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第313話 新川ティモテ

 俺の反応を見て、少女も自己紹介がまだだと思い至ったのだろう。


「申し遅れました。私はマリア=セレシア教会から派遣された聖少女(シスター)のティモテ=ニューリバーと申します。以後お見知りおきを――」


 再びぺこりと頭を下げる聖少女(シスター)――ティモテ。


「マリア=セレシア教会の聖少女(シスター)……やっぱりか」

 やっぱりっていうか、この状況(教会でシスターがお祈りをしている)でそれ以外は、ま、ありえないよね。


「それで、あなた様のお名前は――」

 そうおずおずと尋ねてきたティモテを見て――、


 ピキーン!

 俺は絶好のチャンスが到来したことを悟った。

 悟ってしまった……!


 俺は軽く息を吸って吐いて、呼吸を整えると、


「名乗るほどの者ではないんだが……」

 まずは控えめな前置き(重要)をしてから――、


「俺は麻奈志漏(まなしろ)誠也。《神滅覇王(しんめつはおう)》にして《王竜を退けし者(ドラゴンスレイヤー)》の麻奈志漏(まなしろ)誠也だ!(ドヤァ!」


 ここぞとばかりに、俺はどや顔でそう言った。


 ふっ、最高にクールでカッコよく決めたぜ!

 ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』も強めに発動してアピールは万全!


 練習していたカッコイイ自己紹介の成果を発揮できて、俺はとっても満足です!


 しかもしかもだよ!?


「《神滅覇王(しんめつはおう)》マナシロ・セーヤ……! それではあなたが今、巷で噂の救世主様なのですね……!」


「うおっ、一発で信じてもらえた!? いや信じるもなにも紛れもなく本人なんだけど、なにせ今まで全然信じてもらえなかったからさ? 俺ちょっと感動で泣いちゃいそうなんだけど……!?」


「そんな、大袈裟ですよ」

「いやいや大袈裟なもんか!」


 なんせ異世界転生してから早二週間。


 疑われたり、役に立てなかったりの長く苦しい下積みの時を経て、ついに、ついに俺は初対面の一般人から《神滅覇王(しんめつはおう)麻奈志漏(まなしろ)誠也として、正しく認知してもらえたのだから……!


「ありがとうティモテ! こんなに嬉しいことはない――あっと、ごめん。いきなり名前で呼び捨てにしちゃって……えっとニューリバーさん」


 感動のあまりに、初対面の女の子を名前で呼び捨てするという超高等テクニックを意図せず繰り出してしまった俺は、すぐに我に返って「苗字+さん付け」で呼びなおした。


 可愛い女の子をいきなり下の名前で呼び捨てにしちゃうとか、俺にはまだまだ無理ゲーですから!


 っていうか「ニューリバー」ってあれだよな、日本語でいうと「新川」さんだよな。

 新川ティモテ。

 いや特になにがどうってわけではないんだけど。


「ティモテで構いませんよ、みんなそう呼びますので」

「あ、そう? ならそうさせてもらおうかな……?」


 なんかそういうことでして、新川(ニューリバー)ティモテさんはティモテと呼ぶことになりました。


 気が付くと発動していた、女の子をいきなり呼び捨てにしちゃうラブコメ系A級チート『出会って5秒で呼び捨て』のおかげなのかな?


 まぁ名前呼びは異世界に来てすぐにウヅキと初体験済みだから、若干敷居が下がっていたってのはあるよね。


 異世界転生してから早2週間。

 俺もだいぶん女の子とお話しするのに慣れてきました。


「相手を信じることは、聖母マリア=セレシアの教えの一丁目一番地です。それにマナシロさんは、嘘をつくような悪い人には到底見えませんので」


「くっ、まぶしい……まっすぐな生きざまがまぶしすぎる……!」


 さすがはマリア=セレシア教会のシスターさん。

 なんて清らかな心をしているんだ……!


 そういえば聖母マリアは、出会いの女神でもあるんだっけか。

 ほんとその効力ときたら半端ないな!


 だって清純派エロかわシスターさんを育成しただけでなく、さらにはここで俺と出会わせてくれたんだから。


 偉大すぎる聖母マリア=セレシア&その教えに、俺は心から感謝したのだった。

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