第78話 くっ、鎮まれ、鎮まるんだ、俺の《神滅覇王》……っ!
「すごいです、さすがです、さすがすぎです、セーヤさん!」
《神焉竜》が飛び去ったのを見て、ウヅキがいの一番に駆け寄ってきた。
相変わらず、走ってもちっとも速くないのはご愛嬌である。
「まぁ月明かりしかない上に、足下は瓦礫でいっぱいだしな」
激戦の舞台となった広場は、もはや見る影もなくズタボロになっていた。
歩くのすら手間取るほどなので、こけないのをむしろ褒めてあげるべきなのかもしれない。
そしてウヅキが走ったことで、おっぱいが凄いことになっていた。
「おっぱいが跳ねている……だと……!?」
それはもうぼいんぼいんで、ばいんばいんに、けしからんジャンピングハートをしているのだ……!
しかも闇夜を苦にしない知覚系A級チート『キャッツアイ』の効果によって、その揺れて跳ねるみやびなご様子が、余すところなくこれでもかと目に飛び込んできて。
……一応言っておくと、おっぱいが揺れるのをじっくり鑑賞するためじゃなくて、ウヅキがこけたらすぐ助けに行けるようにと、このチートを発動させたんだからね?
これ、俺の社会的評価にも関わる大事なことだからね?
下衆の勘繰りはやめてくださいね!
にしてもだ。
「マジ半端ない……なんという圧倒的に過ぎる質量攻撃……! じゃなくてだな! ウヅキ! 瓦礫が散乱してるから走ると危ないぞ――!」
――と言い終える寸前で、ウヅキが盛大にすっこけた。
ウヅキの名誉のために言っておくと、ウヅキの動きには全く問題はなかったと思う。
舗装されてない道や山の中を普段から歩いてるだけあって、足腰がねばり強く、暗がり悪路も特に苦にはしていないし。
ただ――。
なぜかウヅキの足下に、狙いすましたかのようにバナナの皮が落ちていたのだ。
ラブコメ系S級チート『なぜかそこに落ちているバナナの皮』が発動した――らしい。
「どないやねん!」
思わず関西弁で突っ込んでもたわ!
……ったく異世界に来てからは、心機一転、関西弁は使わないようにしてたってのに……もう!
こんなしょうもないことでマイルールを破らされるとか、ぷんすかである俺だった。
「ああでも、言わんこっちゃない! っていうかこのチート、普通に危なくないか……!?」
そしてこの時点で――ウヅキが足を滑らせたその瞬間には既に、俺は駆けだしていたのだった。
スポコン系S級チート『音速の貴公子』により、一歩目からトップスピードに乗った俺は、瓦礫の山をものともせずに、ウヅキの元まで最短距離で駆け抜けると、
「スポコン系A級チート『スライディングキャッチ』発動!」
ウヅキの身体が地面に着く直前に、俺は日本刀を地面に放り出すように突き刺すと、自分の身体を強引にウヅキの下へと滑り込ませた――!
間一髪、ウヅキを抱きすくめて事なきを得る。
「ふぅ、危ないところだった……」
降って湧いた災難(ある意味、俺が起こした人災)を無事乗り越えた――そう思ってた時期が俺にもありました。
「あっ……はぅ……ん……」
突如、ウヅキが悩ましげな吐息のような声を上げたのだ。
なんとラブコメ系S級チート『ラッキースケベ』が発動していたのだ――!
……さて、冷静に今の状況を確認しようか。
俺はウヅキが怪我をしないようにと、その身体を抱きしめるようにして地面との滑り込んだ。
滑り込んだんだけど――、
な、なんということだろうか!
俺はウヅキを後ろから包み込むようにギュッと抱きしめながら、そのたわわなおっぱいを両手で鷲掴みにしてしまっていたのだ!!
さらにそれによって「ぎゅむっと掴むこと」に定評があるラブコメ系A級チート『わしづかみ』も発動してしまった……!
正直なにを言ってるのか分からないんだけど、なにせそう言うチートらしい。
「果てしなく柔らかいのに、同時になんという素敵すぎる弾性……! 沈んだ分だけ跳ね返される……! 揉めば揉むほど味が出る――、はっ!?」
俺は今、ナチュラルにウヅキのおっぱいを揉みしだいていた……!?
ぎゅむっ、によって、俺の全神経がその感触に特化・誘導されてしまったのだ……!
「くっ、俺の意思すら捻じ曲げる、これがA級チート『わしづかみ』の効果か……! な、なんて恐ろしいチートなんだ……!」
そして、
「ぁ……ん……はぅ……。お外でおっぱい、あんまりいじめちゃ、だめです……」
ウヅキの口から漏れ出でるのは、艶っぽい吐息のような甘い声。
それを聞いた俺の血流が、ここぞとばかりに一気にヒートアップする。
しかも俺の犯行ときたら、おっぱいを鷲掴みしただけではなかった。
あろうことか、地面を背にウヅキを抱きすくめている俺の両足は、膝を立てるような格好になっていて。
それがウヅキの両太ももの内側にあって、つまりウヅキはスカートを腰までまくり上げられたうえに、両足を大きくおっぴろげた状態だったのだ!
もちろん俺の位置から目視することはできないけれど、俺が32年間培ってきた歴戦の妄想力が、ウヅキのあられもない痴態をこれでもかと想像させてくる――!
極上の揉み心地と相まって、俺のイケナイ《神滅覇王》が鎌首をもたげはじめた。
「くっ、鎮まれ、鎮まるんだ、俺の《神滅覇王》……っ!」
上半身を抱きすくめられ、おっぱいを鷲掴みにされ、下半身は大きく股を開かされたウヅキは、さしづめ磔にされた聖人のごとく。
全く身動きができないままで、唯一自由になる口でしどけなく切なげな声を漏らすだけ――。
「はぅ……お尻にセーヤさんのセーヤさんが、ぐいぐい当たってます……」