第424話 ラッキースケベ
そんな感じでスタートからハプニングの予感しかないラッキースケベちゃん(チートが元になっているからとはいえ、女の子なのに可哀そうすぎるネーミングである)とのデートだったんだけど、
「あぅ……」
二人並んで歩き出して早々、何もないところでなぜか足をよろめかしたラッキースケベちゃんが、俺の方にもたれるようにして倒れかかってきた。
ラッキースケベちゃんが俺の腕をぎゅっと抱きしめて体勢を維持し、事なきを得たんだけれどその時に、
むにゅり!
って、おっぱいが俺の腕にアタックしてきたわけですよ!
しかもだよ!?
なぜか胸元のボタンが2つも開いちゃってて、たわわな双丘によって形作られた魅惑のたわわ谷間がしっかり見えちゃっていたのだ。
と、とても深い谷間だね、これは要注意だよ!
ご、ごくり……!
――だけでなく大人パンティとおそろいの水色の大人っぽいブラジャーもガッツリ見えちゃってるんですよ!?
「くっ、これが『ただしイケメンに限る』と並んでラブコメ系チートの頂点に君臨する、S級チート『ラッキースケベ』の本領か……!」
ただ待ち合わせして、そこからちょっと歩いただけなのに……立て続けに起こってしまうえっちなハプニング……!
改めて思った、なんてすごいチートなんだ……!
俺が高性能チートに感心していると、
「ご、ごめんなさい、はしたない姿をお見せしてしまって……」
そう言ってラッキースケベちゃんはいそいそと俺から離れると、ボタンを留めはじめた。
えっちな宿命のもとに生まれてしまったのに、だけど顔を真っ赤にしながらっていうのが、恥ずかしがり屋の清楚な女の子って感じですっごく胸キュンしちゃいますね!
――とまぁのっけから激しくハプニングを満載しているラッキースケベちゃんとのデートだったんだけど、もちろん今日のデートはラッキースケベちゃんが本物のチートかどうかを見極めるための大事な作戦である。
よって俺はただ楽しく遊ぶだけではなく、本物かどうかについて疑義の余地がないように、厳しく調査しなければならなかった。
ところでラッキースケベちゃんのチート能力は、文字通りラッキースケベを発生させることである。
つまりラッキースケベちゃんによるラッキースケベをこれでもかと堪能するのが、今日の俺のマストなミッションであるからして!
むふふふふ……おっと、緩みまくりの顔と心を引き締めねば……引き締めねば……引き締めねば……にゅふふふん。
あともう一つ大切なことなんだけど。
やはりデートである以上、ラッキースケベちゃんにも楽しんでもらうのはエスコートする俺の義務である。
女の子をデートに誘った男の義務を、責務を!
紳士・麻奈志漏誠也は果たさなければならないのだ!
というわけで。
「今日は目一杯楽しもうね」
「あ……はい! 楽しみたいです!」
俺の言葉にラッキースケベちゃんも満面の笑顔で応えてくれる。
よーし、今日は2人で楽しく遊んじゃうぞ~。