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第327話 大公マナシロ・セーヤ

「話の流れが見えないんだけどさ? なんでまた急にそんな話に……? あとタイコーって?」


 俺がはてなマークを浮かべていると、


「セーヤさんセーヤさん。『大公』は爵位の最上位である公爵の、さらに上です。原則、皇帝の兄弟にのみ与えられる特別な爵位なんですよ!」


 またもやウヅキが説明してくれたんだけど、言葉の端々からウヅキがすごく興奮しているってのがよーく分かった。


 そしてグーグル先生もびっくりな物知りウヅキさんのおかげで、俺の異世界生活はどうにかこうにか成り立っておりますです。


「えーと。つまりは『大きな公爵』で『大公』ってわけだな。うんうん勉強になったよ――っていやいや、俺は皇帝の兄弟でもないし、いとこでもはとこでもないんだけど」


「多分ですけど、帝国にとってそれだけセーヤさんが特別な存在だってことなんだと思います」


「おおむねそういうことだね。そして大公には『帯剣』と『不屈』、そして『公国』の3つの特権が与えられるのさ」


「……」

 俺は無言のままウヅキを見た。


 よくわからないので説明していただけないでしょうか? というさりげない意思表示である。


 え、あ、はい。

 さりげなくでは全くないですね、露骨ですねごめんなさい。


「『帯剣』は皇帝と謁見するときに剣を帯びたままでいいと言う権利です。同じく『不屈』も皇帝と謁見するときに、膝を屈する必要はないという意味で、つまりどちらも皇帝と同格という意味になるでしょうか」


「こ、皇帝と同格……」

 なにそれ怖い。


「それでもう一個の『公国』っていうのは?」


「ここ東の辺境に、大公となったセーヤさんを国家元首とした自主独立国を開いていいという権利、だと思います」


「そのものずばり『マナシロ・セーヤ公国』の誕生というわけさ」

「ええぇぇぇ……」


 えーとまとめると……。

 俺は皇帝と対等で、そして自分の国を持った領主となるらしい。


「――ははは、それじゃあまるで俺は王様だな」

「まるでと言うか、文字通り王様ってことかな?」


「『え? なんだって?』」

 当然のように暴発したディスペル系S級チート。


「まるでと言うか、文字通り王様ってことかな?」

「いやあの、え?」


「シュヴァインシュタイガー帝国は《神滅覇王(しんめつはおう)》マナシロ・セーヤと、なにがなんでも仲良くしたいっていうこれ以上ない意思表示さ。そのためなら東の辺境を割譲することも、実質的に王権を付与することも、大した問題じゃないってわけさ」


「な、なんでまた……」


「そりゃあそうさ。もし《神滅覇王(しんめつはおう)》マナシロ・セーヤがその気になってしまったら、間違いなくシュヴァインシュタイガー帝国は滅んじゃうからね」


「待ってくれナイア、俺はそんなことしないぞ」


 大陸一の巨大帝国を戦火の渦に巻き込んでまで、それでも守りたいものとか俺にはないし。


「アタイらはセーヤの人となりを知っているからその言葉も信頼できるけど、《神焉竜(しんえんりゅう)》をも退けた《神滅覇王(しんめつはおう)》の力を脅威に感じる人間は、特に為政者には少なくないってことさ」


「大公だなんてさすがです、セーヤさん!」


 ウヅキはにっこりと満面の笑みで喜んでくれるんだけど、俺が大公になったらウヅキは大公妃だぞ?

 きっとすごく大変だぞ?


 ウヅキなら笑顔でこなせちゃいそうだけど。


「ううっ、なんか話が予想外の方向に進んでるような……」


 俺はただただ、美少女がいっぱいのモテモテハーレムの主になりたいだけだってのに、どうしてこんな領地経営的なことに……。


「おっぱいが……おっぱいが、遠のいていく……」

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