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第413話 ただちに影響はない

「どうどう、まずは落ち着いてセーヤくん。順を追って説明するから」

 突拍子もない事実を突きつけられて混乱する俺をなだめつつ、ケンセーが説明をはじめようとするんだけど――、


「お、おおお落ち着けっておまえ――」

 だがしかし、これがどうやって落ち着いていられるというのか!?

 だって現実世界に帰れないんだよ!?


「落ち着いたらおっぱい触らせてあげよっか?」

「え、マジで?」


「うん、落ち着いたみたいだね。ほんとにセーヤくんはセーヤくんだね」

「……」


 くっ、ケンセーめ、おっぱいで俺を釣るとは……!

 さすがは生死を共にしてきただけはある、俺の扱いを完全なまでに熟知している……!


「さっき、全チートフル装備によってセーヤくんと私たち13万5千のチートは強く繋がったって言ったでしょ?」


「俺とチートの絆を強めることで、力を失って壊れたチートたちを修復・回復するためだったんだよな?」

 チート学園は全てそのためのものだった、そう説明してくれたのは他でもないケンセーだ。


「そのチート学園のおかげで擬人化したチートたちはセーヤくんと強く繋がることになったんだけど、そのせいでもともとは完全にセーヤくんだけの意識世界だったところに、チートというエネルギー体が混ざりはじめちゃったんだよね」


「混ざりはじめたって、そんなことになって俺は大丈夫なのか!?」

「今のところは大丈夫だよ。混ざったって言ってもほんのちょっとだし。だから安心して」


「今のところは、な……」

 つまりは「ただちに影響はない」。

 その言葉の意味するところは、解決するなら早いに越したことはないってことだろう。


「でもね、混ざっちゃった結果、セーヤくんだけじゃなく『擬人化したチート全員が戻りたい』って思わないと現実世界に戻れなくなっちゃったんだ」


「つまり全会一致が必要になった。俺だけの世界じゃなくなったから、俺の意思だけじゃなくみんなの同意が必要になったってことだな?」


「そのとーり! さすがセーヤくん、やる気になった時は理解がちょっぱや!」

「ちょっぱやとかいつの時代だよ……」


 ちなみに「超早い」のギャル語である。

 平成の最初の方だったかな?

 もはや記憶のかなただ。


「あはは、擬人化のベースはセーヤくんの知識とか経験が元になってるからね。つまりセーヤくんがおっさん的な?」

「ごめんな……俺のせいでケンセーに死語を使わせちゃってごめんな……」


 どこまでもだめだめマスターな俺だった。


「つまりここまでの話をまとめると――」

「誰か戻りたくないって強情はってるチートがいるんだな?」


「正解、ザッツ・ライト! 擬人化したチートの中にセーヤくんとチート学園を続けたい子がいて、その子が同意しないからセーヤくんが戻れなくなったというわけ」


 なるほど、そういうことか。


「とりあえずのところは、俺を害そうって目的じゃなくて俺と楽しく過ごしたいって思ってくれてることには一安心だな……」


 少なくとも殺されるようなことはないわけで。

 意識世界の中に閉じ込められた時点で似たようなものかもしれないけど、少なくとも積極的に殺し殺されするような殺伐(さつばつ)とした展開にはならないだろう。


「ずっと一緒に居たいって、ほんとそこまで俺のことを気に入ってもらえて、その気持ちはすごく嬉しいんだけどさ……でもやっぱりこれはだめだ」


「うん……セーヤくんは絶対に現実世界に戻らないといけないもんね」

 俺と離れるのが寂しい気持ちは同じだったのか、ケンセーが泣き笑いのような表情を浮かべた。


「うっ、そんな寂しそうな顔するなよ……」


 ケンセーみたいな可愛い子にそんなしょんぼりした顔されたら、決心したばかりの心が揺るいじゃうじゃないか……。

 そうでなくてもケンセーとは数か月一緒に過ごして、強い情が湧いてるっていうのにさ。

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