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第368話 SSS級

「《魔神》……? 《魔王》じゃなくて? ていうか、いきなりなに言ってんだ?」


 あまりに突拍子もないグレンの言葉。


 虚言を(ろう)して俺の注意力を散漫にさせ、その隙になにかしようと企んででもいるのか?

 ――なんてことを俺が考えてしまったのも無理はないことだろう。


 だけどグレンは、


「世界を救いたいのなら、《魔神》の器たるその娘を殺すべきだと言ったのだ」


 なんてバカ真面目な顔をして言ってくるのだ。


「はぁ……なんだそりゃ? 荒唐無稽(こうとうむけい)っていうんだっけ? 妖魔の言うことはいまいち意味がよくわからないな」


「これは大切な話だ。聞くのだ、マナシロ・セーヤ。先代 《魔王》ラリーサバトは優れた水晶占術師でもあった」


「《魔王》が占い師……?」


「そういえば聞いたことがあります! 当時の魔王宮は特殊な水晶でできていて、『サバトの水晶宮』と呼ばれていたとか!」


 ウヅキがぴょこんと顔を出して簡単な解説を入れると、すぐにシュバっとひっこんだ。


「ウヅキのお墨付きってことは、少なくとも嘘は言ってないようだな」


 ……少しだけ話を聞いてみるか。


「先代 《魔王》は勇者に討たれる直前に、ある一つの重大な予言をされたのだ。次の《魔王》は、人族の少女の中からSSS(トリプルエス)級の《魔神》として、この世界に生まれ落ちると――」


「なっ、SSS(トリプルエス)級……だって……!?」


 SSS(トリプルエス)ってことは、もしかしなくてもSSのさらに上――ってことだよな!?


「ちょっと待てちょっと待て! S級の上にSS級があるのにも、俺つぇぇぇ的に正直若干ちょっと納得がいってないのに、よりにもよってSSS(トリプルエス)級って――そんなもんがあるとか急に言われても――」


 とてもじゃないが信じられるわけがない――そう言いかけた時だった。


「――!?」


 俺は思わず視線を横に振った。

 というのも知覚系S級チート『龍眼』が、恐ろしいほど凶悪な「なにか」の存在を感じ取ったからだ。


 俺の視線の先にいたのは一人の少女。


 聖母マリアの再来と呼ばれる一生懸命な頑張り屋さんの――、

「ティモテ――?」

 ――だった。


「その身に龍の眼を備えたお主なら、もう気付いたはずだマナシロ・セーヤ」


「な、なんだよ、これは……!」


 《神焉竜(しんえんりゅう)》の背中に座って、戦いを見守っていたはずのティモテ。

 それが、


「てぃ、ティモテさんが、浮いています……」


 ウヅキが言ったとおり、ティモテは身の毛のよだつほど赤黒く禍々(まがまが)しいオーラを身体からにじませながら、ふわりと宙に浮いていたのだった。


「ティモテ……なんだよな……?」

「マナシロ、さん……」


「ああ、よかった、ティモテなんだな」

「まだどうにか、私――だと思います」


 どうにか、だと――くそっ!

 俺は内心舌打ちしながらも、


「安心しろ、俺が今助けてやるからな」

 焦る素振りなんてまったく見せることなく、俺は優しく笑いながらティモテに語りかけた。


 どうすればいい?

 そんなもん分かんねぇよ。


 でも絶対に何とかしてみせる。

 大事な女の子のために、なにがなんでも――!


 こんな時、歯が浮くようなセリフだって気負いなくごくごく自然に言えてしまう最強のラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』は、本当に心強い存在だ。


 このチートがあれば他でもない俺自身が「やれる」と、そう思うことができるのだから――!

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