表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/438

第35話 勝利の宴、ウヅキ

「セーヤさん、どうぞ、もう一杯」

「ありがとウヅキ……くー、美味い!」

「言い飲みっぷりですね! ではでは、もう一杯お注ぎしますね」


 左隣に座るウヅキが、杯が空になるたびに手際よくとくとくとお酒を注いでくれる。


「さっきからずっとお酌してもらって悪いな、あとありがとな」

「いえいえどうしたしまして。セーヤさんのお酌ができて、むしろ嬉しいくらいですから、えへへ」

「お、おう……そうか」


 ウヅキの笑顔は、営業トークとかおべっかじゃなくて全部、本心から言ってるっていうのがこれでもかってくらいに伝わってきて、なんかこうむず痒くなってくるよな。


「でもウヅキもちゃんと食べてくれよ? さっきからずっと俺の世話ばっかしてあまり食べてないじゃないか」

「お世話くらい、いくらだって焼きますよ。なんと言ってもセーヤさんは今日の主役なんですから」

 言って、ウヅキは向日葵(ひまわり)のようににっこりと笑うのだった。


 最強S級チート『剣聖』でもって妖魔の群れを殲滅(せんめつ)した日の夜。

 ウヅキの家では村人全員が集まっての盛大な宴会が開催されていた。

 祝勝会、アンド俺の歓迎会である。


 普段は使われていない大広間が開放され、食事やお酒、果実ジュースなどが大きな机の上いっぱいに、それはもう所狭しと並べられていた。

 しかしながら宴会をするには当然、お金がかかる。

 日々の生活で精いっぱいの中、これだけの食材もろもろの費用がいったいどこから出たのかというと、


「あの後ナイアさんがお礼だって言って、それはもう大量の食材を届けてくれたんです。日持ちのする燻製(くんせい)肉なんかは、村のみんなで分けてから取り置きしてあるので、また後日食べましょうね」

 ってなわけだった。


「これ全部ナイアが用意してくれたんだろ? いくらしたんだ? あいつマジで太っ腹だな」

「もう、セーヤさんったら女性に太っ腹なんて言ったらだめなんですからね?」


 ウヅキがわざとらしく怒った顔をしてみせる。

 全然怒ってないのが丸わかりで、むしろ茶目っ気と言うか、ほっぺを膨らませてるのが小動物みたいで可愛らしい。


「でも、そうか……確かにそうだな。言われて見れば女性に太っ腹ってのはよくないな」

 元の世界ならワンチャン、セクハラの可能性まである。


 それにナイアに限っては超が付くほどスタイル抜群で、お腹は太っ腹どころかキュッと(くび)れてるし、おへそも綺麗だし、そこからお尻にかけての腰のラインがエロエロだったもんな……


「じゃあこうだな――ナイアはすごくいいやつだ」

「はい、その言い方のほうがいいと思います。さすがです、セーヤさん!」


 ふぅ、また褒められてしまったぜ……ウヅキはすぐに嬉しそうに褒めてくれるから、話しているとほんと楽しいなぁ……


「にしても本当に豪勢だな。どれもこれも見るからに高そうなうえに、なんせ種類が豊富で目移りしそうだ」

「はい。わたし、こんな豪勢な料理は生まれて初めてです」

「うにゅ、ハヅキも……」


「だったら二人ともしっかり食べないとね。ほら、ウヅキもハヅキもどんどん食べて食べて。これは主役の俺からのお願いだからね? ちゃんと聞かないとダメだからね?」


「で、ではお言葉に甘えていただきますね」

 ここまで言われては、さすがのウヅキも断れはしない。

 ウヅキは俺のお酌をやめて座りなおすと、やっとこさ落ち着いて食べ始めてくれたのだった。


「はうー、どれもこれもおいしーです……これがA5ランクの地鶏なんですね……わたし初めて食べました……おいしくてほっぺが落ちそうです……」


 感激しながらパクパク食べ始めたので、実は食べたいのを我慢していたのかもしれないな……。

 可愛い女の子におだてられながらお酌されるのが正直とっても楽しくて、ついつい心行くまで満喫しちゃったんだけど、


「すごくしっかりしてて、しかも俺を甘やかしてくれるからついつい忘れそうになるんだけど、ウヅキだってまだ10代の女の子なんだよな……」


 普段は食べられない贅沢な料理を目の前にして、食べたいと思わないはずがないじゃないか。

「うん、もっと早く言ってあげればよかったな……」


 ウヅキの好意にのっかって自分だけ楽しんで、ウヅキへの心づかいが全くできていなかったのは、ちょいと要反省である。

 だって俺のモテモテハーレムには、女の子の笑顔が必要不可欠なのだから。

「無敵転生」をお読みいただきありがとうございました。

よろしければブックマークと評価をいただければとても嬉しく思います(ぺこり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ