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第316話 食べたいものがあったら言って? なんでも奢るよ?

 気を利かせたのかなんなのか。

 これから少し早めの昼ご飯を食べに行くと、精霊さんに告げたところ、


「ふーん。じゃ、あとは若いものに任せるとしましょうか。ごゆっくり~」


 精霊さんはそんな言葉とともに意味深なウインクを飛ばしてくると、ぴゅーっとどこかに飛んでいってしまったのだった。


 というわけで今、俺はティモテと2人連れ立ってアウド村改め衛星都市アウド(建設中)で開かれている(いち)へとやってきていた。


 目的は当然食べ歩き、である。


 当然というかなんというか。

 アウドでの(いち)はまだ大きな規模ではなく、基本的に食べ物がらみの露天しか出ていないので、ここに来たら食べる以外にすることはなかったりする。


 ちなみにもともと小さな村だったので、レストランとかそういう食事(どころ)的なものは存在していない。

 街が大きくなるにつれて、そのうちできるとは思うんだけど。


 もちろん食事という意味ではウヅキがいるサクライ家に帰ってもよかったんだけどさ?


「昼間からぷらぷら外に遊びに出た挙句(あげく)、女の子を連れて帰ってくるっていうのは、なんとなく(はばか)られるというか、非常に体裁(ていさい)がよくないよね……」


 なんとなくね、なんとなく。

 悪いことはしてないんだけどね?

 でもやっぱり、女の子たちがいっぱいのサクライ家にエロコスのシスターさんを連れ帰るのは、よくない感じがするですね(小学生並みの感想)。


 というわけで食べ歩きをすることになったわけです。


 隣にティモテがいるので、なんだかデートみたいだね!

 というかデートだよね、常識的に考えて!


「朝ごはんを食べてからそんな時間は()ってないのに、雰囲気っていうの? この熱気と喧噪(けんそう)でついつい食べてみたいな~って気にさせられるんだよな」


「この街はとても良い雰囲気ですね。雰囲気というのは自然と周囲に伝播(でんぱ)していくものです。衛星都市アウドは活気にあふれた良い街になるでしょう」

 俺の言葉を肯定しつつ、ティモテがにっこり微笑んだ。


 と、

 ぐーー。


 またもやティモテのお腹が可愛らしく鳴る。

 同時にティモテの顔も真っ赤になった。


「さ、話してるだけもなんだし、さっそく何か食べようか?」


 幸いなことに無事にサクライ家に帰還したことで、今はちょっと手持ちがあるのだ。

 みんな忘れているかもしれないけれど、俺は先日ひよこ鑑定で一夜にして500万稼いだので!


 ということはつまり――、


「食べたいものがあったら言って? なんでも(おご)るよ?」


 俺は一生で一度でいいから言ってみたかった決めゼリフを言ってみた。

 それはもう気合いを入れて言ってみた。


 その気合いが見透かされないように、なるべくさらっとクールを装いながら、内心そわそわとドキドキでいっぱいになりながら言ってみたのだった。


「いえ、おごってもらうのは悪い――」

「気にしないで。ティモテのちょっとした着任祝いと、俺が《神滅覇王(しんめつはおう)》だってことを一発で信じてくれたお礼も兼ねてさ。ここはひとつ、俺に奢らせてくれないかな?」


 遠慮するティモテの言葉にかぶせるようにして、俺はもう一度奢ってあげるアピールを繰り出す。


 ラブコメ系A級チート『この後ご飯どう? 奢るよ?』が発動し、S級チート『ただしイケメンに限る』とともに強烈に俺をバックアップしてくれている。


 ってわけで、ここは強気&強気で押せ押せゴーだ!


 昨今は男女平等だのなんだので割り勘が増えつつあるらしいけれど、悪いがそんなもの俺にはノーサンキュー。


 俺は、俺は可愛い女の子にイイカッコしたいんだよ!!!!


「この前まとまったお金が入ったから、手持ちに余裕があるんだ」


 お金があって、デートしてる女の子がいる。

 となれば!

 さくっとご飯を奢っちゃう(ふところ)の広さを、俺は女の子に見せたいんだよ!


 俺の辞書に、割り勘などという文字はないのだ……!

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