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フロンティア in the Frontier ~ブレテ島とマノミの狩人~  作者: よっしー
ブレテ島の狂気
35/49

11

敵が、いない。地上、壁、天井を照らすが、見つからない。そんなのありか。出血が止まらないほど、強烈な一撃だった。人間サイズはあるはずだ。


「見つけた?」

「いや、」

「静かに」


ナプーが、耳で探っているようだ。目は当てにならない。壁の彫刻が邪魔だ。まさか、これを狙っていたのか。だとしたら、ここは相手の土俵、


「来た!」

「痛っ!」


肩が、敵は、あそこだ。はやっ、瞬時に壁と同化し、闇に消えた。小さいやつだった。右肩は、かすり傷か。ナプーのおかげだ。


「集中しろ。狙われてるぞ」

「分かってる」


弱いやつからか、合理的だ。それにしても、全く分からない。壁にいるはずなのに。攻撃も、避けるのが精いっぱいだ。どうする、奥に大きい通路が見える。


「一旦退く?」

「いや、ここで仕留める。仲間と合流された方が、」

「来た!」


左、避けろ!よし、三回目でいけた。ナプーありきだが。たぶん他に敵がいたら、避けられない。ここで仕留めた方が良い。


「でも、手はあるの?」

「ナオミ、こっちへ来い」


ナプーが呼んでいる。取り敢えず行く。肩を掴まれ、ナプーの前に誘導された。


「何?」


肩をグッと抑えてくる。なぜ、


「ここに座れ」

「座る?なんで?」

「いいから座れ」


なぜユウジも、取り敢えず座る。ナプーはナイフをクルクル出し、顔の前で構えた。なるほど、迎え撃つ気か。今更ナプーの力を疑ったりしない。でも、ここへ来て、おとり役とは。下からナプーを見上げる。


「任せたよ」


ん、ライトを手で塞がれた。光は邪魔か、手で隠す。ユウジも隠し、天井が綺麗だった。敵もたぶん光ってる。どの彫刻が、偽物か。見極めてや、


「ふっ!」


ギンッ、だめか、火花だ。ナプーが弾いた。え、敵が、光ってない。ライトで追うが、再び闇に紛れる。


「今、光ってなかったよね?」

「ああ」


鎧を付けていないのか。暗い地面も気にしないと、あ、またナプーが傍に来た。座らされ、頭上でナイフが舞っている。何だか、されるがままだ。さあ、次はどこから、


「んっ!」


ギンッ、ギンッギンッ、敵を、ライトで捉えた。これは、小さい、小学生か。でも幼くはない。それよりも、何だあの爪は、鉤爪のようだ。足の爪も、


「おい、囲め!」

「分かった!」


俊敏だが、逃がさない。三人で囲み、壁に、追い詰めた。が、やっぱり壁を登った、見失う。ギンッ、ナプーの投てき、ナイフは、弾かれたようだ。ナプーは素早く拾い、ナイフの先端を見ている。


「どうしたの?」


ナオミは壁を背にする。この方が、たぶん狙われにくい。


「敵、ダメージ」

「ダメージ?効いてたのね」


このまま押し切りたい。でも、きっとダメージは小さい。それに、ナプーの体力は持つだろうか。ん、何か、様子が変わった。敵の、氛か。徐々に、大きくなっていく。天井の、あそこの、彫刻に、


「って光ってるし!」

「集中しろ!」


氛が増して、発光も増している。もう隠れる気はないようだ。敵が、落ちて来る。四つん這いで着地し、爪が地面をえぐる。あれをくらって、無事で済むのか。気を解放した、全力の一撃だ。ユウジとナプーが前に出る。


「お前は下がってろ」


これは、従うしかない。全快ならまだしも、すでに満身創痍だ。


「分かった。気を付けてね」

「心配するな」


二人の背中に触れた。信じるしかない。敵が、動いた、いや、立ち上がった。これが攻撃態勢か。一歩踏み出した、二歩、三歩、加速、ギンッ!ナイフで止めた、ユウジが、


「はっ!」


避けた、でもすぐナプーだ。キキキン、ギンッキン、あれは、ナイフの二刀流か。ギンッギンッ、さらに追う、ギンッキン、ザッ、敵が、大きく引いた。右腕をやったか、血が垂れている。


「はあ、はあ、」

「ナプー、」


息が上がっている。敵に合わせて、氛を高めたからだ。ナオミはナイフを出し、ナプーの横に並んだ。


「私もやる!」

「好きにしろ」


三人で距離を詰めると、敵は引いた。冷静だ。しかし逃げ場はない、どうする。な、飛んだ、壁に張り付いて、速い。また闇に紛れるか、いや、氛はそのままだ。どこへ、向こうは、大きい通路である。隣の部屋だ。


「逃がすか、」

「待て!」


え、っとっと、足がもつれた。


「何で?仲間と合流されるよ?」

「間に合わん、落ち着け。それに、」


ユウジはナプーを見ている。ナプー、ナプーが膝を付いた。


「大丈夫?」

「はあ、はあ、すまない、大丈夫だ」


疲労が、もう限界だ。ナプーも人の子である。ここからは、フロンティアで片を付ける。ナオミはナプーのナイフを下してやる。


「ナプー、後は任せて」

「だが、」

「ナプーさん、サポートを頼む」


ユウジがナプーを見つめている。ナプーは、ナイフをしまった。気のせいか、ユウジの言うことは良く聞いている。兄だけじゃない、妹だって頼りになる。


「さあ、行きましょう」

「ああ」


三人は大きい通路に向かう。敵の氛が、小さくなった。場所は遠くない。通路も短いようで、中に入ると、すぐに前方が開けた。同じような部屋だ。敵は、どこに、ナプーが指を差す。


「あそこだ」

「いた、壁際、」

「おい!」


足を止める。何か、おかしい。敵はあいつだけ、でも、氛が、2つある。この氛は、たぶん、奥の壁が強く光っている。氛が増し、光が増して、ジュクジュクと、微生物の中から起き上がった。ようやく、見つけた。


「ハルをさらった敵よ」

「あいつか」


左腕は、吹き飛ばしたはず。枝みたいなのが、生えてる。でも、関係ない。


「あいつは、私がやる」

「好きにしろ」


ユウジは石を拾い、小さい方に投げた、と同時に走り出し、引き付ける。ナオミは氛を、フルパワー、小細工なし。敵は、左腕が光っている。新しい能力か、ただの回復中か。見極める。ナオミは石を拾い、真似して投てき、右手で弾かれた。


「ふんっ!」


ユウジの氛が、あっちもフルパワーか。いや、それ以上、こんなに、強くなっていたのか。こっちも、行く、いや、来たっ!槍か、顔面、よけろ!ギリギリでかわし、見る。危なかった、向こうから仕掛けるとは。この暗がり、左手のライトで照らすものの、見えづらい。が、敵は光っている。隙を見つけ、右手のナイフで、仕留める。


また来た、一直線に、近づいて、突き!次は横から、払い!しゃがんでかわす、な、顔面に蹴り!


「ぐっ、」


両手で受けて、距離を取る。良い蹴りだ。それに、でかい槍を、良く振り回す。また来た、突き、速いが単調だ。また払い、次も蹴り、かわせ!側転でギリギリよけて、距離を取る。さっきと同じだ。決まった動きを、繰り返すのか。あっちは、ユウジが押されてる。


「そっちは平気?」

「随分、余裕だな!」

「余裕よ!」


余裕はない。氛も、長くはもたない。次は反撃だ。突きのあとを、狙う。敵は、来るか、いや、来ない。こんなときに、じらして、来た!突き、いっ!でも腹に、刺す!ギギギギ、ギンッ、やっぱ弾かれた。一度引く。腕の肉を、少しもっていかれた。

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