんだよ!?
大人しく悪役令嬢にしといて欲しかった。
いつのまにかセル(メガネ)は鑑定結果を読み終えていたみたいだ。主人公という単語に悩まされていて後半を聞きそびれてしまった。申し訳ないが仕方がないだろう。
大切なところは(多分)聞いてただろうしもう一度言わせるのも悪いので黙っておくことにする。
それにしてもだ。私の記憶役に立たなすぎる。残っている記憶は必要の無いものが7割だし。自分が妖精だというこのも記憶にないとか…記憶喪失じゃん。もう…。
「いや、ツッコミどころが多すぎるわ!乙女ゲー世界の主人公ってなんだよ!?霊力の数値とか頭おかしいだろ!!!」
そうなるよね。セルも驚くよね。
「まあそうだよね…。霊力がバカ高いのは主人公にチート能力与えるあれだろうけど……」
転生したら大抵すんごい能力を手に入れるものだと密かに思っていたから想定内ではあったんだよ。
「なるほど〜!とはならないだろ…でもマジで主人公なら色々とヤベーだろ!?」
セルも気づいたか。悪役令嬢のがマシってのに繋がる。
「分かるか。悪役令嬢なら役職放置しても問題ないんだよな。つか、そうした方がいいだろ。主人公たちも障害なしでくっついてハッピーだし、自分も死刑にならなくて一石二鳥、、」
私が悪役令嬢に転生してもこうするよ…。
「一方主人公は…」
セルが私の言葉に続いた。
「バックレると最高でも攻略対象達は不幸なままだし。最悪世界消滅だもんな…」
その通りだ。代弁してくれてありがとう。
あくまで個人の見解だが、攻略対象というのは心に大きな闇を抱え込んでるものだと思う。だから主人公がその闇を解いてくみたいなイメージが大きい。主人公がいなきゃ病んだまま不幸になるだろう。
世界消滅に関してはいうまでもない。
世界の危機を救うのは覚醒した主人公というのはお約束だろう。その主人公が役職放棄すると世界の危機を救う者はいなくなり…。(やっばい)ファンタジー世界ではありうることだろう。
乙女ゲームと混ぜた事により、闇を抱え込んだ実力派攻略対象がドラゴンとかになって国家滅亡的な展開もあり得ちゃうんだ。何で混ぜるんだよ…
「とにかく対策を考えなきゃだよな。放棄したらダメそうだし。」
「乙女ゲーの主人公と冒険者って両立出来んのかな…」
無理だろう。そこら辺の少女に『キミは主人公だ。攻略対象達のことよろしくね〜ん!』とか言って押し付けるのも無理があるし。仮に引き受けてくれたとしてもハッピーエンドにはならないだろうね。
「乙女ゲームって学園の中でのイメージが大きいんだけどさ、学園生活さえ乗り切っちゃえば問題なくね?」
セルはそう言った。
「!?確かにな。だが、それだと攻略対象が闇落ちする可能性が…」
「学園生活の間に闇を祓っちゃえば良いんだよ!それか、俺が攻略しちゃうとか?」
「それだぁ!学園滞在中にセルが攻略しちゃいなよ!私も全面サポートするし!」
「え…マジで言ってる!?男を口説く趣味なんてなんて無いんだが!!?」
無いだろうね。でもキミに頑張ってもらうしかないんだよ、セルゲル…
「お願い!セル!私と冒険行きたいんでしょ!ねぇ!」
「ヴッ…」
必殺!主人公の顔で『お願い!』。この顔でねだられて断れる男などいなーい!わっはっはっは!
「しゃ、しゃぁーねーな!俺がやってやるよ!」
ほら落ちた。顔が真っ赤だな。卑怯だが許して欲しい。。
「ありがと、セル!約束ね!」
などと可愛い声で言ってみた。
キリの悪が今日はこの辺で退散する事にする。セルが自分でとんでもないことを引き受けてしまったと気づく前に帰るのが1番良いだろう。そう思って別れを切り出した。
「じゃ、また明日寝!おやすみ!」
「あ、ちょっと待てっっ」
とセルが言ったが聞こえなかったフリをしてそそくさと部屋に戻った。
主人公に転生して何のかんの言ったが、その立場をことごとく利用してしまった。可愛い顔に声といい、便利ではあったのだ。必要があれば惜しみなく使おう。
攻略をセルに押しつけたのは良いものの、いくつか問題点が残る。誰が攻略対象か分からないのもあるが、それ以上の問題があった。主人公が攻略対象の心を救ったから攻略対象は主人公に惚れたのだ。
それならセルが攻略対象を救ってしまうと…BでLな扉が開くのでは……!?それはそれで面白そうだが…
ん?あれ?自分が主人公だって認めちゃうと……メガネのこと信ちゃう事になるのでは!?
キリが悪い終わりになってしまってごめんなさい!面白かったら評価とかお願いします!コメントも待ってます!読んでくれた方、このページを開いてくれた方、本当にありがとうございます!次回も是非見てください!