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第325話 《魔王》復活――?

「《魔王》か……《魔王》ね……」


 《魔王》という言葉を聞いて、ここまで聞きに徹していたナイアが口元に手をやりながらなにやら考え込み始めた。


「ナイア? なにか気になることでもあるのか?」


「うーんと、そうだね……《魔王》に関してはアタイからもちょっといいかな?」


 今度はナイアが手を挙げた。

 ナイアってば、ただそれだけでハリウッドスターみたいにカッコイイんですけど?


「この先の話は口外しないでほしいかな。ま、仮に話したとしても、誰も信じはしないだろうけどね」


 そしてナイアにしては珍しく、そんな前置きをしたかと思ったら――、


「実はね、まだ確定ってわけじゃないんだけどさ。諜報活動やら占星(せんせい)やら色んな情報を総合的に勘案すると――どうも《魔王》復活の兆しあり、って感じなんだよね」


 ――超ド級の爆弾発言が飛び出したのだった。


「えっと……はい? 《魔王》……? 復活……?」


 なにそれ美味しいの?


「なにやら南方の暗黒大陸がざわついてるんだ。一応、表立っては平静を保ってはいるけど、どうも大陸北部、人族との国境付近に兵を集めているようなんだ」


「暗黒大陸ってあれだよな? 妖魔たちの住む大陸なんだよな? それが国境近くに兵を集めているって、そんな物騒な――」


 それじゃあまるで、戦争しかけますよって言ってるようなもんじゃないか……!


「そうは言ってもまだたいした数じゃないし、なにより動きがどんくさいのが気になるんだよね」


「どんくさい? ……っていうと?」

 よくわかんない、って顔をした俺にナイアが説明をしてくれる。


「戦争を仕掛ける時ってのはさ、時間をかけるのが一番ダメなんだ。相手が準備不足のうちに一方的に先制攻撃をして、戦況を一気に優位に進める――ってのが常套手段だからね」


「電撃作戦ですねー」

 巫女エルフちゃんが合いの手を入れた。


「なのにだよ? 兵を集める動きは鈍く、情報統制がいまいち効いていない。そのせいでこちらに十分に対処する時間を与えてしまっているってわけさ」


「えっと……? つまり……?」


 どういうこと?

 急に難しいことを言われても、俺よくわかんないんだけど……。


「――つまり兵を集めているのは陽動の可能性が高い、と。戦争ではなく、なにか別の目的があると、ナイア様は見ているわけですね?」

「おおむね、そんなところだね」


「ああ、そういうことか」

 うんうん、納得だよ。


 それにしてもさすがクリスさんだな。

 ほんと理解力が高いよ――と思って周りを見てみたら、みんながみんな、当然その結論ですよねーってな顔をしていた。


 ウヅキやサーシャだけでなく、幼女であるハヅキやトワまでも……。

 ううっ、なんだか俺だけわかってなかったみたいで、ちょっとツラいです……。


 いやでもさ?

 戦争経験がない、平和憲法に守られた戦後の日本国民だったんだよ?

 戦争のイロハとか知ってるわけないじゃん?


「それでだ。そんな不自然な状況にあって、今回の《(つるぎ)の魔将》グレンの登場ってわけだよ」


 えーと、まとめると……。


1.妖魔の戦力増強は陽動の可能性が高い。

2.時を同じくして、手練れの妖魔が隠密行動で単身乗り込んできた。


「はっ――そうか! つまり《剣の魔将》グレンのほうが本命ってことだ!」


「うん、その可能性は極めて高いよね」


 よし、今度はみんなについていけたぞ!

 やったぁ!


 やればできる男、麻奈志漏(まなしろ)誠也であります!


「さすがです、セーヤさん!」

 ウヅキのお決まりの褒め言葉も、チートではなく俺の実力で得た評価とあっては喜びもひとしおだね!


「ここまで丁寧にお膳立てされて、それでもまだ理解できないようでは、お嬢さまの婚約者(ファミリー)として先が思いやられますからね」


 クリスさんが何事か言っていたけど、俺はもういい大人なので華麗にスルーした。

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