表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

386/438

第377話 絶望ニ染メヌカレシ闇紅ノ魔神剣 ― グリムヴェル

 《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》の刃を――、


「おおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!!」 


 ――超速の踏み込みから、俺は《魔神》へと叩きつけた! 


 《魔神》は防御しようとして、


「んぐぐっっ――!?」


 しかし防御しきれずに、《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》の黄金の刃が《魔神》の身を強烈に打ち据える――!


「防御を打ち抜いたっ! 間違いない、効いている!」


 やはりダメージは通る!


 ならばこの機を逃す手はない。

 俺はここがチャンスとばかりに間髪入れずに追撃を敢行する――!


「おおおおおぉぉぉぉぉっっっ!」


 連撃につぐ連撃を怒涛の勢いで繰り出してゆく――!


 裂帛の気合とともに繰り出される、嵐のような猛打に打ち()えられて、


「キ、キひッ……!」」


《魔神》がじりじりと下がりだした。


 当然だ。


 《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》は、その一撃一撃が《天地開闢セシ(アマノ)創世ノ黄金剣(ヌホコ)》と同クラス――!


「いいや、密度を高めている分だけ威力はさらに増大しているんだ――!」


 いかにSSS級の《魔神》と言えど、無傷ではいられないはず――!


 当然その代償というか、暴走寸前で超稼働を続けている《天照(アマテラス)》のコントロールが問題になってくるのだが、


「いいぞ、こっちも想像以上にうまく共存できている――」


 《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》が次から次へと出力された黄金の力を吸い取っていくおかげで、自然と《天照(アマテラス)》の暴走が(とど)められてているのだ。


「ひヒッ、なんだ、その剣――! ずるい! 卑怯者! イヒっ、この悪魔の手先めが! 殺す!」


 防戦一方になった《魔神》が、俺を口汚くののしってくるが、


「はんっ、見たか! これが竜より生まれし神剣の真の力だ! 日本神話が誇る伝説の聖剣にして、当代の《神滅覇王(しんめつはおう)麻奈志漏(まなしろ)誠也の最高の相棒! 《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》を舐めんじゃねぇぞ! うおおおおぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」


 俺は気合一閃、さらに苛烈に《魔神》を攻め立ててゆく。


「ううううう! ずるいずるいずるい! 殺す殺す殺す! ぬぐぐぐぐぐっ!!」


 「よし、いける、いけるぞ――!」


 わずかだが、しかし確かな手ごたえを俺が感じはじめた時だった――、


 「《神滅覇王(しんめつはおう)》! 殺す――!!」


 叫び声とともに、鋭い一閃がカウンターで打ち放たれたのは――。


「――くっ!」


 慌てて飛びのいた俺の眼前を、風切り音とともに赤黒い剣線が通ってゆく。


 いつの間にか、《魔神》の手には一本の剣が握られていた。


 この剣は――!


「魔剣グリムヴェルか――!」


 グレンから跳ね飛ばした魔剣グリムヴェル。

 その魔剣が落ちたところまで来ていたことに、今更ながら気づかされる。


「押されて下がっていたのは、グレンが落とした魔剣を拾うためでもあったのか――!」


 そして《魔神》はただ魔剣グリムヴェルを拾っただけではなかった。


「ふぬぬぬぬぬぬっっっ!!」


 突如として、魔剣グリムヴェルが《魔神》のまとう赤黒いオーラを猛烈に吸い込みはじめたのだ。


 それはまるで《天地開闢セシ神竜ヨリ(クサナギ)産マレシ黄金神剣(ノツルギ)》の色違いバージョンでも見せられているかのようで――、


「おいおい、まさか『固有神聖』《ヤマタノオロチ》を見よう見まねで真似したっていうのか!?」


 いまや《魔神》の手には、


「ひひひ、これで対等……! これで殺せる……!」


 (いや)が応でも不安を掻き立てられる闇紅色に染まった新たな魔剣が――《絶望ニ染メヌカレシ(グリム)闇紅ノ魔神剣(ヴェル)》が生まれ落ちていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ