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第296話 貧乏庶民に圧倒的なセレブリティを見せつけるのって、なんて気持ちいいのかしら!

 とある休日。

 わたしは孤児院を視察に来ていた。


「最近、お父様ってばいつにもまして忙しくて、代わりにこーゆーつまらないことにわたしが参加しないといけないのよね……」


 こんなのテン下げもテン下げもだよ……。


「だって孤児院だよ? 貧乏人のガキどもの見本市だよ? わざわざ休日をつぶしてまで、誰がそんなところに行って楽しいの?」


 というわけで。

 心底むしゃくしゃしていたわたしは、最高にセレブに着飾って孤児院の視察に出向いてやったのだった。


 高価なジュエリー類は比較以前の問題として、


「一着で数百万するこのお気に入りのドレス、これだけでこの孤児院は数年経営できるんじゃないかしら(笑)」


 当て布がいっぱいのボロをまとった貧乏人の子供たちの前で、それらをことさらにみせびらかしながら、


「あーん♪ あー、美味しいわ♪」


 こいつらが一生口にできないであろう、セレシア家お抱えの最高級5つ星パテイシェが作ったチョコレート菓子を、これみよがしに口に入れる。


 それを貧乏人の子供たちが羨望の眼差しでぐーぐーお腹を鳴らして見ているのを、わたしは心行くまで堪能したのだった。


「こうやって貧乏庶民に圧倒的なセレブリティを見せつけるのって、なんて気持ちいいのかしら!」

 そういう意味ではまぁ満足ね!



 ~~後日。



「マリア様、先日視察に行かれたNPOの代表から感謝状が来ております」

「感謝状? わたしに? お父さまじゃなくて?」


「はい、マリア様の痛烈な社会風刺のおかげで、貴族や大企業が我先にと社会貢献活動に力を入れるようになり、NPOへの寄付額が一気に100倍を超えたとのことです」


「……なんの話?」


「またまたご謙遜を……いえ、多くは申しますまい。さすがはマリア様、たった一度の視察で世の中の流れすら変えてしまうとは、このセバスチャン、改めて感服した次第にございます」


「????」


 えっと、なんの話?

 いやほんとなんの話……?


 ねぇねぇそこのあなた。

 ちょうどいいわ。


 参考程度にちょっとあなたの意見を聞かせてくれないかしら?

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