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第388話 麻奈志漏誠也の『固有神聖』

「図星だったみたいだね。つまりお互いに切り札はなし。そしてそっちにだけ時間制限がある。ってことは、ヒヒッ! このまま耐えて時間が過ぎれば、勝つのは私。ヒっ、ひヒヒッ、あとどらくらいその力が持つのかなぁ!」


 ガチガチに防御を固めたその奥で、もう勝った気になってにやにや(わら)っていやがる《魔神》に、


「相変わらずおしゃべりな奴だな。切り札はないとか、そうやって言わなくてもいい自分の弱点をべらべらとしゃべるから、足元をすくわれるんだ――」


 俺は激しく攻撃を浴びせながら、しかし極めて冷静にそう告げる。


「強がりは止めてよね? ひひっ、『固有神聖(切り札)』もなしにどうやってこの膠着(こうちゃく)状態を抜け出そうっていうの? こうやってしゃべっている間にも、そっちはどんとんと力を消耗しているっていうのに! ヒヒッ、ギヒッ、あヒッ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒッッッッ!!」


 まったく、ほんとおしゃべりな口だぜ。

 その下品な笑いのせいでティモテの可愛い顔が台無しじゃないか。


「――やれやれ、誰が『切り札』を用意していないって?」


「ひヒッ、そんなハッタリは通じないよ? 《真覚醒・神滅覇王(しんめつはおう)》は『固有神聖』を持っていない、ううん、持ちえない! 切り札だったその生まれ変わる神剣も、私がコピーしちゃって打つ手なし! ギヒっ、だからもう完全に手詰まり――」


「用意した切り札が、《真覚醒・神滅覇王(しんめつはおう)》のものだって誰が言ったんだ?」


「ィひ……っ?」


 その言葉で《魔神》のにやにや笑いがピタリと止まった。

 《魔神》のSSS級としての本能が、俺の言葉に何らかの危険の予兆を感じ取ったのだろう。


「そうだろうな。お前は知らないだろうな――」


「ヒヒッ、なにを言って――」


 お前は知るはずがないものな。

 だって俺の中に13万5千の(チート)が眠っていることは、俺以外の誰もこの世界では知りようがないのだから――!


「もう切り札は持っていないって、お前自身の口から言質が取れてよかったぜ。正直言って《ヤマタノオロチ》を即座にコピーされたのは想定外だったんだ。もしまだ何かお前が策を残していたらどうしようかって、それだけが不安だったんだけど――」


 勝った気になって、もう隠してる手はないとわざわざ自分で教えてくれたからな。


「調子に乗ってちょっとばかししゃべりすぎたな」

「ひひッ、そんなハッタリは――」


「ハッタリかどうか今からとくと味合わせてやる。見るがいい俺の『切り札』を――! 刮目(かつもく)するがいい麻奈志漏(まなしろ)誠也が誇る唯一無二の『固有神聖』を――!」


「お、お前に――矮小(わいしょう)な人ごときに『固有神聖』なんて、ヒヒッ、そんなものあるわけがない! そうか、ヒヒッ、そうやって私に攻撃させるように仕向けて、防御を緩めさせるつもり――」


「そう思うならそうなんだろうよ。ただしお前の中ではな」

「なにを――!」


「もはや問答は無用だ、行くぞ《魔神》! これが俺の『切り札』――!」


 俺は一度深呼吸をして意識を身体の隅々までいき渡らせると、声を高々に(うた)い上げる――!


麻奈志漏(まなしろ)誠也が、13万5千の全チートに命ずる――!」

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